55 縁談
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思い出したくないこともある
それでも、貴方がそれを望むなら
私は、受け止める覚悟なんて、とっくにできている
55 縁談
和真さんの車で向かった先は、藤野邸──つまりは、おばあちゃんの家
いつものように、玄関に森口さんのお出迎えがあって
「──では、こちらでお召し替えを」
森口さんに案内され、とあるルームに入ると、中には使用人が三人
「お待ちしておりました、夕歌様」
折り目正しい45度……!!
うーん、やっぱり……
慣れん!!
そんなことを考えつつ、私は制服を脱いで、あれよあれよという間にお召し替えが進んでいく
まあ要するに今日は、先輩と後輩の立場じゃなくて、伊達財閥の御曹司と藤野財閥の令嬢という立場で会うわけで
絶対に高そうな着物で着飾って、おまけに上品な化粧まで施された
「うわ……」
文化祭のダンスパーティーの時も思ったけどさ、誰だこの人
別人だよ、別人
髪の毛は綺麗に結われ、華やかな簪が差し込まれた
動くたびに簪の飾りが揺れて綺麗だ
こんな高いの着たことない……
すべての準備が整うと、来た時同様に和真さんが運転する車に乗る
「お綺麗ですよ、お嬢様
政宗様も驚かれるでしょうね」
「ありがとうございます……」
なんか恥ずかしいぞ
先輩はどんな格好で来るんだろう
なんか袴とか似合いそうなんだけどさ
流れていく景色をそれとなく見つめる
……そういえば、なんだけど
「和真さん」
「はい?」
「もし政宗先輩と結婚したら、あの家どうなるんですか?」
「あの家……とは、ご自宅のことですか?
それならばご心配はいりませんよ」
和真さんがそう言って微笑む
「実はこの縁談は、ほとんど決まったも同然のようなのです
お嬢様と政宗様のお二人で、あのご自宅にお住みになればよろしいかと」
決まりかけてるならお見合いとかいらない気がするんだけどな!
そう思ったのは私だけなんだろうか……お金持ちの世界的には、決まりかけててもお見合いの席は無いとだめなのかな……
「……お嬢様、実はお心に留めておいていただきたいことがございます」
「なんですか?」
今までとは打って変わって、真剣な声音の和真さん
私も思わず背筋が伸びた──いや、着物の帯で締められてるから、元から伸びてるんだけど
「本日のお見合いは、先方のご両親も同席なさるとのことです
旦那様はともかく、奥様を刺激なさらないように」
「……はい」
あまり感情的になるな、ということか
私って結構言っちゃうタイプだからなあ……
気をつけよう
「私は門前までしかご一緒できません
お嬢様のご縁談が、上手く行くよう祈っております」
「……はい
ありがとうございます」
見慣れない景色を車は走っていく
そして、一つの大豪邸の前で車は止まった
「ここが、伊達本邸です」
「………」
デカすぎるだろ
呆気に取られていると、誰かが私の座る後部座席へと近づいてきて
「お待ち申しあげておりました」
そんな声と共に車のドアを開けてくれた人に、まず笑いそうになった
原田さんじゃないですか──!!!
「笑わないでくださいね、夕歌さん
私も笑いをこらえているので」
こそっと耳打ちして原田さんがたしなめてくれた
「それに、私で笑っていたら、あなたは本邸にお入りになった後は笑いっぱなしになりますよ」
「え」
嫌な予感しか……しない!!
「では、お嬢様
頑張ってくださいね……ふふっ」
「ちょっ、なんで今笑ったんですか
てかその頑張ってってどういう意味ですか」
和真さんはそれだけを言い残して、笑いをこらえたまま車を止めに行った
こらえきれてねえよ笑い漏れてたわ
「なにこれ……笑ってはいけないお見合い会場だったりします、これ……」
「そうですねぇ、ケツバット要員がいないだけマシと言ったところでしょうか」
「そうですね……」
「コホン……では、夕歌様
どうぞお足元にお気をつけて」
差し出された原田さんの手を取る
着物で草履の私に合わせて、ゆっくりと玄関まで連れて行ってくれた
……この後にやってくるであろう笑いの刺客が怖すぎるんだけども
それでも、貴方がそれを望むなら
私は、受け止める覚悟なんて、とっくにできている
55 縁談
和真さんの車で向かった先は、藤野邸──つまりは、おばあちゃんの家
いつものように、玄関に森口さんのお出迎えがあって
「──では、こちらでお召し替えを」
森口さんに案内され、とあるルームに入ると、中には使用人が三人
「お待ちしておりました、夕歌様」
折り目正しい45度……!!
うーん、やっぱり……
慣れん!!
そんなことを考えつつ、私は制服を脱いで、あれよあれよという間にお召し替えが進んでいく
まあ要するに今日は、先輩と後輩の立場じゃなくて、伊達財閥の御曹司と藤野財閥の令嬢という立場で会うわけで
絶対に高そうな着物で着飾って、おまけに上品な化粧まで施された
「うわ……」
文化祭のダンスパーティーの時も思ったけどさ、誰だこの人
別人だよ、別人
髪の毛は綺麗に結われ、華やかな簪が差し込まれた
動くたびに簪の飾りが揺れて綺麗だ
こんな高いの着たことない……
すべての準備が整うと、来た時同様に和真さんが運転する車に乗る
「お綺麗ですよ、お嬢様
政宗様も驚かれるでしょうね」
「ありがとうございます……」
なんか恥ずかしいぞ
先輩はどんな格好で来るんだろう
なんか袴とか似合いそうなんだけどさ
流れていく景色をそれとなく見つめる
……そういえば、なんだけど
「和真さん」
「はい?」
「もし政宗先輩と結婚したら、あの家どうなるんですか?」
「あの家……とは、ご自宅のことですか?
それならばご心配はいりませんよ」
和真さんがそう言って微笑む
「実はこの縁談は、ほとんど決まったも同然のようなのです
お嬢様と政宗様のお二人で、あのご自宅にお住みになればよろしいかと」
決まりかけてるならお見合いとかいらない気がするんだけどな!
そう思ったのは私だけなんだろうか……お金持ちの世界的には、決まりかけててもお見合いの席は無いとだめなのかな……
「……お嬢様、実はお心に留めておいていただきたいことがございます」
「なんですか?」
今までとは打って変わって、真剣な声音の和真さん
私も思わず背筋が伸びた──いや、着物の帯で締められてるから、元から伸びてるんだけど
「本日のお見合いは、先方のご両親も同席なさるとのことです
旦那様はともかく、奥様を刺激なさらないように」
「……はい」
あまり感情的になるな、ということか
私って結構言っちゃうタイプだからなあ……
気をつけよう
「私は門前までしかご一緒できません
お嬢様のご縁談が、上手く行くよう祈っております」
「……はい
ありがとうございます」
見慣れない景色を車は走っていく
そして、一つの大豪邸の前で車は止まった
「ここが、伊達本邸です」
「………」
デカすぎるだろ
呆気に取られていると、誰かが私の座る後部座席へと近づいてきて
「お待ち申しあげておりました」
そんな声と共に車のドアを開けてくれた人に、まず笑いそうになった
原田さんじゃないですか──!!!
「笑わないでくださいね、夕歌さん
私も笑いをこらえているので」
こそっと耳打ちして原田さんがたしなめてくれた
「それに、私で笑っていたら、あなたは本邸にお入りになった後は笑いっぱなしになりますよ」
「え」
嫌な予感しか……しない!!
「では、お嬢様
頑張ってくださいね……ふふっ」
「ちょっ、なんで今笑ったんですか
てかその頑張ってってどういう意味ですか」
和真さんはそれだけを言い残して、笑いをこらえたまま車を止めに行った
こらえきれてねえよ笑い漏れてたわ
「なにこれ……笑ってはいけないお見合い会場だったりします、これ……」
「そうですねぇ、ケツバット要員がいないだけマシと言ったところでしょうか」
「そうですね……」
「コホン……では、夕歌様
どうぞお足元にお気をつけて」
差し出された原田さんの手を取る
着物で草履の私に合わせて、ゆっくりと玄関まで連れて行ってくれた
……この後にやってくるであろう笑いの刺客が怖すぎるんだけども
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