二章
夢小説設定
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歓迎会で盛り上がった次の日
私たち守護者組は、いつものように屋上で昼食をとっていた
「昨日の鍋、美味しかったー!」
「ま、この俺様が奉行してやったんだから美味くて当然だな!」
真弘が自慢げに大きく頷いて、視線を横に流す
私も観念して視線を正面の二人に向かわせた
「見てない」
「見てた」
「見てない!」
「いーえ、見てました!」
いつまで続くんだろう、このやり取り
さっきからこの二人は謎の問答を続けているのだけど、一体何の話なのか……
「お前ら、何やってんだ……」
「今度は何の喧嘩?」
いつもは呆れられる側の真弘が呆れている
これは相当な事態だ
「ちょっと聞いてよ、先輩達!
拓磨ったら、英語の時間ずーっと、真面目に授業受けてたんですよ!」
……それは良いことなのでは?
心の中で同じことを思ったのか、真弘も怪訝そうに首を傾げている
「サボって怒られるならまだしも、なんで真面目に授業受けて怒られんだよ」
「うーん、特に悪い要素は見当たらないっていうか、それが普通というか」
「デレデレしちゃってさ!
そんなんで守護者なんて務まるわけないじゃない!」
デレデレ……?
英語の時間にデレデレ……って
「フィオナ先生のことか!」
私の脳裏に浮かんだ人物の名を叫んで、隣で真弘がいきなり立ち上がった
「拓磨っ!
お前、あんな美人を独占しようとはどういう了見だ!
ぶっ殺す!!」
繰り出された拳を、拓磨は迷惑顔であっさり受け止めた
パシ、という何とも言えない音が小さく響く
「だから、そんなんじゃないっすよ!」
「素直になったらー?」
「だから違うって言ってるじゃないすか、優佳先輩!」
ムキになって否定すればするほど怪しく見えることって、本当にあるんだなぁ
フィオナ先生に対して鼻の下を伸ばしているのは、何も拓磨だけではなくて、大体の男子生徒はそうと言えるのだけど
「うーん、そこまで、美人?」
そう呟いて珠紀ちゃんが首を捻った
その一言で拓磨と真弘のやり取りがピタリと止まる
仲が良いな、本当に……
「お前よりはいい女だろ
……いや、比べること自体失礼か」
「それは言えてる」
「同感」
寝ていると思っていた祐一まで加わるか!
これじゃあまりにも珠紀ちゃんが可哀想だ!
「あのねぇ、三人とも!」
「あの人は心根の綺麗な、いい人だと思う」
「祐一、追い打ちかけちゃ駄目!
ごめんね珠紀ちゃん、本当にデリカシーのない奴ばっかりで……」
まるで珠紀ちゃんが性根の腐った極悪人みたいに言ってくれちゃって
知り合いも誰もいない――立場ゆえに誰もが距離を置きたがるせいで、仲良くなってくれる人もいないだろうに
ただでさえ珠紀ちゃんは村の外から来た人だもの、それだけでもクラスで浮いた存在になってしまっているはず
私達くらいは心を許せる相手でいないと、苦しむのは珠紀ちゃんだ
……というか、なんで私が謝ってるんだろう、悪いのはこのデリカシーのない男共なのに
「なんでお前が謝ってるんだ?」
「三人がデリカシーのないこと言うからでしょ!
可愛い後輩になんてこと言うのよ!」
「可愛い後輩、なぁ……」
真弘の言いたげな視線が私に向けられる
なんでそうやって喧嘩を売るかな、後輩に……
そのとき、珠紀ちゃんの足元から白い何かが現れた
「ニー」
「よしよし、君と優佳先輩だけが私の味方だね
男子ってバカばっかりだねー、オサキ狐君」
それは私も見たことのある生き物だ
真っ白な毛並みの、小さな狐
それはオサキ狐といって、代々玉依姫を守ってきた存在だ
玉依姫の使い魔であるオサキ狐は、ババ様から珠紀ちゃんへと受け継がれたらしい
「んー、なんだ
こいつ、ババ様んとこの使い魔じゃねえか」
「そうよ
超仲良し、あなた達と違って
ね、オサキ狐君」
「……それ、名前なのか?」
「いや、それはないっすよ
まんまじゃないすか」
「まだ名無しか
名前も付けないなんて、嫌ーなご主人様を持ったもんだな、こいつも」
「ある意味俺らと一緒っすね
頼りなくて理解のない女を守らなきゃならない悲しい運命」
「同感」
「だから三人とも!」
いい加減我慢ならないと私が立ち上がった、そのとき
背後で、何かがブチリと切れる音を聞いた気がした……
私たち守護者組は、いつものように屋上で昼食をとっていた
「昨日の鍋、美味しかったー!」
「ま、この俺様が奉行してやったんだから美味くて当然だな!」
真弘が自慢げに大きく頷いて、視線を横に流す
私も観念して視線を正面の二人に向かわせた
「見てない」
「見てた」
「見てない!」
「いーえ、見てました!」
いつまで続くんだろう、このやり取り
さっきからこの二人は謎の問答を続けているのだけど、一体何の話なのか……
「お前ら、何やってんだ……」
「今度は何の喧嘩?」
いつもは呆れられる側の真弘が呆れている
これは相当な事態だ
「ちょっと聞いてよ、先輩達!
拓磨ったら、英語の時間ずーっと、真面目に授業受けてたんですよ!」
……それは良いことなのでは?
心の中で同じことを思ったのか、真弘も怪訝そうに首を傾げている
「サボって怒られるならまだしも、なんで真面目に授業受けて怒られんだよ」
「うーん、特に悪い要素は見当たらないっていうか、それが普通というか」
「デレデレしちゃってさ!
そんなんで守護者なんて務まるわけないじゃない!」
デレデレ……?
英語の時間にデレデレ……って
「フィオナ先生のことか!」
私の脳裏に浮かんだ人物の名を叫んで、隣で真弘がいきなり立ち上がった
「拓磨っ!
お前、あんな美人を独占しようとはどういう了見だ!
ぶっ殺す!!」
繰り出された拳を、拓磨は迷惑顔であっさり受け止めた
パシ、という何とも言えない音が小さく響く
「だから、そんなんじゃないっすよ!」
「素直になったらー?」
「だから違うって言ってるじゃないすか、優佳先輩!」
ムキになって否定すればするほど怪しく見えることって、本当にあるんだなぁ
フィオナ先生に対して鼻の下を伸ばしているのは、何も拓磨だけではなくて、大体の男子生徒はそうと言えるのだけど
「うーん、そこまで、美人?」
そう呟いて珠紀ちゃんが首を捻った
その一言で拓磨と真弘のやり取りがピタリと止まる
仲が良いな、本当に……
「お前よりはいい女だろ
……いや、比べること自体失礼か」
「それは言えてる」
「同感」
寝ていると思っていた祐一まで加わるか!
これじゃあまりにも珠紀ちゃんが可哀想だ!
「あのねぇ、三人とも!」
「あの人は心根の綺麗な、いい人だと思う」
「祐一、追い打ちかけちゃ駄目!
ごめんね珠紀ちゃん、本当にデリカシーのない奴ばっかりで……」
まるで珠紀ちゃんが性根の腐った極悪人みたいに言ってくれちゃって
知り合いも誰もいない――立場ゆえに誰もが距離を置きたがるせいで、仲良くなってくれる人もいないだろうに
ただでさえ珠紀ちゃんは村の外から来た人だもの、それだけでもクラスで浮いた存在になってしまっているはず
私達くらいは心を許せる相手でいないと、苦しむのは珠紀ちゃんだ
……というか、なんで私が謝ってるんだろう、悪いのはこのデリカシーのない男共なのに
「なんでお前が謝ってるんだ?」
「三人がデリカシーのないこと言うからでしょ!
可愛い後輩になんてこと言うのよ!」
「可愛い後輩、なぁ……」
真弘の言いたげな視線が私に向けられる
なんでそうやって喧嘩を売るかな、後輩に……
そのとき、珠紀ちゃんの足元から白い何かが現れた
「ニー」
「よしよし、君と優佳先輩だけが私の味方だね
男子ってバカばっかりだねー、オサキ狐君」
それは私も見たことのある生き物だ
真っ白な毛並みの、小さな狐
それはオサキ狐といって、代々玉依姫を守ってきた存在だ
玉依姫の使い魔であるオサキ狐は、ババ様から珠紀ちゃんへと受け継がれたらしい
「んー、なんだ
こいつ、ババ様んとこの使い魔じゃねえか」
「そうよ
超仲良し、あなた達と違って
ね、オサキ狐君」
「……それ、名前なのか?」
「いや、それはないっすよ
まんまじゃないすか」
「まだ名無しか
名前も付けないなんて、嫌ーなご主人様を持ったもんだな、こいつも」
「ある意味俺らと一緒っすね
頼りなくて理解のない女を守らなきゃならない悲しい運命」
「同感」
「だから三人とも!」
いい加減我慢ならないと私が立ち上がった、そのとき
背後で、何かがブチリと切れる音を聞いた気がした……
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