十五章
夢小説設定
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結局何もかもがそのまま、翌日になった
私はいつものように学校に来て、授業を受けて、そして昼休みになった
昨日のことがあって、珠紀ちゃんとどう話せばいいのかが分からない
……それでも、いつまでもこのままでいたくない
私だけでも、謝りたいんだけど……
そう思いながら、屋上に集まった
謝りたいと思っているのは私だけにしても、守護者のみんなはお昼休みになると、やっぱり屋上に上がってくる
それがなんだか、ちょっとだけ可笑しかった
「ねえ、聞いてほしいことがあるの」
真剣な声音で珠紀ちゃんがそう切り出す
私たちはそれを怪訝な目で見つめた
「これからまたね、動き出したいって思ってて、みんなも、協力してほしいの
お願い」
「あのなあ、あれだけ命の危険に晒されといて、またお前は――」
真弘が説教に入りかける
それに珠紀ちゃんが眦を吊り上げた
「じゃあ黙って待ってろって言うの!?
あなた達が負けるのを!」
「だからって、また戦いに顔を出すのかよ」
「……違う、そんなつもりなんか……
少なくとも、今は
特に、拓磨と真弘先輩、優佳先輩には、封印の見回りはやめてほしいの」
「なに?
じゃ、何をするんだ」
「私が誰だか、調べたいの」
その言葉で、私の頭上に「?」マークが三つほど並んだ
並んだのは私だけではなくて、全員だったみたいだ
ちょっと安心した
「……お前、どっかに頭ぶつけたんじゃねえか?」
「だ、大丈夫?
何かあった?」
「ぶつけてないし、何もありません!!
今日はもう一度、自分たちのことを調べてみるの!」
「一人でやれよ、そんなのは
俺らは封印の見回りで忙しいんだ」
「それは、慎司君と祐一先輩に任せます
ただし、先輩たちはもし敵を見つけても手を出さないこと」
「え……と、それは、なぜ」
「……負けちゃうから」
「珠紀、それは、少し言い過ぎじゃないか?」
「……また大怪我を負ってほしくないから……」
「言ってる場合かよ」
拓磨が珠紀ちゃんにそう言う
だけど珠紀ちゃんは首を振って譲らない
「後ろ向きにならないでよ
今は情報を集めることが重要だと思う
敵のことも、自分のことも
みんなだって知らないんでしょ?
守護五家の存在や封印について」
「……そりゃ、まあな」
「じゃあ、ついて来て」
「だから、なんで俺らなんだよ!
そういうことなら、大蛇さんの方がいいに決まってる」
「そうだよ
大蛇さんの方が詳しく調べてると思うし、きっと分からないこととかも知ってると思うし」
真弘と私の反論を前にしても、珠紀ちゃんは退かない
珠紀ちゃんの真っ直ぐな瞳が拓磨と真弘、そして私を見つめた
「私が、拓磨と真弘先輩と優佳先輩を選んだのは、放っておけば、三人が無茶をするって、思ってるから」
「……だから、いいんだよ
封印さえ守れりゃ、それでいいんだ」
「そんなことあるわけないでしょ!
そんなだから、戦わせたくないの……
そんなふうに自分の命を、軽く見てるから……」
それきり、誰も口を開かなかった
自分の命を軽く見ている
それは紛れもない、事実だった
ひとつ訂正をするなら、『軽く見ている』のではなくて、『元から私の命に重みなんて無いに等しい』が正しいということ
「……分かりました
僕らは残りの封印を回ります
大蛇さんも誘えば、三人
封印も残り三つですから、丁度いいです」
「拓磨、真弘、優佳、お前らは珠紀についてやれ
いくら何でも、一人で行動させるのは問題だろう」
拓磨と真弘は、渋々ながら頷く
そこまで言われると、私も頷かざるを得ない
「分かった、私もついていく」
ため息をついて、私も珠紀ちゃんにそう言った
「よし、そういうことね!
じゃ、放課後、おばあちゃんの家に集合
頑張ろう!」
「空元気ばっかりだな、お前は」
「どこがよ!
私、ちょー元気!」
「……手が震えてる」
拓磨の言うとおり、珠紀ちゃんの手は震えていた
自分では気付かなかったんだろう
……緊張してたのかな、怖かったのかも
私達にこれを言うために、珠紀ちゃんがどれほどの勇気を振り絞ったのか、私達は考えてやれなかった
「……ほんとだ」
「情けねえな!
なんて情けねえ!
ついていってやるよ!
こんな頼りないの一人にしてたら、危なくてしょうがない!
あと優佳も来い!
お前もなんだかんだで危なっかしいからな!」
「ちょっと、それどういう意味!?
真弘の傷を散々治させられたのは、どこの誰だと思ってるのよ!」
危なっかしいに関しては真弘のほうが上だと思ってるのに!
真弘は案の定、手で耳を塞いで顔をしかめた
後悔するくらいなら言うんじゃない
……ともかく、そんなこんなで、再び私たちは行動を開始した
それに、蔵で調べていけば、何かしらの切っ掛けにも気付けるかもしれない
そうすれば私が封印を施して、みんなももう戦わなくて良くなる
真弘が、怪我を負うことも……瀕死になることもない
守るって決めたんだ、真弘のこと、私が
全部、終わらせるんだ――私が
私はいつものように学校に来て、授業を受けて、そして昼休みになった
昨日のことがあって、珠紀ちゃんとどう話せばいいのかが分からない
……それでも、いつまでもこのままでいたくない
私だけでも、謝りたいんだけど……
そう思いながら、屋上に集まった
謝りたいと思っているのは私だけにしても、守護者のみんなはお昼休みになると、やっぱり屋上に上がってくる
それがなんだか、ちょっとだけ可笑しかった
「ねえ、聞いてほしいことがあるの」
真剣な声音で珠紀ちゃんがそう切り出す
私たちはそれを怪訝な目で見つめた
「これからまたね、動き出したいって思ってて、みんなも、協力してほしいの
お願い」
「あのなあ、あれだけ命の危険に晒されといて、またお前は――」
真弘が説教に入りかける
それに珠紀ちゃんが眦を吊り上げた
「じゃあ黙って待ってろって言うの!?
あなた達が負けるのを!」
「だからって、また戦いに顔を出すのかよ」
「……違う、そんなつもりなんか……
少なくとも、今は
特に、拓磨と真弘先輩、優佳先輩には、封印の見回りはやめてほしいの」
「なに?
じゃ、何をするんだ」
「私が誰だか、調べたいの」
その言葉で、私の頭上に「?」マークが三つほど並んだ
並んだのは私だけではなくて、全員だったみたいだ
ちょっと安心した
「……お前、どっかに頭ぶつけたんじゃねえか?」
「だ、大丈夫?
何かあった?」
「ぶつけてないし、何もありません!!
今日はもう一度、自分たちのことを調べてみるの!」
「一人でやれよ、そんなのは
俺らは封印の見回りで忙しいんだ」
「それは、慎司君と祐一先輩に任せます
ただし、先輩たちはもし敵を見つけても手を出さないこと」
「え……と、それは、なぜ」
「……負けちゃうから」
「珠紀、それは、少し言い過ぎじゃないか?」
「……また大怪我を負ってほしくないから……」
「言ってる場合かよ」
拓磨が珠紀ちゃんにそう言う
だけど珠紀ちゃんは首を振って譲らない
「後ろ向きにならないでよ
今は情報を集めることが重要だと思う
敵のことも、自分のことも
みんなだって知らないんでしょ?
守護五家の存在や封印について」
「……そりゃ、まあな」
「じゃあ、ついて来て」
「だから、なんで俺らなんだよ!
そういうことなら、大蛇さんの方がいいに決まってる」
「そうだよ
大蛇さんの方が詳しく調べてると思うし、きっと分からないこととかも知ってると思うし」
真弘と私の反論を前にしても、珠紀ちゃんは退かない
珠紀ちゃんの真っ直ぐな瞳が拓磨と真弘、そして私を見つめた
「私が、拓磨と真弘先輩と優佳先輩を選んだのは、放っておけば、三人が無茶をするって、思ってるから」
「……だから、いいんだよ
封印さえ守れりゃ、それでいいんだ」
「そんなことあるわけないでしょ!
そんなだから、戦わせたくないの……
そんなふうに自分の命を、軽く見てるから……」
それきり、誰も口を開かなかった
自分の命を軽く見ている
それは紛れもない、事実だった
ひとつ訂正をするなら、『軽く見ている』のではなくて、『元から私の命に重みなんて無いに等しい』が正しいということ
「……分かりました
僕らは残りの封印を回ります
大蛇さんも誘えば、三人
封印も残り三つですから、丁度いいです」
「拓磨、真弘、優佳、お前らは珠紀についてやれ
いくら何でも、一人で行動させるのは問題だろう」
拓磨と真弘は、渋々ながら頷く
そこまで言われると、私も頷かざるを得ない
「分かった、私もついていく」
ため息をついて、私も珠紀ちゃんにそう言った
「よし、そういうことね!
じゃ、放課後、おばあちゃんの家に集合
頑張ろう!」
「空元気ばっかりだな、お前は」
「どこがよ!
私、ちょー元気!」
「……手が震えてる」
拓磨の言うとおり、珠紀ちゃんの手は震えていた
自分では気付かなかったんだろう
……緊張してたのかな、怖かったのかも
私達にこれを言うために、珠紀ちゃんがどれほどの勇気を振り絞ったのか、私達は考えてやれなかった
「……ほんとだ」
「情けねえな!
なんて情けねえ!
ついていってやるよ!
こんな頼りないの一人にしてたら、危なくてしょうがない!
あと優佳も来い!
お前もなんだかんだで危なっかしいからな!」
「ちょっと、それどういう意味!?
真弘の傷を散々治させられたのは、どこの誰だと思ってるのよ!」
危なっかしいに関しては真弘のほうが上だと思ってるのに!
真弘は案の定、手で耳を塞いで顔をしかめた
後悔するくらいなら言うんじゃない
……ともかく、そんなこんなで、再び私たちは行動を開始した
それに、蔵で調べていけば、何かしらの切っ掛けにも気付けるかもしれない
そうすれば私が封印を施して、みんなももう戦わなくて良くなる
真弘が、怪我を負うことも……瀕死になることもない
守るって決めたんだ、真弘のこと、私が
全部、終わらせるんだ――私が
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