十七章
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森の中を、私たちは走る
真弘の風と、私の言霊で、私達はものすごい速さで走っていた
「ねえ、待って!
三人とも、待ってよ!」
珠紀ちゃんの声で、私たちは止まった
敵が封印を脅かそうとしているのに、何を待つ必要があるのか
「何だ、どうしたんだよ」
「どうしても、言っておきたいことがあるの
敵と会っても、戦わないでほしいの」
「……お前、まだそんな甘っちょろいことを」
「違う、違うよ!
みんなは、まだ、強くなれるから
私、あれからまた優佳先輩と二人で調べてたの
玉依姫のこと、過去のロゴスとの戦いのこと
どうやって守護者が、ロゴスを退けてこれたのか
あのね、玉依姫が、守護者に力を与えることで、守護者はより強い力を得ることができるみたいなの
私さえちゃんと成長できれば、三人は、ううん、六人は、もっと強くなれるの
希望はあるはずだから……」
珠紀ちゃんはそう言って、俯いた
「……ごめんね
私が、玉依姫として覚醒していないせいで
私が、未熟だから」
その言葉に、私たちは顔を見合わせて
真弘と私が同じタイミングでため息をついた
「……あのな、あれだけ元気出せとか騒いでたお前が、気落ちしてどうすんだよ」
「俺たちは自分の未熟さに嫌気が差してたんだ
お前の未熟さにじゃない」
「結果的に、珠紀ちゃんを傷付けちゃったけどね……」
拓磨がそう言って、森の奥を見つめた
その気配は、もうここまで届いている
「急ぐぞ、バカ!」
私たちは再び封印域へ向かった
近づくにつれ、戦いの物音が聞こえ始める
「他の三人の誰かが、もう?」
「……いや、違う
仲間が戦ってるなら、俺たちにはそれと分かる」
「三人の気配がしないから、戦ってる相手は守護者じゃないと思う
でもだとしたら、誰が……」
私達以外に、彼らと戦う存在がいるだろうか?
疑問を抱きながらも封印域に近づいて、私たちはそこで立ち止まった
そこにいたのは、ロゴスの二人――
「……アイン、ツヴァイ!」
「あのやろ」
真弘の体が固くなる
珠紀ちゃんが、その腕を掴んだ
「わかってる」
真弘は悔しそうに呟いて、身体の力を抜いた
万が一にも見つからないように、私達を囲むように幻術をかける
そうして改めて戦いに目を向けた
月明りの中、二人は何かと戦っている
相手は……山のカミか
「何、何が起きてるの?」
「……山のカミ、だ」
「山のカミ?
なに、それ、それが今、二人と戦ってるの?」
「……このあたりのカミを取り仕切ってるやつだよ、大物だ
普段は何があっても不干渉を貫いてたのによ
こりゃ、一体」
その時、ツヴァイが何かを切り裂く音がした
「グウウウォオオオアアアア!!」
山のカミの攻撃が一段と激しくなる
ツヴァイはそれを、確実に避け、鎌で防いでいく
笑みさえ浮かべて
「……なにも、見えない」
「山のカミは力あるカミだ
見ることはできない
……いや、あいつらには見えてるのかもしれないが」
その時、アインが動いた
ツヴァイも苦戦しているようには見えなかったのに、なぜアインが
「……らちがあかないな
どいてろ、ツヴァイ」
「もっと、喰いたい」
「あまり、時間をかけるな」
アインの身体が前に出る
ツヴァイは宙に飛んで、アインは拳を構えた
「……辺境の魔物よ
我が拳に打たれて消えろ」
アインの拳に、力が集まっていく
そうしてその一撃が、何もないように見える場所へ撃ち出された
土煙を上げ、巨体で重い、不可視の何かが吹き飛ばされる
山のカミが……たった一撃で?
ソレは木々をへし折り、やがて、重たい沈黙に変わる
それで、終わりだった
「……やられたのか、山のカミが
あれだけの力を持ったカミが
こんなに、あっさりと」
ツヴァイは一人、封印に向かう
真弘はそれを見て、一歩踏み出し
「……だめ、真弘先輩、ダメだよ」
「だけどよ!
封印が!」
「だめ、今は、だめ!
お願いだから……」
「……真弘
今は珠紀ちゃんの言う通りにしてあげて」
「優佳まで、何言って……」
私の手を握る珠紀ちゃんの右手は、震えている
真弘は、珠紀ちゃんの体の震えに気付いて、ようやく留まった
真弘の風と、私の言霊で、私達はものすごい速さで走っていた
「ねえ、待って!
三人とも、待ってよ!」
珠紀ちゃんの声で、私たちは止まった
敵が封印を脅かそうとしているのに、何を待つ必要があるのか
「何だ、どうしたんだよ」
「どうしても、言っておきたいことがあるの
敵と会っても、戦わないでほしいの」
「……お前、まだそんな甘っちょろいことを」
「違う、違うよ!
みんなは、まだ、強くなれるから
私、あれからまた優佳先輩と二人で調べてたの
玉依姫のこと、過去のロゴスとの戦いのこと
どうやって守護者が、ロゴスを退けてこれたのか
あのね、玉依姫が、守護者に力を与えることで、守護者はより強い力を得ることができるみたいなの
私さえちゃんと成長できれば、三人は、ううん、六人は、もっと強くなれるの
希望はあるはずだから……」
珠紀ちゃんはそう言って、俯いた
「……ごめんね
私が、玉依姫として覚醒していないせいで
私が、未熟だから」
その言葉に、私たちは顔を見合わせて
真弘と私が同じタイミングでため息をついた
「……あのな、あれだけ元気出せとか騒いでたお前が、気落ちしてどうすんだよ」
「俺たちは自分の未熟さに嫌気が差してたんだ
お前の未熟さにじゃない」
「結果的に、珠紀ちゃんを傷付けちゃったけどね……」
拓磨がそう言って、森の奥を見つめた
その気配は、もうここまで届いている
「急ぐぞ、バカ!」
私たちは再び封印域へ向かった
近づくにつれ、戦いの物音が聞こえ始める
「他の三人の誰かが、もう?」
「……いや、違う
仲間が戦ってるなら、俺たちにはそれと分かる」
「三人の気配がしないから、戦ってる相手は守護者じゃないと思う
でもだとしたら、誰が……」
私達以外に、彼らと戦う存在がいるだろうか?
疑問を抱きながらも封印域に近づいて、私たちはそこで立ち止まった
そこにいたのは、ロゴスの二人――
「……アイン、ツヴァイ!」
「あのやろ」
真弘の体が固くなる
珠紀ちゃんが、その腕を掴んだ
「わかってる」
真弘は悔しそうに呟いて、身体の力を抜いた
万が一にも見つからないように、私達を囲むように幻術をかける
そうして改めて戦いに目を向けた
月明りの中、二人は何かと戦っている
相手は……山のカミか
「何、何が起きてるの?」
「……山のカミ、だ」
「山のカミ?
なに、それ、それが今、二人と戦ってるの?」
「……このあたりのカミを取り仕切ってるやつだよ、大物だ
普段は何があっても不干渉を貫いてたのによ
こりゃ、一体」
その時、ツヴァイが何かを切り裂く音がした
「グウウウォオオオアアアア!!」
山のカミの攻撃が一段と激しくなる
ツヴァイはそれを、確実に避け、鎌で防いでいく
笑みさえ浮かべて
「……なにも、見えない」
「山のカミは力あるカミだ
見ることはできない
……いや、あいつらには見えてるのかもしれないが」
その時、アインが動いた
ツヴァイも苦戦しているようには見えなかったのに、なぜアインが
「……らちがあかないな
どいてろ、ツヴァイ」
「もっと、喰いたい」
「あまり、時間をかけるな」
アインの身体が前に出る
ツヴァイは宙に飛んで、アインは拳を構えた
「……辺境の魔物よ
我が拳に打たれて消えろ」
アインの拳に、力が集まっていく
そうしてその一撃が、何もないように見える場所へ撃ち出された
土煙を上げ、巨体で重い、不可視の何かが吹き飛ばされる
山のカミが……たった一撃で?
ソレは木々をへし折り、やがて、重たい沈黙に変わる
それで、終わりだった
「……やられたのか、山のカミが
あれだけの力を持ったカミが
こんなに、あっさりと」
ツヴァイは一人、封印に向かう
真弘はそれを見て、一歩踏み出し
「……だめ、真弘先輩、ダメだよ」
「だけどよ!
封印が!」
「だめ、今は、だめ!
お願いだから……」
「……真弘
今は珠紀ちゃんの言う通りにしてあげて」
「優佳まで、何言って……」
私の手を握る珠紀ちゃんの右手は、震えている
真弘は、珠紀ちゃんの体の震えに気付いて、ようやく留まった
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