三十九章
夢小説設定
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それは、冬にしてはよく晴れた日のことだった
いつも通り、私達はお昼休みになると屋上へ向かって、全員で集まって
そうして、珠紀ちゃんの口から出てきたワードに、私と真弘は分かりやすく肩を落とした
「……え、なに、どうしたんですか、二人とも
私まだ、クリスマスの予定はって聞いただけなのに」
「クリスマスか……」
真弘が視線を俯かせ、それからため息をついた
私もずんと気持ちが沈んでいくのを感じる
「……もしかして、去年、何かあったとか?」
「いや、あはは……はぁ」
「……?」
珠紀ちゃんが心底分からないという顔で首を傾げる
焦らずとも、いずれ珠紀ちゃんも通る道だ
安心してほしい
「……珠紀、俺らは今、何年生だ?」
「三年生ですよね
……もしかしなくても真弘先輩、留年の危機なんですか!?」
「は、はぁ!?
なんだお前その、やっぱりそうか的な顔は!!
誰が留年なんかするか!!」
「違うんですか?」
「違うわ!!
恐ろしいこと言うなよ!!」
「成績に関しては、まあ、真弘も何とかなったんだけど……」
「何とかも何も、別に俺は余裕で卒業できるようになってるんだよ」
「俺と優佳が勉強会を開いたおかげだ」
「祐一!!
それは言わなくて良かったろ!?」
真弘への、後輩達の視線が痛い
まあ真弘先輩だしな、と三人の視線が言っていた
それはそれとして、期末試験も終わったというのに私と真弘がクリスマスを楽しめないのは、ただ一つ
「単純な話、受験勉強でそれどころじゃないっていうか、なんていうか……」
「あーそっか……先輩達、年が明けたらセンター試験なんでしたね」
珠紀ちゃんの正解に頷いて、またため息が出てくる
お弁当を食べたら、教室に帰ろうかな
「そっか、じゃあ先輩達のことは、誘わないほうがいいのかな」
「……どうしたの?」
「何かあったのか」
珠紀ちゃんが分かりやすくしょんぼりしたので、私と祐一がすかさずそう尋ねた
特に予定はなかったはずだけど、困ったことでもあるのだろうか
「えっとね、実は、みんなでクリスマスパーティーみたいなものをやりたいなぁって、美鶴ちゃんと話してて
まあ、みんなでご飯を食べて、ケーキなんかもあったらいいねってだけなんだけど」
「……クリスマスパーティーか」
真弘が腕を組んで何かを考え込む
その横で私と祐一は顔を見合わせた
「具体的には、何をするんだ?」
「特にまだ、何をするって決まったわけじゃないっていうか、結局いつもと変わんない感じになりそうなんですけど
クリスマスっぽい料理を作って、みんなで食べたいなって」
「クリスマスっぽい料理か……
七面鳥でも焼くのか?」
まさか、というように拓磨が尋ねる
にわかに真弘が食いついたけど、「出来るわけないでしょ」とにべもなく却下された
「七面鳥は無理だけど、ローストチキンなら出来ないかな?
確か、商店街にある肉屋のおじさんが、毎年この時期は、骨付きの鶏もも肉を売ってるはずだけど」
「あ、はい、それは美鶴ちゃんに聞きました
なのでローストチキンをメインに据えつつ、ミネストローネとか、あとはサラダとかで……」
「わあ、美味しそうですね!
僕でよければ、お手伝いしますよ」
「ああ、俺も材料の調達くらいならやってやるよ」
でも……と珠紀ちゃんが私達を見やる
今が絶賛追い込み期の私達には、材料調達やお部屋の飾り付けをするよりも、机に齧り付く方が急務だ
だけど、せっかく珠紀ちゃんが企画してくれたパーティーに水を差すことはしたくない
どうしようかな、と悩んでいると、祐一が口を開いた
「手伝うことは出来そうにないが、参加するだけでも構わないだろうか」
「もちろんです!
むしろ試験が近付いててお忙しいところをお呼びして、申し訳ないです」
「気にすんなよ
準備、手伝えなくて悪いな
さすがにパーティーではしゃぎ倒してる場合じゃなくてよ」
「美鶴にも謝っておいてくれるかな
料理の手伝いできなくてごめんって」
「いえいえ!
来てくれるだけでも嬉しいです!
でも気になったんですけど、優佳と真弘先輩は二人でいなくていいんですか?」
そう言われて、思わず真弘と目を合わせる
まあ、普段から二人でいるようなものだし、今更そういう時間は必要ないかな
「私達は大丈夫
正直、遊んでる余裕はないし、真弘とは普段から一緒だからね」
「クリスマスは今年だけじゃねえし、今年は受験に専念するべきだろ」
私もそれに賛同すべく頷く
仕方ないけど、今年は踏ん張りどころだもの
受験が終わってから遊べばいいし、クリスマスは来年からもずっとあるんだ
今年は我慢するしかない
いつも通り、私達はお昼休みになると屋上へ向かって、全員で集まって
そうして、珠紀ちゃんの口から出てきたワードに、私と真弘は分かりやすく肩を落とした
「……え、なに、どうしたんですか、二人とも
私まだ、クリスマスの予定はって聞いただけなのに」
「クリスマスか……」
真弘が視線を俯かせ、それからため息をついた
私もずんと気持ちが沈んでいくのを感じる
「……もしかして、去年、何かあったとか?」
「いや、あはは……はぁ」
「……?」
珠紀ちゃんが心底分からないという顔で首を傾げる
焦らずとも、いずれ珠紀ちゃんも通る道だ
安心してほしい
「……珠紀、俺らは今、何年生だ?」
「三年生ですよね
……もしかしなくても真弘先輩、留年の危機なんですか!?」
「は、はぁ!?
なんだお前その、やっぱりそうか的な顔は!!
誰が留年なんかするか!!」
「違うんですか?」
「違うわ!!
恐ろしいこと言うなよ!!」
「成績に関しては、まあ、真弘も何とかなったんだけど……」
「何とかも何も、別に俺は余裕で卒業できるようになってるんだよ」
「俺と優佳が勉強会を開いたおかげだ」
「祐一!!
それは言わなくて良かったろ!?」
真弘への、後輩達の視線が痛い
まあ真弘先輩だしな、と三人の視線が言っていた
それはそれとして、期末試験も終わったというのに私と真弘がクリスマスを楽しめないのは、ただ一つ
「単純な話、受験勉強でそれどころじゃないっていうか、なんていうか……」
「あーそっか……先輩達、年が明けたらセンター試験なんでしたね」
珠紀ちゃんの正解に頷いて、またため息が出てくる
お弁当を食べたら、教室に帰ろうかな
「そっか、じゃあ先輩達のことは、誘わないほうがいいのかな」
「……どうしたの?」
「何かあったのか」
珠紀ちゃんが分かりやすくしょんぼりしたので、私と祐一がすかさずそう尋ねた
特に予定はなかったはずだけど、困ったことでもあるのだろうか
「えっとね、実は、みんなでクリスマスパーティーみたいなものをやりたいなぁって、美鶴ちゃんと話してて
まあ、みんなでご飯を食べて、ケーキなんかもあったらいいねってだけなんだけど」
「……クリスマスパーティーか」
真弘が腕を組んで何かを考え込む
その横で私と祐一は顔を見合わせた
「具体的には、何をするんだ?」
「特にまだ、何をするって決まったわけじゃないっていうか、結局いつもと変わんない感じになりそうなんですけど
クリスマスっぽい料理を作って、みんなで食べたいなって」
「クリスマスっぽい料理か……
七面鳥でも焼くのか?」
まさか、というように拓磨が尋ねる
にわかに真弘が食いついたけど、「出来るわけないでしょ」とにべもなく却下された
「七面鳥は無理だけど、ローストチキンなら出来ないかな?
確か、商店街にある肉屋のおじさんが、毎年この時期は、骨付きの鶏もも肉を売ってるはずだけど」
「あ、はい、それは美鶴ちゃんに聞きました
なのでローストチキンをメインに据えつつ、ミネストローネとか、あとはサラダとかで……」
「わあ、美味しそうですね!
僕でよければ、お手伝いしますよ」
「ああ、俺も材料の調達くらいならやってやるよ」
でも……と珠紀ちゃんが私達を見やる
今が絶賛追い込み期の私達には、材料調達やお部屋の飾り付けをするよりも、机に齧り付く方が急務だ
だけど、せっかく珠紀ちゃんが企画してくれたパーティーに水を差すことはしたくない
どうしようかな、と悩んでいると、祐一が口を開いた
「手伝うことは出来そうにないが、参加するだけでも構わないだろうか」
「もちろんです!
むしろ試験が近付いててお忙しいところをお呼びして、申し訳ないです」
「気にすんなよ
準備、手伝えなくて悪いな
さすがにパーティーではしゃぎ倒してる場合じゃなくてよ」
「美鶴にも謝っておいてくれるかな
料理の手伝いできなくてごめんって」
「いえいえ!
来てくれるだけでも嬉しいです!
でも気になったんですけど、優佳と真弘先輩は二人でいなくていいんですか?」
そう言われて、思わず真弘と目を合わせる
まあ、普段から二人でいるようなものだし、今更そういう時間は必要ないかな
「私達は大丈夫
正直、遊んでる余裕はないし、真弘とは普段から一緒だからね」
「クリスマスは今年だけじゃねえし、今年は受験に専念するべきだろ」
私もそれに賛同すべく頷く
仕方ないけど、今年は踏ん張りどころだもの
受験が終わってから遊べばいいし、クリスマスは来年からもずっとあるんだ
今年は我慢するしかない
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