十三章
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ツヴァイの鎌が、真弘の頭上高くに振りあげられていく
気力で立ち上がった、まさにその時
「略法!
伏敵!
急ぎ律令の如くせよ!!」
そう声がして、次の瞬間
光があふれた
光は大蛇の如く、アインとツヴァイの元に突き進む
二人の顔に驚きの表情が現れて、そのエネルギーの奔流の中に飲み込まれた
「うわっ……!」
その威力に吹き飛ばされそうになる
「優佳!!」
誰かが後ろから支えてくれた
二度目の光が襲来する
「珠紀ちゃん、まさか呪符を連続で使うつもりじゃ……!!」
「あのバカはそうするに決まってるだろ!!」
その声で初めて、背中を受け止めてくれていた人物が真弘だったと気づく
どうして、なんて場違いな問いが、心の中に浮かんだ
「略法
伏敵……急ぎ、律令の如く、せよ!」
空間を捻じ曲げるような力
轟音と、熱と、衝撃
「くっ……!!」
真弘の支えの手が離れた
それにならって、私の身体も地面に傾く
アインとツヴァイを光は打ち抜いて
そして、静寂が訪れる
私達はふらふらした足取りで、珠紀ちゃんの元へと歩み寄った
「……何やってんだ、バカやろう」
「なんて無茶だ!
霊符とは言えあんなもんをしかも三連発だと!
バカか!
死ぬぞ!」
「霊符の連発は命取りなんだから!
もうこんなこと絶対しないで!」
今にも倒れそうな珠紀ちゃんを、三人で支える
大きく呼吸を繰り返しながら、珠紀ちゃんは薄らと微笑んだ
「せ、かく頑張ったのに、その言い草は、ひどいですよ
しかも、優佳先輩だって、霊符を連発、してたじゃないですか」
「お前まで何やってんだ、優佳!!」
「私は霊力があるし、珠紀ちゃんが持ってるものほど激しく消費するものじゃないからいいの!
とにかく、もう駄目だよ?」
私がそう言った瞬間、珠紀ちゃんの頭に拓磨の拳が落ちた
「いた
なによ、助けたのに」
「俺は、逃げろと言ったんだ
聞いてなかったのか、お前は」
拓磨が言葉を途中で切って、境内を振り返った
そこには……
「なかなか足掻く」
……ロゴスのモナド
アリア・ローゼンブルグがそこにいた
「戦いを一時やめよ!」
アリアの声が響き、ドライとフィーアがアリアの傍に現れた
どちらも大してダメージを受けているようには見えない
「……手ごわいな」
大蛇さんがそう言う
「どうやら、俺たちは魔術師の力を甘く見ていたらしい」
「……なんとか無事ですけどね」
祐一と慎司も珠紀ちゃんの傍に集まった
決して、計画通りではない
それでも……
あれだけの攻撃を受けて、アインとツヴァイが無事であるとも思えない
つまり、残る戦力は、ドライとフィーア
……勝機が、見えた?
感じ取れるアインとツヴァイの力は、ほとんど微弱なものになっていた
……でも、何だろう
あの二人がこれで倒れるようには、なぜか思えない
霊符の効力は凄まじかった
だけど、それでも私は腑に落ちない
百発の呪符――それも攻撃性の高いそれを、数発受けて無傷だった奴らだ
「アインとツヴァイはもう動けない
今すぐ、帰って、アリア」
「……帰る?
面白いことを言う女だな」
アリアがそう言った瞬間、アインとツヴァイが、アリアの傍に立っていた
……それは、絶望の知らせ
彼らに対抗する力を、私達は誰一人として持っていないという証左だった
「あの程度の攻撃で、私のしもべが殺せるとでも思ったのか」
その言葉通り、二人は特に目立つ外傷がない
こちらは、一人も欠けることはないものの、全員が満身創痍……
とりわけ、真弘の疲労は一番ひどい
直接攻撃こそ受けていないけれど、月明かりでも分かる程、青ざめていた
あれだけの速さで攻撃して、敵の攻撃を避けていれば、そうなるのも無理はない
「……俺はやれる」
拓磨がぼそりと呟く
「まだ、やれますよ
僕も」
ぼろぼろの身体で、慎司も続いた
「右に同じだ」
いつもと変わらない口調で、それでもやっぱりぼろぼろの祐一が続いて
「へ、お前らぼろぼろでよく言うよな
俺一人で片してやるから、どいつもこいつも眠ってろ」
荒く息をしながら、真弘がそう言った
「くそ、なんなんだ
けったいな術を使いやがって」
「私も、まだいける
呪符だってまだ残ってるし」
私もそう言った
もちろん、アインの攻撃を二度も食らったのだから、体が無事であるはずがない
それでも……やるしかないから
「どうやら、私がこの中では一番元気そうですね」
そう言う大蛇さんの顔も、術の使い過ぎで疲労の色が濃い
誰もが今、限界だった
「……もう一度、問おう
封印を渡せ
シビル、お前は私たちについて来い
そうであれば、見逃してやらぬこともない」
アリアがそう言って、再び沈黙が訪れた
私たちはただ珠紀ちゃんを見つめている
実を言えば、私の霊力も限界が近づいていた
あれだけ豊富にあった霊力も、術や霊符を使いまくれば減るのは当然で
こうなれば使えるものはもう一つしかない
自分の、生命力
封印と珠紀ちゃんを守るためなら、命くらいどうということはない
もともと私の命は、そのための道具なのだから
珠紀ちゃんは目を閉じ、そして、もう一度開けた
口を開き、そして……
「封印は、渡せません」
珠紀ちゃんの言葉は、闇に消える
私も、誰も反論しなかった
気力で立ち上がった、まさにその時
「略法!
伏敵!
急ぎ律令の如くせよ!!」
そう声がして、次の瞬間
光があふれた
光は大蛇の如く、アインとツヴァイの元に突き進む
二人の顔に驚きの表情が現れて、そのエネルギーの奔流の中に飲み込まれた
「うわっ……!」
その威力に吹き飛ばされそうになる
「優佳!!」
誰かが後ろから支えてくれた
二度目の光が襲来する
「珠紀ちゃん、まさか呪符を連続で使うつもりじゃ……!!」
「あのバカはそうするに決まってるだろ!!」
その声で初めて、背中を受け止めてくれていた人物が真弘だったと気づく
どうして、なんて場違いな問いが、心の中に浮かんだ
「略法
伏敵……急ぎ、律令の如く、せよ!」
空間を捻じ曲げるような力
轟音と、熱と、衝撃
「くっ……!!」
真弘の支えの手が離れた
それにならって、私の身体も地面に傾く
アインとツヴァイを光は打ち抜いて
そして、静寂が訪れる
私達はふらふらした足取りで、珠紀ちゃんの元へと歩み寄った
「……何やってんだ、バカやろう」
「なんて無茶だ!
霊符とは言えあんなもんをしかも三連発だと!
バカか!
死ぬぞ!」
「霊符の連発は命取りなんだから!
もうこんなこと絶対しないで!」
今にも倒れそうな珠紀ちゃんを、三人で支える
大きく呼吸を繰り返しながら、珠紀ちゃんは薄らと微笑んだ
「せ、かく頑張ったのに、その言い草は、ひどいですよ
しかも、優佳先輩だって、霊符を連発、してたじゃないですか」
「お前まで何やってんだ、優佳!!」
「私は霊力があるし、珠紀ちゃんが持ってるものほど激しく消費するものじゃないからいいの!
とにかく、もう駄目だよ?」
私がそう言った瞬間、珠紀ちゃんの頭に拓磨の拳が落ちた
「いた
なによ、助けたのに」
「俺は、逃げろと言ったんだ
聞いてなかったのか、お前は」
拓磨が言葉を途中で切って、境内を振り返った
そこには……
「なかなか足掻く」
……ロゴスのモナド
アリア・ローゼンブルグがそこにいた
「戦いを一時やめよ!」
アリアの声が響き、ドライとフィーアがアリアの傍に現れた
どちらも大してダメージを受けているようには見えない
「……手ごわいな」
大蛇さんがそう言う
「どうやら、俺たちは魔術師の力を甘く見ていたらしい」
「……なんとか無事ですけどね」
祐一と慎司も珠紀ちゃんの傍に集まった
決して、計画通りではない
それでも……
あれだけの攻撃を受けて、アインとツヴァイが無事であるとも思えない
つまり、残る戦力は、ドライとフィーア
……勝機が、見えた?
感じ取れるアインとツヴァイの力は、ほとんど微弱なものになっていた
……でも、何だろう
あの二人がこれで倒れるようには、なぜか思えない
霊符の効力は凄まじかった
だけど、それでも私は腑に落ちない
百発の呪符――それも攻撃性の高いそれを、数発受けて無傷だった奴らだ
「アインとツヴァイはもう動けない
今すぐ、帰って、アリア」
「……帰る?
面白いことを言う女だな」
アリアがそう言った瞬間、アインとツヴァイが、アリアの傍に立っていた
……それは、絶望の知らせ
彼らに対抗する力を、私達は誰一人として持っていないという証左だった
「あの程度の攻撃で、私のしもべが殺せるとでも思ったのか」
その言葉通り、二人は特に目立つ外傷がない
こちらは、一人も欠けることはないものの、全員が満身創痍……
とりわけ、真弘の疲労は一番ひどい
直接攻撃こそ受けていないけれど、月明かりでも分かる程、青ざめていた
あれだけの速さで攻撃して、敵の攻撃を避けていれば、そうなるのも無理はない
「……俺はやれる」
拓磨がぼそりと呟く
「まだ、やれますよ
僕も」
ぼろぼろの身体で、慎司も続いた
「右に同じだ」
いつもと変わらない口調で、それでもやっぱりぼろぼろの祐一が続いて
「へ、お前らぼろぼろでよく言うよな
俺一人で片してやるから、どいつもこいつも眠ってろ」
荒く息をしながら、真弘がそう言った
「くそ、なんなんだ
けったいな術を使いやがって」
「私も、まだいける
呪符だってまだ残ってるし」
私もそう言った
もちろん、アインの攻撃を二度も食らったのだから、体が無事であるはずがない
それでも……やるしかないから
「どうやら、私がこの中では一番元気そうですね」
そう言う大蛇さんの顔も、術の使い過ぎで疲労の色が濃い
誰もが今、限界だった
「……もう一度、問おう
封印を渡せ
シビル、お前は私たちについて来い
そうであれば、見逃してやらぬこともない」
アリアがそう言って、再び沈黙が訪れた
私たちはただ珠紀ちゃんを見つめている
実を言えば、私の霊力も限界が近づいていた
あれだけ豊富にあった霊力も、術や霊符を使いまくれば減るのは当然で
こうなれば使えるものはもう一つしかない
自分の、生命力
封印と珠紀ちゃんを守るためなら、命くらいどうということはない
もともと私の命は、そのための道具なのだから
珠紀ちゃんは目を閉じ、そして、もう一度開けた
口を開き、そして……
「封印は、渡せません」
珠紀ちゃんの言葉は、闇に消える
私も、誰も反論しなかった
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