十九章
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朝から豪華なご馳走を食べた今日
美鶴に見送られながら私達はいつものように学校へ向かった
昨日までとは打って変わって、学校へ行く私達の道中は騒がしいくらい賑やかで
私と真弘も揶揄ったり揶揄われたりしながら、学校の靴箱で、珠紀ちゃんと拓磨の二人と別れた
「おはよう祐一」
「よう、おはよう」
教室には既に祐一がいて、本を読んでいた
私達が一緒に入ってきたのを見て、祐一が微かに微笑む
「おはよう、二人とも
仲違いは解消できたか」
「うっ、心配かけちゃったよね……」
「気にするな
元を正せば真弘の自業自得だ」
「悪かったな!
まあ、見ての通りだ
もう心配はいらねえよ」
「ああ、お前たちはそうしているほうがいい」
真弘と視線が重なって、どちらともなく吹き出す
それからそれぞれの席について、一時間目の授業の用意をした
一時間目は……英語か
フィオナ先生の授業を純粋な気持ちで受けられるなんて、いつぶりだろう
授業が始まる前に向かったお手洗いから戻る途中で、フィオナ先生と鉢合わせた
「おはよう、櫻葉さん」
「おはようございます、フィオナ先生」
美しい微笑みを浮かべた先生は、ふふ、と楽しそうに笑った
「……?」
「いいえ、櫻葉さんがなんだか楽しそうだから
良いことでもあったのかしら?」
「あ、ええと、そうなんです
朝ご飯がすごく美味しかったので……」
「あらあら、それは良かったわね
鴉取君とは仲直りできた?」
え、と上擦った声が出てしまって、顔が赤くなる
まさかフィオナ先生にまで関係が知られているなんて……
「……そ、その、はい」
恥ずかしさで顔を覆いながら、教室の戸を開ける
背後でフィオナ先生が楽しそうに「うふふ」と笑っているのが、なお恥ずかしい
席に戻ると、チャイムが鳴って授業が始まった
日直の号令で挨拶をして、クラスの男子どもは早速、ほぼ全員が鼻の下を伸ばした
* * *
つつがなく一日を終えて、時刻は放課後
校門で真弘と一緒に珠紀ちゃんと拓磨を待って、四人揃って宇賀屋家へと帰宅した
仲直りした次の日だから、真弘との話も弾んだ
こんなに楽しい帰り道は久しぶりかもな、なんて思いながら、神社の階段を登っていく
そうして珠紀ちゃんが玄関を開けて、「ただいまー」と言いながら入っていって
珠紀ちゃんの後に続いて、私と拓磨、真弘も宇賀屋家へと足を踏み入れた
けれど、いつもなら美鶴が出迎えてくれるはずなのに、今日は美鶴のお出迎えがない
ま、そんな日もあるよね
もしかしたら夕飯も凝ったものを作ってるんじゃないのか、なんて言いながら、私たちは特に気にせず、靴を脱いで上がった
だから気付かなかった
玄関に、いつもならあるはずのない、男性用の革靴があったことに
私たちはいろいろと世間話をしながら居間に向かっていて
居間に入った途端、私たちの会話は途絶えた――不自然なほどに
……居間には、予想していない人物が座っていた
「やあ、こんにちは
おじさんだよ」
いつぞや、神社に来ていた、自称公務員の男……だ
男は自分の家が如く、のんびりとお茶なんかすすっていた
……言葉が出ない
男の顔に結び付けられるように、この間の夜のことが思い出された
宵闇の中、この男は珠紀ちゃんにこう言った
『君は利用されてる』
こいつは危険だと、そう五感が警告していた
美鶴が不安そうに私たちを見やる
男は、突然の事態に戸惑って、どうすることも出来ないでいる私たちを見渡して言った
「まあ、そんなところにぼおっと突っ立ってないで、少し落ち着いたらどうかな?」
「ここを自分の家みたいに言わないでください」
「……どういう了見だ、お前?」
拓磨の問いに、男は少し笑った
「まあまあ、そんな怖い顔をしないで
これからは公式に味方だ
仲良くやろうじゃないか」
「……正体も明かさないような、胡散臭い野郎を仲間にしようとは思えねえよ
誰の許可をもらって、そんなこと宣ってるんだ?」
「怪しいことこの上ないうえに、平然とそんなことを言われてもね」
私と真弘が一歩、男に近づくのとほぼ同時に、新しい人物が居間に入ってきた
「私の許可よ
下がりなさい、真弘、優佳」
その人物は
「……お、おばあちゃん」
――ババ様だった
美鶴に見送られながら私達はいつものように学校へ向かった
昨日までとは打って変わって、学校へ行く私達の道中は騒がしいくらい賑やかで
私と真弘も揶揄ったり揶揄われたりしながら、学校の靴箱で、珠紀ちゃんと拓磨の二人と別れた
「おはよう祐一」
「よう、おはよう」
教室には既に祐一がいて、本を読んでいた
私達が一緒に入ってきたのを見て、祐一が微かに微笑む
「おはよう、二人とも
仲違いは解消できたか」
「うっ、心配かけちゃったよね……」
「気にするな
元を正せば真弘の自業自得だ」
「悪かったな!
まあ、見ての通りだ
もう心配はいらねえよ」
「ああ、お前たちはそうしているほうがいい」
真弘と視線が重なって、どちらともなく吹き出す
それからそれぞれの席について、一時間目の授業の用意をした
一時間目は……英語か
フィオナ先生の授業を純粋な気持ちで受けられるなんて、いつぶりだろう
授業が始まる前に向かったお手洗いから戻る途中で、フィオナ先生と鉢合わせた
「おはよう、櫻葉さん」
「おはようございます、フィオナ先生」
美しい微笑みを浮かべた先生は、ふふ、と楽しそうに笑った
「……?」
「いいえ、櫻葉さんがなんだか楽しそうだから
良いことでもあったのかしら?」
「あ、ええと、そうなんです
朝ご飯がすごく美味しかったので……」
「あらあら、それは良かったわね
鴉取君とは仲直りできた?」
え、と上擦った声が出てしまって、顔が赤くなる
まさかフィオナ先生にまで関係が知られているなんて……
「……そ、その、はい」
恥ずかしさで顔を覆いながら、教室の戸を開ける
背後でフィオナ先生が楽しそうに「うふふ」と笑っているのが、なお恥ずかしい
席に戻ると、チャイムが鳴って授業が始まった
日直の号令で挨拶をして、クラスの男子どもは早速、ほぼ全員が鼻の下を伸ばした
* * *
つつがなく一日を終えて、時刻は放課後
校門で真弘と一緒に珠紀ちゃんと拓磨を待って、四人揃って宇賀屋家へと帰宅した
仲直りした次の日だから、真弘との話も弾んだ
こんなに楽しい帰り道は久しぶりかもな、なんて思いながら、神社の階段を登っていく
そうして珠紀ちゃんが玄関を開けて、「ただいまー」と言いながら入っていって
珠紀ちゃんの後に続いて、私と拓磨、真弘も宇賀屋家へと足を踏み入れた
けれど、いつもなら美鶴が出迎えてくれるはずなのに、今日は美鶴のお出迎えがない
ま、そんな日もあるよね
もしかしたら夕飯も凝ったものを作ってるんじゃないのか、なんて言いながら、私たちは特に気にせず、靴を脱いで上がった
だから気付かなかった
玄関に、いつもならあるはずのない、男性用の革靴があったことに
私たちはいろいろと世間話をしながら居間に向かっていて
居間に入った途端、私たちの会話は途絶えた――不自然なほどに
……居間には、予想していない人物が座っていた
「やあ、こんにちは
おじさんだよ」
いつぞや、神社に来ていた、自称公務員の男……だ
男は自分の家が如く、のんびりとお茶なんかすすっていた
……言葉が出ない
男の顔に結び付けられるように、この間の夜のことが思い出された
宵闇の中、この男は珠紀ちゃんにこう言った
『君は利用されてる』
こいつは危険だと、そう五感が警告していた
美鶴が不安そうに私たちを見やる
男は、突然の事態に戸惑って、どうすることも出来ないでいる私たちを見渡して言った
「まあ、そんなところにぼおっと突っ立ってないで、少し落ち着いたらどうかな?」
「ここを自分の家みたいに言わないでください」
「……どういう了見だ、お前?」
拓磨の問いに、男は少し笑った
「まあまあ、そんな怖い顔をしないで
これからは公式に味方だ
仲良くやろうじゃないか」
「……正体も明かさないような、胡散臭い野郎を仲間にしようとは思えねえよ
誰の許可をもらって、そんなこと宣ってるんだ?」
「怪しいことこの上ないうえに、平然とそんなことを言われてもね」
私と真弘が一歩、男に近づくのとほぼ同時に、新しい人物が居間に入ってきた
「私の許可よ
下がりなさい、真弘、優佳」
その人物は
「……お、おばあちゃん」
――ババ様だった
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