十六章
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目が覚めると、外からは早朝の気配が漂っていた
ひとつ唸って起き上がる
それからぐっと背伸びをして、部屋のカーテンを開けた
「……いい天気だな」
私の心とは正反対で、恨めしくなる
……あれから一晩、考えてみた
私の命の使い道は予め決められている事だとしても、ここまでババ様がなんの動きも見せないということは、それは今ではないということ
……であるならば
「珠紀ちゃんが諦めていないのに、私が勝手に諦めるわけには、いかないね」
そうとなれば、今日行くべきは学校ではなく、珠紀ちゃんのところだ
玄関にある固定電話の受話器を上げて、真弘の家に電話をかける
数コールの後、おばさんの声が聞こえてきたから、真弘に代わってもらった
[なんだよ、朝っぱらから]
「おはよう
私、今日は学校、行かないから
それだけ伝えようと思って」
そう言うと、案の定、電話の向こうの声は尖っていく
私なんかいてもいなくても変わらないくせに、何をそんなに怒ってるんだか
[あ?
なんでだよ?]
「なんででも
珠紀ちゃんの様子も気になるし」
[あいつなら放っとけばいいだろ]
「そういうわけにもいかないよ
大体、誰のせいでこんなに珠紀ちゃんとの仲が悪くなったと思ってるわけ?」
[俺のせいだってのか!?]
「主に真弘と拓磨のせいでしょ
そういうわけだから、今日は一日、宇賀谷家のほうに行ってみる
どうせ珠紀ちゃんも学校には来ないよ」
昨日のこともあったし、あの子は自分一人でも調べに行くだろうし
真弘にそう言うと、僅かな沈黙の後に[分かった]と返事があった
[けどよ、その……
いや、なんでもねえ]
「変なの
じゃあ、またね」
[お、おう]
受話器を置いてため息をつく
真弘の心が、分かるようで分からない
(私の事なんて、もうどうでもいいと思ってるんじゃないの?)
もし、それが私の杞憂だとしたら――
そこまでを考えて、首を振った
真弘との事を考えるのはやめよう
いずれ別れが来るのだから、無理して真弘との仲を修復しなくたっていいって決めたじゃないか
苦しくなるのは、真弘だ
私のことが好きだったばかりに、私を失って悲しむことだけは、させたくない
「……よし」
気持ちを入れ替えて、玄関から部屋へと戻る
私服に着替えて、それから朝食の準備に取り掛かった
「……やっぱり、学校に行けばよかったかな…」
台所で手を洗いながらふと呟く
ううん、ここまで来たらもう、宇賀谷家の蔵に行くしかない
伝達用の式神の目を通して見ると、珠紀ちゃんは登校拒否と言っていた
「ちょっと、プライバシーの侵害かも?」
式神を付けていることは黙っておこう
学校に行かないと決めて時間に余裕ができたおかげで、今日の朝食は、いつにも増して豪勢になった
分かりやすく言えば、作りすぎた
「あまりは当然、お弁当だよね」
愛用のお弁当箱に、余ったおかずと特製の塩おにぎりを詰め、玄関へと向かう
愛用のスニーカーを履いて外へ出てから、しっかりと戸締りをした
「さ、行きますか
――加速」
言霊を使って、宇賀谷家を目指す
道中は学校へ向かう人達が列を成していたけれど、守護者のみんなとは会わなかった
あっという間に宇賀屋家に着いて、神社で手を合わせる
それから蔵に行くと、もう入口は開いていた
そっと中を覗くと、珠紀ちゃんが一人で資料を探しているのが見えた
一人でぶつぶつと呟きながら、何かの作業を繰り返している
声を掛けようと蔵に足を踏み入れた時、ギシ、と床が鳴った
「誰ですか?」
珠紀ちゃんの固い声が響く
「私だよ、珠紀ちゃん
優佳」
「えっ、優佳先輩!?」
珠紀ちゃんが心底びっくりした、という顔で私を見る
小さく手を振って蔵の中へと入った
「どうしてここが……?」
「珠紀ちゃんなら、ここに来ると思って
……泣き腫らしたって目だね」
「あ……」
手を翳して、珠紀ちゃんの目の腫れを治す
恥ずかしそうに珠紀ちゃんが視線を俯かせた
「ありがとう、ございます」
「ううん
それより、昨日は本当にごめんなさい
それから、この間の、屋上のことも」
「そんな、先輩は何も」
「私だけでも、謝らせて」
私の視線に、珠紀ちゃんはそっと頷いてくれた
優しい子だ
あとは、いつもの元気を取り戻してくれればいいな
ひとつ唸って起き上がる
それからぐっと背伸びをして、部屋のカーテンを開けた
「……いい天気だな」
私の心とは正反対で、恨めしくなる
……あれから一晩、考えてみた
私の命の使い道は予め決められている事だとしても、ここまでババ様がなんの動きも見せないということは、それは今ではないということ
……であるならば
「珠紀ちゃんが諦めていないのに、私が勝手に諦めるわけには、いかないね」
そうとなれば、今日行くべきは学校ではなく、珠紀ちゃんのところだ
玄関にある固定電話の受話器を上げて、真弘の家に電話をかける
数コールの後、おばさんの声が聞こえてきたから、真弘に代わってもらった
[なんだよ、朝っぱらから]
「おはよう
私、今日は学校、行かないから
それだけ伝えようと思って」
そう言うと、案の定、電話の向こうの声は尖っていく
私なんかいてもいなくても変わらないくせに、何をそんなに怒ってるんだか
[あ?
なんでだよ?]
「なんででも
珠紀ちゃんの様子も気になるし」
[あいつなら放っとけばいいだろ]
「そういうわけにもいかないよ
大体、誰のせいでこんなに珠紀ちゃんとの仲が悪くなったと思ってるわけ?」
[俺のせいだってのか!?]
「主に真弘と拓磨のせいでしょ
そういうわけだから、今日は一日、宇賀谷家のほうに行ってみる
どうせ珠紀ちゃんも学校には来ないよ」
昨日のこともあったし、あの子は自分一人でも調べに行くだろうし
真弘にそう言うと、僅かな沈黙の後に[分かった]と返事があった
[けどよ、その……
いや、なんでもねえ]
「変なの
じゃあ、またね」
[お、おう]
受話器を置いてため息をつく
真弘の心が、分かるようで分からない
(私の事なんて、もうどうでもいいと思ってるんじゃないの?)
もし、それが私の杞憂だとしたら――
そこまでを考えて、首を振った
真弘との事を考えるのはやめよう
いずれ別れが来るのだから、無理して真弘との仲を修復しなくたっていいって決めたじゃないか
苦しくなるのは、真弘だ
私のことが好きだったばかりに、私を失って悲しむことだけは、させたくない
「……よし」
気持ちを入れ替えて、玄関から部屋へと戻る
私服に着替えて、それから朝食の準備に取り掛かった
「……やっぱり、学校に行けばよかったかな…」
台所で手を洗いながらふと呟く
ううん、ここまで来たらもう、宇賀谷家の蔵に行くしかない
伝達用の式神の目を通して見ると、珠紀ちゃんは登校拒否と言っていた
「ちょっと、プライバシーの侵害かも?」
式神を付けていることは黙っておこう
学校に行かないと決めて時間に余裕ができたおかげで、今日の朝食は、いつにも増して豪勢になった
分かりやすく言えば、作りすぎた
「あまりは当然、お弁当だよね」
愛用のお弁当箱に、余ったおかずと特製の塩おにぎりを詰め、玄関へと向かう
愛用のスニーカーを履いて外へ出てから、しっかりと戸締りをした
「さ、行きますか
――加速」
言霊を使って、宇賀谷家を目指す
道中は学校へ向かう人達が列を成していたけれど、守護者のみんなとは会わなかった
あっという間に宇賀屋家に着いて、神社で手を合わせる
それから蔵に行くと、もう入口は開いていた
そっと中を覗くと、珠紀ちゃんが一人で資料を探しているのが見えた
一人でぶつぶつと呟きながら、何かの作業を繰り返している
声を掛けようと蔵に足を踏み入れた時、ギシ、と床が鳴った
「誰ですか?」
珠紀ちゃんの固い声が響く
「私だよ、珠紀ちゃん
優佳」
「えっ、優佳先輩!?」
珠紀ちゃんが心底びっくりした、という顔で私を見る
小さく手を振って蔵の中へと入った
「どうしてここが……?」
「珠紀ちゃんなら、ここに来ると思って
……泣き腫らしたって目だね」
「あ……」
手を翳して、珠紀ちゃんの目の腫れを治す
恥ずかしそうに珠紀ちゃんが視線を俯かせた
「ありがとう、ございます」
「ううん
それより、昨日は本当にごめんなさい
それから、この間の、屋上のことも」
「そんな、先輩は何も」
「私だけでも、謝らせて」
私の視線に、珠紀ちゃんはそっと頷いてくれた
優しい子だ
あとは、いつもの元気を取り戻してくれればいいな
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