四章
夢小説設定
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それからも至って普通の日常が過ぎていった
相変わらず拓磨と珠紀ちゃんは口喧嘩が耐えないし、真弘は珠紀ちゃんに対して失礼なことばっかり
祐一は……いつも通り寝ている
ともかく、真弘を含めて三人で更に言い合いになるのを私が割って入って止める、というのが、お約束のようになりつつある
今日は守護者のメンバーでちょっとした調査をする必要があったために、珠紀ちゃんを一人、学校に残していた
遅くならないようにするつもりだったし、そうしたつもり
……だけど
調査を終えて学校に戻る途中、私は妙な気配を感じた
「真弘、待って!」
学校へと一緒に戻っていた真弘を呼び止める
微かだけど、この気配……
私が仲間の気配を間違えるはずがない
「何かあったのか?」
「拓磨が、力を使ってる
近くに珠紀ちゃんの気配もする!」
念のためにと、珠紀ちゃんにこっそりつけていた式神が戻ってきた
先日、真弘が「顔がなくて怖い」とか何とか言っていた、人型に切り抜いた簡単な式神だ
「お前、用意がいいな……」
「守護者なんだから当たり前でしょ
珠紀ちゃんに何があったの!?」
式神がふわりと手の中で浮き、頭の中に直接、何が起きたのか語りかけてきた
『玉依姫がタタリガミに襲撃されています
鬼崎様が救援に向かわれましたが苦戦中』
それだけを伝え、式神が崩れ去る
「ご苦労様」
「何があった!」
「珠紀ちゃんがタタリガミに襲われてる!
拓磨が何とか助けに行ったけど、苦戦してるって!」
そう伝えると、真弘は軽く舌打ちした
なにせこの事態を危惧していたのは、他ならぬ真弘だったから
「だから一人は残しとけって言ったんだよ、俺は!
行くぞ優佳!
言霊頼む!」
「うん!
速くなれ!」
私がそう叫ぶなり、真弘は私の手を掴んで走り出した
それは人が出せる速さじゃない
私の言霊で真弘と私の走る速度を上げたからだ
「もっと!!」
真弘の風の力も作用して、とんでもない速さで森の中を駆け抜ける
道なりに進もうとした真弘の手を引っ張って、私は木々の中を指差した
「こっち!
道は外れるけど、ひっかき傷は後で治してあげるから!」
「しゃーねえな!」
真弘と手を握ったまま、木々の間を縫うように走る
その途中、拓磨の力がまた感じられた
ふと木々の間から、大蛇さんと祐一の姿が見えた
そちらにも言霊を使って、速度を上げる
二人はすぐに私達に追いついた
「二人も感じたの?」
「櫻葉さんの式のおかげです」
祐一と大蛇さんが後ろから追ってくる
どうやらあの式神は、二人のことも呼びに行ってくれたみたいだ
ようやく力を感じた辺りまでやってくると、宇賀屋家へ帰る道の真ん中あたりに拓磨が見えた
その近くで、珠紀ちゃんが何かを庇うようにしゃがみこんでいる
「いた……!」
森から抜け出し、うずくまる珠紀ちゃんの前に立つ
声をかける前に、珠紀ちゃんが怯えたように私たちを見上げた
「……だから俺は一人ぐらい残ってた方がいいって言ったんだよ
こんなの一人でほっつき歩かせる俺らが悪い」
「もう平気です
よく頑張りましたね」
「怪我はないな
大丈夫、オサキ狐の方も、少し気を失っているだけだ」
「遅くなってごめんね、珠紀ちゃん
もう大丈夫だよ」
珠紀ちゃんがほっとしたように笑みを浮かべる
珠紀ちゃん自身もちょっとした擦り傷を負っていて、膝から血が滲んでいる
「動かないでね」
「え……っ」
祈るように手をぎゅっと握り合わせる
珠紀ちゃんの膝がほのかに光って、擦り傷が瞬きのうちに元通りに治っていった
「す、すごい……!
これが優佳先輩の力?」
「これだけじゃないよ
大丈夫、珠紀ちゃんはそこで見てるだけでいいから」
「は、はい……!
先輩方……お願いします!」
ひとつ頷いて立ち上がる
その信頼には応えてあげよう
もちろん、目の前にいるデカブツをぶっ飛ばして、ね
相変わらず拓磨と珠紀ちゃんは口喧嘩が耐えないし、真弘は珠紀ちゃんに対して失礼なことばっかり
祐一は……いつも通り寝ている
ともかく、真弘を含めて三人で更に言い合いになるのを私が割って入って止める、というのが、お約束のようになりつつある
今日は守護者のメンバーでちょっとした調査をする必要があったために、珠紀ちゃんを一人、学校に残していた
遅くならないようにするつもりだったし、そうしたつもり
……だけど
調査を終えて学校に戻る途中、私は妙な気配を感じた
「真弘、待って!」
学校へと一緒に戻っていた真弘を呼び止める
微かだけど、この気配……
私が仲間の気配を間違えるはずがない
「何かあったのか?」
「拓磨が、力を使ってる
近くに珠紀ちゃんの気配もする!」
念のためにと、珠紀ちゃんにこっそりつけていた式神が戻ってきた
先日、真弘が「顔がなくて怖い」とか何とか言っていた、人型に切り抜いた簡単な式神だ
「お前、用意がいいな……」
「守護者なんだから当たり前でしょ
珠紀ちゃんに何があったの!?」
式神がふわりと手の中で浮き、頭の中に直接、何が起きたのか語りかけてきた
『玉依姫がタタリガミに襲撃されています
鬼崎様が救援に向かわれましたが苦戦中』
それだけを伝え、式神が崩れ去る
「ご苦労様」
「何があった!」
「珠紀ちゃんがタタリガミに襲われてる!
拓磨が何とか助けに行ったけど、苦戦してるって!」
そう伝えると、真弘は軽く舌打ちした
なにせこの事態を危惧していたのは、他ならぬ真弘だったから
「だから一人は残しとけって言ったんだよ、俺は!
行くぞ優佳!
言霊頼む!」
「うん!
速くなれ!」
私がそう叫ぶなり、真弘は私の手を掴んで走り出した
それは人が出せる速さじゃない
私の言霊で真弘と私の走る速度を上げたからだ
「もっと!!」
真弘の風の力も作用して、とんでもない速さで森の中を駆け抜ける
道なりに進もうとした真弘の手を引っ張って、私は木々の中を指差した
「こっち!
道は外れるけど、ひっかき傷は後で治してあげるから!」
「しゃーねえな!」
真弘と手を握ったまま、木々の間を縫うように走る
その途中、拓磨の力がまた感じられた
ふと木々の間から、大蛇さんと祐一の姿が見えた
そちらにも言霊を使って、速度を上げる
二人はすぐに私達に追いついた
「二人も感じたの?」
「櫻葉さんの式のおかげです」
祐一と大蛇さんが後ろから追ってくる
どうやらあの式神は、二人のことも呼びに行ってくれたみたいだ
ようやく力を感じた辺りまでやってくると、宇賀屋家へ帰る道の真ん中あたりに拓磨が見えた
その近くで、珠紀ちゃんが何かを庇うようにしゃがみこんでいる
「いた……!」
森から抜け出し、うずくまる珠紀ちゃんの前に立つ
声をかける前に、珠紀ちゃんが怯えたように私たちを見上げた
「……だから俺は一人ぐらい残ってた方がいいって言ったんだよ
こんなの一人でほっつき歩かせる俺らが悪い」
「もう平気です
よく頑張りましたね」
「怪我はないな
大丈夫、オサキ狐の方も、少し気を失っているだけだ」
「遅くなってごめんね、珠紀ちゃん
もう大丈夫だよ」
珠紀ちゃんがほっとしたように笑みを浮かべる
珠紀ちゃん自身もちょっとした擦り傷を負っていて、膝から血が滲んでいる
「動かないでね」
「え……っ」
祈るように手をぎゅっと握り合わせる
珠紀ちゃんの膝がほのかに光って、擦り傷が瞬きのうちに元通りに治っていった
「す、すごい……!
これが優佳先輩の力?」
「これだけじゃないよ
大丈夫、珠紀ちゃんはそこで見てるだけでいいから」
「は、はい……!
先輩方……お願いします!」
ひとつ頷いて立ち上がる
その信頼には応えてあげよう
もちろん、目の前にいるデカブツをぶっ飛ばして、ね
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