終章
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冬真っ盛りの二月中旬
乙女の祭典ことバレンタインデーも終わり、私と真弘、祐一の三人は、大学入試が目前に迫っていた
今は、その入試の一週間前
つまり、最後の追い込みの時期
毎日のように紅陵学院に朝早くから登校し、ひたすらに過去問を繰り返す
どうやら鬼斬丸の戦いに明け暮れるうちに、学力が下がっていたようで
「……櫻葉」
「はい……」
なんと一週間前にして、担任に呼び出しを食らってしまった
呼び出される理由に心当たりしかないので、心苦しい
だけど、鬼斬丸のあれやこれやがあったにも関わらず、この程度で済んでいることを褒めてほしい気もする
「お前、センター試験の自己採点したろ?
かなり下がってたぞ」
「はい、自分でも自覚してます……」
「一時期ろくに学校にも来なかったからな
ここで踏ん張らないと、落ちるぞ」
「はい……」
ぐっさりと突き刺さる言葉
しかし、これが現実
素直に受け止めなくちゃ
「分かってるならいい
あとひと踏ん張りだ、頑張れよ」
「はいっ!」
「ああ、それから
鴉取の顔を一発殴って、気合いを入れさせておいてくれ
あいつ、まともに授業を聞いてないからな」
「殴っ……はい!?」
真弘ってば、受かる気があるんだか無いんだか……
三人で大学に行こうって約束したんだから、ここで落ちてもらったら困る
かくなる上は……奥の手を使うしかない
これをやると自分の首も締まりかねないけど、背に腹はかえられないということにした
* * *
「そんなわけで、大蛇さんにも来てもらったから」
理由を説明すると、真弘の顔がムンクの叫び状態に変化した
対する大蛇さんはというと、とてもいい笑顔だ
「鴉取君、何か問題でも?」
「いいえ!
全く問題など生じておりません大蛇さん!!」
「大蛇さんがいると、俺たちも受験勉強がはかどります
これから一週間、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします、孤邑君、櫻葉さん」
心強さと頼もしさが違う
さすが大蛇さん、私達の頼れる最年長!
ちなみに、どうせならということで、季封村に戻ってきた珠紀ちゃんと、その珠紀ちゃんとバカップル街道邁進中の拓磨
元から成績優秀の慎司に、最近になって仲間入りした狗谷遼も一緒に机を囲んでいる
「ったく、なんで俺まで……」
「いいじゃないですか、狗谷先輩」
「遼だって、順調に進級してたら先輩たちと同じ受験生だったんだから」
「余計なお世話だ」
狗谷遼が本当は犬戒家の子供だと知った時は驚いた
実は、慎司は元々言蔵家の子だったのだ
男子は禁忌とされている言蔵家から、子供がいなかった犬戒家に養子に出されたという
狗谷遼自身も、犬戒家から狗谷家に養子に出された身であるらしい
それが判明して、しばらくは慎司と遼が、いがみ合ってたんだけど
最近は和解したのか、慎司も気兼ねなく接することが出来るようになってきている
「さて、じゃあ真弘、私たちは一週間後に迫った入試に向けて頑張ろうか」
「うるせえな!
みなまで言うな!」
「真弘、手を動かさないと頭に入らないぞ」
「祐一も!
いちいち言われなくても分かってるっつーの!」
「鴉取君、もう本腰を入れる時期でしょう?」
「だーもう!!」
真弘の反応に笑いながら、私たちは勉強を始めた
なんだかんだ言いつつも、真弘は始めると真剣だから、むしろ危ないのは私のほうかもしれない
嫌だ……浪人は嫌だ……
「どうしましたか、櫻葉さん?
顔が強ばっていますが……」
「浪人だけはしたくないなと思って……」
ふむ、と大蛇さんが頷いて微笑む
ちょっと良くない方向でいい笑顔だった
「確かに、ここは小さな村ですからね
誰が浪人した、などといった噂は、数日で広まってしまうでしょう」
「嫌すぎる……!」
「死ぬ気で頑張りましょうね
大丈夫です、勉強して死ぬことはありませんから」
私の喉の奥から声を絞り出して「はい……」と頷く
受かるんだろうか……私と真弘は……
希望先の学部が私大の文系だったことだけが救いだ
理系科目は、センター試験と共におさらばした
あとは国語と日本史と、英語で——
……フィオナ先生は、病気で休養になったと説明された
代わりに新しい英語の先生がやってきて、学校は何事も無かったかのように回っているけど
フィーアは、無事に逃げ切れたんだろうか
今となっては確かめる術がないから、どこかで生きていてくれることを願うばかりだ
乙女の祭典ことバレンタインデーも終わり、私と真弘、祐一の三人は、大学入試が目前に迫っていた
今は、その入試の一週間前
つまり、最後の追い込みの時期
毎日のように紅陵学院に朝早くから登校し、ひたすらに過去問を繰り返す
どうやら鬼斬丸の戦いに明け暮れるうちに、学力が下がっていたようで
「……櫻葉」
「はい……」
なんと一週間前にして、担任に呼び出しを食らってしまった
呼び出される理由に心当たりしかないので、心苦しい
だけど、鬼斬丸のあれやこれやがあったにも関わらず、この程度で済んでいることを褒めてほしい気もする
「お前、センター試験の自己採点したろ?
かなり下がってたぞ」
「はい、自分でも自覚してます……」
「一時期ろくに学校にも来なかったからな
ここで踏ん張らないと、落ちるぞ」
「はい……」
ぐっさりと突き刺さる言葉
しかし、これが現実
素直に受け止めなくちゃ
「分かってるならいい
あとひと踏ん張りだ、頑張れよ」
「はいっ!」
「ああ、それから
鴉取の顔を一発殴って、気合いを入れさせておいてくれ
あいつ、まともに授業を聞いてないからな」
「殴っ……はい!?」
真弘ってば、受かる気があるんだか無いんだか……
三人で大学に行こうって約束したんだから、ここで落ちてもらったら困る
かくなる上は……奥の手を使うしかない
これをやると自分の首も締まりかねないけど、背に腹はかえられないということにした
* * *
「そんなわけで、大蛇さんにも来てもらったから」
理由を説明すると、真弘の顔がムンクの叫び状態に変化した
対する大蛇さんはというと、とてもいい笑顔だ
「鴉取君、何か問題でも?」
「いいえ!
全く問題など生じておりません大蛇さん!!」
「大蛇さんがいると、俺たちも受験勉強がはかどります
これから一週間、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします、孤邑君、櫻葉さん」
心強さと頼もしさが違う
さすが大蛇さん、私達の頼れる最年長!
ちなみに、どうせならということで、季封村に戻ってきた珠紀ちゃんと、その珠紀ちゃんとバカップル街道邁進中の拓磨
元から成績優秀の慎司に、最近になって仲間入りした狗谷遼も一緒に机を囲んでいる
「ったく、なんで俺まで……」
「いいじゃないですか、狗谷先輩」
「遼だって、順調に進級してたら先輩たちと同じ受験生だったんだから」
「余計なお世話だ」
狗谷遼が本当は犬戒家の子供だと知った時は驚いた
実は、慎司は元々言蔵家の子だったのだ
男子は禁忌とされている言蔵家から、子供がいなかった犬戒家に養子に出されたという
狗谷遼自身も、犬戒家から狗谷家に養子に出された身であるらしい
それが判明して、しばらくは慎司と遼が、いがみ合ってたんだけど
最近は和解したのか、慎司も気兼ねなく接することが出来るようになってきている
「さて、じゃあ真弘、私たちは一週間後に迫った入試に向けて頑張ろうか」
「うるせえな!
みなまで言うな!」
「真弘、手を動かさないと頭に入らないぞ」
「祐一も!
いちいち言われなくても分かってるっつーの!」
「鴉取君、もう本腰を入れる時期でしょう?」
「だーもう!!」
真弘の反応に笑いながら、私たちは勉強を始めた
なんだかんだ言いつつも、真弘は始めると真剣だから、むしろ危ないのは私のほうかもしれない
嫌だ……浪人は嫌だ……
「どうしましたか、櫻葉さん?
顔が強ばっていますが……」
「浪人だけはしたくないなと思って……」
ふむ、と大蛇さんが頷いて微笑む
ちょっと良くない方向でいい笑顔だった
「確かに、ここは小さな村ですからね
誰が浪人した、などといった噂は、数日で広まってしまうでしょう」
「嫌すぎる……!」
「死ぬ気で頑張りましょうね
大丈夫です、勉強して死ぬことはありませんから」
私の喉の奥から声を絞り出して「はい……」と頷く
受かるんだろうか……私と真弘は……
希望先の学部が私大の文系だったことだけが救いだ
理系科目は、センター試験と共におさらばした
あとは国語と日本史と、英語で——
……フィオナ先生は、病気で休養になったと説明された
代わりに新しい英語の先生がやってきて、学校は何事も無かったかのように回っているけど
フィーアは、無事に逃げ切れたんだろうか
今となっては確かめる術がないから、どこかで生きていてくれることを願うばかりだ
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