十二章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夕方、私たちは宇賀谷家の玄関に集まった
一番最後に来たのは私らしい
玄関からは楽しげな声が聞こえる
ガラガラ、と音を立てて、宇賀屋家の玄関を開けた
「あ、優佳先輩!」
一番最初に気付いたのは慎司
拓磨も私を気遣うような視線を寄越してきた
「良かった
来るのが遅かったので、迎えに行こうかと思っていたところでした」
「すみません、大蛇さん……」
「……どうか、したんですか?
少し目が腫れているようですが」
「あ……
大丈夫、です
後で直しておきますから
遅くなっちゃってごめんなさい
いざって時のために、呪符とか作ってたらこんな時間で……
でもその分、いつもより霊力が詰まった呪符ができたから」
うまく笑えてるかな
心配かけないようにしなきゃ、大事な決戦の前なんだから
その時、廊下の奥から足音がした
現れたのは珠紀ちゃんだ
「みんな、来てるね
じゃ、出発しようか」
「……やっぱり、行くのか」
「それは、そうよ
アリアは私に、会おうって言ったんだもん
私が行かないでどうするの?」
「ま、心配するな
俺がいる限り安心だ」
「……俺がいる限り、ねえ」
珠紀ちゃんが真弘を見てそういう
うん、その気持ちはすごく分かる
「あ、おめ!
なんだそのため息!」
「やめましょうよ
敵と戦う前に仲間割れなんてカッコ悪いじゃないですか」
慎司が仲裁に入った時、パタパタと足音が聞こえてきた
今度現れたのは美鶴だ
「……良かった、間に合った」
美鶴はそう言って胸を撫で下ろした
もしかして見送りに来てくれたのかな
「どうしたの?
随分慌てて」
「珠紀様、これを」
美鶴が珠紀ちゃんに渡したのは、三枚のお札
表面に描かれた紋様を見る限り、高い攻撃性を持つ呪符だ
「え、と、これは?」
「このようなこともあるだろうからとババ様に言われ、幾年もかけて霊力を練り込んでおいた霊符です
お持ちください」
「……いいの?
そんな、大切なもの」
「封印の安否を決める重要な戦い
ぜひ使うようにと、ババ様が」
美鶴はそれから、珠紀ちゃんに霊符の使い方を説明した
「ただ、発動するだけで凄まじく霊力を消費する霊符です
連続の使用だけは、避けてください」
「ありがとう、美鶴ちゃん
大切に使うから……」
珠紀ちゃんに頷いて、それから美鶴は私達全員を見渡した
「ババ様からの伝言を授かっています
今回のこと、すべて珠紀様に任せる
皆、その言葉に忠実に従うようにと」
ババ様からの言葉を聞かされ、私達の雰囲気が一気にピリッと引き締まる
そうして守護者の視線は、珠紀ちゃんに集まった
「教えてくれ、珠紀
俺たちは、この戦いにおいて、どうすればいい?
俺たちはお前の言葉に従おう」
祐一の言葉に、珠紀ちゃんが少し考え
そうして、私達一人一人の目を見て、言った
「みんな、無事で帰って
夕ご飯は、みんなで食べようね」
私たちは珠紀ちゃんを見つめ、それから、当たり前だというふうに笑った
「当然、そのつもりだ」
「何だその消極的な発想は
敵を蹴散らせとかそういうのが欲しかったところだけどな」
「そうですか?
僕は、珠紀先輩の言うとおりだと思います」
「生き残ろうとする意志は、何よりも強い
その気持ちは、大切かもしれませんね」
「そうだね
生きて、帰ろう
全員で」
私もそういうと、みんなの視線が真弘に集中した
気まずそうに真弘がたじろぐ
「真弘、こういうときくらい素直な発言をするものだぞ」
「……まあ、お前の考えも、最もだとは思うけどよ」
「何照れちゃってるのよ?」
「うるせーよ!」
「俺たちは殺されない、お前のことも守る
そういうことだな」
「でも、できれば封印も守ってほしいな」
「……わがままな奴だな、お前」
そういう拓磨の顔は少し笑っていた
ふーん、と悪戯心が芽生える
「なに、もしかして拓磨って、わがままな子がタイプなわけ?」
「なんでそうなるんすか、優佳先輩」
「……では、行きましょうか
二番目の封印域へ」
大蛇さんがそう言って、玄関の引き戸を開ける
玄関先で美鶴に見送られながら、私たちは、戦いの場所へと向かった
一番最後に来たのは私らしい
玄関からは楽しげな声が聞こえる
ガラガラ、と音を立てて、宇賀屋家の玄関を開けた
「あ、優佳先輩!」
一番最初に気付いたのは慎司
拓磨も私を気遣うような視線を寄越してきた
「良かった
来るのが遅かったので、迎えに行こうかと思っていたところでした」
「すみません、大蛇さん……」
「……どうか、したんですか?
少し目が腫れているようですが」
「あ……
大丈夫、です
後で直しておきますから
遅くなっちゃってごめんなさい
いざって時のために、呪符とか作ってたらこんな時間で……
でもその分、いつもより霊力が詰まった呪符ができたから」
うまく笑えてるかな
心配かけないようにしなきゃ、大事な決戦の前なんだから
その時、廊下の奥から足音がした
現れたのは珠紀ちゃんだ
「みんな、来てるね
じゃ、出発しようか」
「……やっぱり、行くのか」
「それは、そうよ
アリアは私に、会おうって言ったんだもん
私が行かないでどうするの?」
「ま、心配するな
俺がいる限り安心だ」
「……俺がいる限り、ねえ」
珠紀ちゃんが真弘を見てそういう
うん、その気持ちはすごく分かる
「あ、おめ!
なんだそのため息!」
「やめましょうよ
敵と戦う前に仲間割れなんてカッコ悪いじゃないですか」
慎司が仲裁に入った時、パタパタと足音が聞こえてきた
今度現れたのは美鶴だ
「……良かった、間に合った」
美鶴はそう言って胸を撫で下ろした
もしかして見送りに来てくれたのかな
「どうしたの?
随分慌てて」
「珠紀様、これを」
美鶴が珠紀ちゃんに渡したのは、三枚のお札
表面に描かれた紋様を見る限り、高い攻撃性を持つ呪符だ
「え、と、これは?」
「このようなこともあるだろうからとババ様に言われ、幾年もかけて霊力を練り込んでおいた霊符です
お持ちください」
「……いいの?
そんな、大切なもの」
「封印の安否を決める重要な戦い
ぜひ使うようにと、ババ様が」
美鶴はそれから、珠紀ちゃんに霊符の使い方を説明した
「ただ、発動するだけで凄まじく霊力を消費する霊符です
連続の使用だけは、避けてください」
「ありがとう、美鶴ちゃん
大切に使うから……」
珠紀ちゃんに頷いて、それから美鶴は私達全員を見渡した
「ババ様からの伝言を授かっています
今回のこと、すべて珠紀様に任せる
皆、その言葉に忠実に従うようにと」
ババ様からの言葉を聞かされ、私達の雰囲気が一気にピリッと引き締まる
そうして守護者の視線は、珠紀ちゃんに集まった
「教えてくれ、珠紀
俺たちは、この戦いにおいて、どうすればいい?
俺たちはお前の言葉に従おう」
祐一の言葉に、珠紀ちゃんが少し考え
そうして、私達一人一人の目を見て、言った
「みんな、無事で帰って
夕ご飯は、みんなで食べようね」
私たちは珠紀ちゃんを見つめ、それから、当たり前だというふうに笑った
「当然、そのつもりだ」
「何だその消極的な発想は
敵を蹴散らせとかそういうのが欲しかったところだけどな」
「そうですか?
僕は、珠紀先輩の言うとおりだと思います」
「生き残ろうとする意志は、何よりも強い
その気持ちは、大切かもしれませんね」
「そうだね
生きて、帰ろう
全員で」
私もそういうと、みんなの視線が真弘に集中した
気まずそうに真弘がたじろぐ
「真弘、こういうときくらい素直な発言をするものだぞ」
「……まあ、お前の考えも、最もだとは思うけどよ」
「何照れちゃってるのよ?」
「うるせーよ!」
「俺たちは殺されない、お前のことも守る
そういうことだな」
「でも、できれば封印も守ってほしいな」
「……わがままな奴だな、お前」
そういう拓磨の顔は少し笑っていた
ふーん、と悪戯心が芽生える
「なに、もしかして拓磨って、わがままな子がタイプなわけ?」
「なんでそうなるんすか、優佳先輩」
「……では、行きましょうか
二番目の封印域へ」
大蛇さんがそう言って、玄関の引き戸を開ける
玄関先で美鶴に見送られながら、私たちは、戦いの場所へと向かった
1/5ページ