十章
夢小説設定
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数日後のお昼休み
私たちはいつものように、屋上で昼食を食べていた
ここは玉依の人以外はなぜか来なくて、まあおかげで人目を気にせず封印の話ができるんだけど
……人が来ないのって、私たちがいるからなんじゃないかな、と思い始めた今日この頃
今は、お互いに、昨日の見回りの報告をしている
「……俺の方は、昨日も現れなかったな
あのロゴスとかいう連中は」
「俺と優佳の担当した場所もだな
確か、祐一と慎司は同じ場所を担当してるんだろ?」
「ああ、俺たちの所も問題ない」
……この会話、昨日交わしたものと何ら変わりないものなんだよね
つまり私達は毎日、封印域を回っては異常を取り除きつつ、ロゴスの襲撃を警戒しているというわけだ
「しかし、宝具の封印が一つなくなるだけで、ここまで変わるとはな」
拓磨が言うように、五つの宝具が揃って初めて封印は調和を保っていた
それの一角が消えたことで、鬼斬丸の力が漏れ、カミたちに悪影響が出始めているのだ
それはいずれ、カミたちの凶暴化を引き起こす
……そういうわけで、私たち守護者はほころびかけた封印の維持まで仕事になってしまった
「このまま、平和な日が、ずっと続くといいのにね
ねえ、ひょっとして、もう来ないんじゃないかな
敵なんて」
「楽観視するのは、まだ早いだろ」
拓磨の言うとおりだ
今はロゴスも動きが収まってはいるけど、いつまた動き出すか分からない
彼らとは、そう遠くないうちに激突するだろうと踏んでいる
「……あのね、拓磨
どこまでネガティブなのよ
平和が続いたらなって、そう思うことくらい、いいじゃない」
「俺は用心しなけりゃって言ってるんだよ」
いつもならこのケンカ腰の会話は、慣れが来てしまって誰も止めない
けれど、今日は違った
「……なんだかおかしいと思いませんか?」
自作の美味しそうなお弁当を食べながら慎司がそう言う
それを食べながらだと、緊張感も緩むんだけど……
「ん?
なにが?」
美鶴お手製弁当を食べていた珠紀ちゃんも手を止めた
私も食べていたおにぎりをラップに包みなおす
みんなの視線が集中して、慎司が顔を赤くした
「……いえ、あの、大したことじゃないんですけど……」
「ううん
気が付いたことは何でも言って!
どうせ私たち、どうしていいのか分からないんだし」
ならばと、慎司が口を開く
そうして考えるようにゆっくりと、言葉を選びながら話し出した
「封印が破壊されたあの日の夜、他の封印のすべてが破壊されていたっておかしくないはずだったのに、封印の地は相変わらず健在です」
そこが、みんなの引っかかっていたところだった
なぜ残りの宝具は無事なのか
なぜ今日に至るまで、彼らは封印に手出しをしないのか
「……うん、それで」
「彼らは宝具をどう扱っていいのか、分からないのかもしれない、と考えてみるのは、どうですか?」
私たちは顔を見合わせた
「つまり、封印を攻撃してこないのは、封印に興味がなくなったからではなく、封印がどのようなものか見定めるため……」
「そういうことかもしれないです」
だとすれば、遠からず、またロゴスの四人と戦うことになるのか
分かってはいたけど
でも、あの力の差を見てしまうと……
正直に言えば、勝てるイメージが持てない
私達で、本当にあの四人に太刀打ち出来るのだろうか
(仮に宝具を取り返せたとして……
珠紀ちゃんが玉依姫として覚醒しなかったら、どのみち私はこのまま――)
真綿で首を絞められるような、微かな息苦しさを感じる
それはあの日から私にまとわりつく不快感だった
『単独覚醒の切っ掛けは掴めたの?』
あの一言が、呪いのように私の鼓膜に焼き付いている
……もし、それを見つけてしまったら
私はすぐにでも、封印に使われてしまうだろう
ふと、このまま切っ掛けが掴めなかったらと、そう思った
その時は、真弘と私の両方が使われることになるのか、それとも
(真弘だけが、死んでしまうのか……)
それだけは避けなくてはいけない
真弘がそうなっていい理由なんてない
私にはそうなるべき理由があるけれど、真弘の事は巻き込みたくない
……なんて言ったら、絶対に怒るだろうな、真弘は
私たちはいつものように、屋上で昼食を食べていた
ここは玉依の人以外はなぜか来なくて、まあおかげで人目を気にせず封印の話ができるんだけど
……人が来ないのって、私たちがいるからなんじゃないかな、と思い始めた今日この頃
今は、お互いに、昨日の見回りの報告をしている
「……俺の方は、昨日も現れなかったな
あのロゴスとかいう連中は」
「俺と優佳の担当した場所もだな
確か、祐一と慎司は同じ場所を担当してるんだろ?」
「ああ、俺たちの所も問題ない」
……この会話、昨日交わしたものと何ら変わりないものなんだよね
つまり私達は毎日、封印域を回っては異常を取り除きつつ、ロゴスの襲撃を警戒しているというわけだ
「しかし、宝具の封印が一つなくなるだけで、ここまで変わるとはな」
拓磨が言うように、五つの宝具が揃って初めて封印は調和を保っていた
それの一角が消えたことで、鬼斬丸の力が漏れ、カミたちに悪影響が出始めているのだ
それはいずれ、カミたちの凶暴化を引き起こす
……そういうわけで、私たち守護者はほころびかけた封印の維持まで仕事になってしまった
「このまま、平和な日が、ずっと続くといいのにね
ねえ、ひょっとして、もう来ないんじゃないかな
敵なんて」
「楽観視するのは、まだ早いだろ」
拓磨の言うとおりだ
今はロゴスも動きが収まってはいるけど、いつまた動き出すか分からない
彼らとは、そう遠くないうちに激突するだろうと踏んでいる
「……あのね、拓磨
どこまでネガティブなのよ
平和が続いたらなって、そう思うことくらい、いいじゃない」
「俺は用心しなけりゃって言ってるんだよ」
いつもならこのケンカ腰の会話は、慣れが来てしまって誰も止めない
けれど、今日は違った
「……なんだかおかしいと思いませんか?」
自作の美味しそうなお弁当を食べながら慎司がそう言う
それを食べながらだと、緊張感も緩むんだけど……
「ん?
なにが?」
美鶴お手製弁当を食べていた珠紀ちゃんも手を止めた
私も食べていたおにぎりをラップに包みなおす
みんなの視線が集中して、慎司が顔を赤くした
「……いえ、あの、大したことじゃないんですけど……」
「ううん
気が付いたことは何でも言って!
どうせ私たち、どうしていいのか分からないんだし」
ならばと、慎司が口を開く
そうして考えるようにゆっくりと、言葉を選びながら話し出した
「封印が破壊されたあの日の夜、他の封印のすべてが破壊されていたっておかしくないはずだったのに、封印の地は相変わらず健在です」
そこが、みんなの引っかかっていたところだった
なぜ残りの宝具は無事なのか
なぜ今日に至るまで、彼らは封印に手出しをしないのか
「……うん、それで」
「彼らは宝具をどう扱っていいのか、分からないのかもしれない、と考えてみるのは、どうですか?」
私たちは顔を見合わせた
「つまり、封印を攻撃してこないのは、封印に興味がなくなったからではなく、封印がどのようなものか見定めるため……」
「そういうことかもしれないです」
だとすれば、遠からず、またロゴスの四人と戦うことになるのか
分かってはいたけど
でも、あの力の差を見てしまうと……
正直に言えば、勝てるイメージが持てない
私達で、本当にあの四人に太刀打ち出来るのだろうか
(仮に宝具を取り返せたとして……
珠紀ちゃんが玉依姫として覚醒しなかったら、どのみち私はこのまま――)
真綿で首を絞められるような、微かな息苦しさを感じる
それはあの日から私にまとわりつく不快感だった
『単独覚醒の切っ掛けは掴めたの?』
あの一言が、呪いのように私の鼓膜に焼き付いている
……もし、それを見つけてしまったら
私はすぐにでも、封印に使われてしまうだろう
ふと、このまま切っ掛けが掴めなかったらと、そう思った
その時は、真弘と私の両方が使われることになるのか、それとも
(真弘だけが、死んでしまうのか……)
それだけは避けなくてはいけない
真弘がそうなっていい理由なんてない
私にはそうなるべき理由があるけれど、真弘の事は巻き込みたくない
……なんて言ったら、絶対に怒るだろうな、真弘は
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