閑話3 政宗とヤンキー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ドタドタと廊下を走る音がする
そして、俺の部屋のドアが開いた
来たのは成実
「どうした?」
つかの間、成実は俺を見つめて
「元親が来た……」
その瞬間、部屋の空気が5度ほど下がったように感じた
「……マジか……?」
成実が力なく頷く
丁重にお帰り願う術は……ないだろうか
閑話3 政宗とヤンキー
「よーお政宗!!
久しぶりだな!」
「……元親」
小十郎からも「政宗様……長曾我部が来ております……」とげんなりした顔で言われ
流石の俺も部屋で日和ってるわけにはいかなくなった
リビングでは、その元親がソファーを占領している
誰のうちだと思ってんだこの野郎は
「何しに来た暇人
つうかお前一応受験生だろうが」
「知ったことかよ
これでも学年10番内キープしてんでな」
「頭が良くても風紀が乱れまくりだろうが」
「おめえに言われたかねえよ」
「Ha!
テメエよりかマシだっつの」
こんだけ遊びほうけて学年10番内か……
世も末だな
「で、政宗よぉ」
「Ah?
まためんどくせぇこと言い出すんじゃねぇだろうな」
「んなことしねぇよ
お前……彼女とは上手くやってんのか?」
「彼女だと?」
「アイツだよ、お前さんの婚約者の」
「愛か…
上手くやるも何も、俺はむしろ一刻も早く婚約を解消してぇけどな」
「いいのかよそんなことして」
「もともと親が勝手に決めた縁談だ
田村みてぇなちっせぇとこに興味はねぇ」
「ほーお…
やけに婚約解消に向けて張り切ってんなぁ?
誰か惚れた奴でもいんのか?」
「うっせぇ
テメェにゃ関係ねぇだろ」
「ヘイヘイ
まあ、頑張れよ
オメェが大人しく親の言いなりになるとも思えねぇしな」
「言いなりになんざなる気はねぇよ」
「つうか、いんのか?
惚れた奴」
「いねぇよバーカ」
「チッ、面白くねぇな」
元親がソファに再びもたれかかったところへ、綱元がドリンクを運んできた
「わりぃな綱元!」
「あまりはしゃぐなよ、元親」
綱元と元親は同じクラスだ
綱元にしてみても、放っとけねぇ奴なんだろう
「政宗様はあまり婚約を解消するなどと公言なさらないほうがよろしいかと
どこで聞かれているやらわかりませんから」
「Sorry,綱元」
「まあ、梵にあのお嬢様が似合うかといわれると、正直似合わねーよな」
「あの方は自分を飾り立てるからな」
ほう、と綱元を少しだけ驚嘆の意味を込めて見つめる
あの綱元がそう感じているということは、俺の勘もbingoってことだろう
「梵はどっちかってーと夕歌みたいに、ちょっとつっかかってくるくらいの女の方が好きだろ?」
「夕歌は置いといたとしても、まあそうだな」
「確かにあいつは物怖じしねぇよな
真正面から向かってくる奴、俺は好きだぜ?」
「ああそうかい」
言いたげな視線と楽しそうに上がる口角を睨む
「ニヤニヤしながらこっち見るんじゃねぇ、気持ちわりぃ」
「気持ちわりぃとはご挨拶だな」
フン、と鼻を鳴らして、俺は元親から視線を外してcoffeeを飲んだ
「そういや、夕歌だったか?
昨日てめぇといたよな?」
「マジかよ梵」
「たまたまカフェで会っただけだ
暇だし互いに連れもいなかったしで、遊びがてらに展望台に連れて行った」
「へ―……
……って、待て待て待て待て!!
展望台ってお前、あそこはジンクスが!」
「信じてんのか?」
「……半分は」
「成実は騙されやすいな、きっと」
「何だよその不吉な未来予想!!
そこまで俺バカにされなきゃいけねーの!?」
「いやぁ、お前さんは騙されやすいと思うぜ?」
「元親に言われたかねぇよ!」
ギャーギャーと元親と成実が言い合いを始める
BGMにしては不快なそれを聞き流しつつ、綱元が淹れたcoffeeを飲み終えた俺は、早々に部屋に戻ることにしたのだった
* * *
翌日、珍しく車に乗せてもらえた成実と一緒に登校した俺が目にしたのは
元親に絡まれている夕歌の姿だった
「あちゃー……
ありゃあ完全に気に入られてるな、あいつ」
「……だな」
俺たちが近くに行っても気付かねぇとは……
だから毛利やら浅井やらに見つかっては追いかけ回されてんだろうな
「よう!
お前さんが政宗の秘蔵っ子の夕歌か?」
「え……秘蔵っ子?
ていうか、なんで私の名前知ってるんですか!?
あ、もしかして政宗先輩から聞きました?」
「政宗からでもあるし成実からでもあるし綱元からでもあるな」
「そ、そうですか……
ええと……長曾我部先輩?」
「元親で構わねぇよ
ま、ひとつよろしくな!」
「あ、こちらこそ
元親先輩」
元親の悪い癖だ
気に入っ奴にゃあすぐに声かけやがる
「あーのーさー……」
二人の間に割って入るのは、どこから現れたのか慶次の野郎
今日は遅刻せずに登校できたらしい、明日は雪だな
「おう、どうした慶次」
「朝から女の子口説くのやめなよね!」
「お前じゃあるめぇしよ
つうかお前が言えた義理かよ
会う女合う女口説きやがって家出魔が」
「前田先輩……」
「ちょっ、誤解!!」
「どこが誤解だ
まるっきり正解じゃねぇか」
「うっ……
返す言葉がない……」
助けを求めるように周囲を見渡した夕歌が、「……あ」と声を漏らす
「「あ?」」
「前田慶次に長曾我部!!!」
「げぇっ、浅井さん!!」
そんな声と共に、何かが俺たちの真横を駆け抜けていった
「あー、浅井だ……」
「Ha,ツイてねぇな、あいつらも」
気づいた二人も夕歌から離れて鞄を持ち替え
「逃げるぞ慶次!!」
「あいよ!!」
「ちょっ、先輩方!?」
校舎の中に一目散に逃げて行った
「スピード速っ……」
「あーあ、また追われてるわけかあの二人」
「こりねぇ奴らだな」
「政宗先輩に成実」
「おはー」
「Good morning.」
朝から騒がしい奴らだ
ありゃあ死ぬまで治らねぇな……
「おはようございます
というか先輩、目の下にクマ出来てますよ?」
「昨日元親のやつが来ててな……」
「ああ……お疲れ様でした」
「全くだ」
苦笑を浮かべる横で、俺以上に死んだ顔をする成実
元親がうちに来た場合の最初の被害者は、いつだって成実だ
校舎の中では、浅井に追われる元親がはっきりと見えている
どうも慶次はあっさりと捕まったらしい
「……私たちも行きましょうか」
「おー」
「そうだな」
どうしてうちの学院は一癖も二癖もあるような奴らが多いのか……
生徒会長らしく、頭を悩ませることにした
そして、俺の部屋のドアが開いた
来たのは成実
「どうした?」
つかの間、成実は俺を見つめて
「元親が来た……」
その瞬間、部屋の空気が5度ほど下がったように感じた
「……マジか……?」
成実が力なく頷く
丁重にお帰り願う術は……ないだろうか
閑話3 政宗とヤンキー
「よーお政宗!!
久しぶりだな!」
「……元親」
小十郎からも「政宗様……長曾我部が来ております……」とげんなりした顔で言われ
流石の俺も部屋で日和ってるわけにはいかなくなった
リビングでは、その元親がソファーを占領している
誰のうちだと思ってんだこの野郎は
「何しに来た暇人
つうかお前一応受験生だろうが」
「知ったことかよ
これでも学年10番内キープしてんでな」
「頭が良くても風紀が乱れまくりだろうが」
「おめえに言われたかねえよ」
「Ha!
テメエよりかマシだっつの」
こんだけ遊びほうけて学年10番内か……
世も末だな
「で、政宗よぉ」
「Ah?
まためんどくせぇこと言い出すんじゃねぇだろうな」
「んなことしねぇよ
お前……彼女とは上手くやってんのか?」
「彼女だと?」
「アイツだよ、お前さんの婚約者の」
「愛か…
上手くやるも何も、俺はむしろ一刻も早く婚約を解消してぇけどな」
「いいのかよそんなことして」
「もともと親が勝手に決めた縁談だ
田村みてぇなちっせぇとこに興味はねぇ」
「ほーお…
やけに婚約解消に向けて張り切ってんなぁ?
誰か惚れた奴でもいんのか?」
「うっせぇ
テメェにゃ関係ねぇだろ」
「ヘイヘイ
まあ、頑張れよ
オメェが大人しく親の言いなりになるとも思えねぇしな」
「言いなりになんざなる気はねぇよ」
「つうか、いんのか?
惚れた奴」
「いねぇよバーカ」
「チッ、面白くねぇな」
元親がソファに再びもたれかかったところへ、綱元がドリンクを運んできた
「わりぃな綱元!」
「あまりはしゃぐなよ、元親」
綱元と元親は同じクラスだ
綱元にしてみても、放っとけねぇ奴なんだろう
「政宗様はあまり婚約を解消するなどと公言なさらないほうがよろしいかと
どこで聞かれているやらわかりませんから」
「Sorry,綱元」
「まあ、梵にあのお嬢様が似合うかといわれると、正直似合わねーよな」
「あの方は自分を飾り立てるからな」
ほう、と綱元を少しだけ驚嘆の意味を込めて見つめる
あの綱元がそう感じているということは、俺の勘もbingoってことだろう
「梵はどっちかってーと夕歌みたいに、ちょっとつっかかってくるくらいの女の方が好きだろ?」
「夕歌は置いといたとしても、まあそうだな」
「確かにあいつは物怖じしねぇよな
真正面から向かってくる奴、俺は好きだぜ?」
「ああそうかい」
言いたげな視線と楽しそうに上がる口角を睨む
「ニヤニヤしながらこっち見るんじゃねぇ、気持ちわりぃ」
「気持ちわりぃとはご挨拶だな」
フン、と鼻を鳴らして、俺は元親から視線を外してcoffeeを飲んだ
「そういや、夕歌だったか?
昨日てめぇといたよな?」
「マジかよ梵」
「たまたまカフェで会っただけだ
暇だし互いに連れもいなかったしで、遊びがてらに展望台に連れて行った」
「へ―……
……って、待て待て待て待て!!
展望台ってお前、あそこはジンクスが!」
「信じてんのか?」
「……半分は」
「成実は騙されやすいな、きっと」
「何だよその不吉な未来予想!!
そこまで俺バカにされなきゃいけねーの!?」
「いやぁ、お前さんは騙されやすいと思うぜ?」
「元親に言われたかねぇよ!」
ギャーギャーと元親と成実が言い合いを始める
BGMにしては不快なそれを聞き流しつつ、綱元が淹れたcoffeeを飲み終えた俺は、早々に部屋に戻ることにしたのだった
* * *
翌日、珍しく車に乗せてもらえた成実と一緒に登校した俺が目にしたのは
元親に絡まれている夕歌の姿だった
「あちゃー……
ありゃあ完全に気に入られてるな、あいつ」
「……だな」
俺たちが近くに行っても気付かねぇとは……
だから毛利やら浅井やらに見つかっては追いかけ回されてんだろうな
「よう!
お前さんが政宗の秘蔵っ子の夕歌か?」
「え……秘蔵っ子?
ていうか、なんで私の名前知ってるんですか!?
あ、もしかして政宗先輩から聞きました?」
「政宗からでもあるし成実からでもあるし綱元からでもあるな」
「そ、そうですか……
ええと……長曾我部先輩?」
「元親で構わねぇよ
ま、ひとつよろしくな!」
「あ、こちらこそ
元親先輩」
元親の悪い癖だ
気に入っ奴にゃあすぐに声かけやがる
「あーのーさー……」
二人の間に割って入るのは、どこから現れたのか慶次の野郎
今日は遅刻せずに登校できたらしい、明日は雪だな
「おう、どうした慶次」
「朝から女の子口説くのやめなよね!」
「お前じゃあるめぇしよ
つうかお前が言えた義理かよ
会う女合う女口説きやがって家出魔が」
「前田先輩……」
「ちょっ、誤解!!」
「どこが誤解だ
まるっきり正解じゃねぇか」
「うっ……
返す言葉がない……」
助けを求めるように周囲を見渡した夕歌が、「……あ」と声を漏らす
「「あ?」」
「前田慶次に長曾我部!!!」
「げぇっ、浅井さん!!」
そんな声と共に、何かが俺たちの真横を駆け抜けていった
「あー、浅井だ……」
「Ha,ツイてねぇな、あいつらも」
気づいた二人も夕歌から離れて鞄を持ち替え
「逃げるぞ慶次!!」
「あいよ!!」
「ちょっ、先輩方!?」
校舎の中に一目散に逃げて行った
「スピード速っ……」
「あーあ、また追われてるわけかあの二人」
「こりねぇ奴らだな」
「政宗先輩に成実」
「おはー」
「Good morning.」
朝から騒がしい奴らだ
ありゃあ死ぬまで治らねぇな……
「おはようございます
というか先輩、目の下にクマ出来てますよ?」
「昨日元親のやつが来ててな……」
「ああ……お疲れ様でした」
「全くだ」
苦笑を浮かべる横で、俺以上に死んだ顔をする成実
元親がうちに来た場合の最初の被害者は、いつだって成実だ
校舎の中では、浅井に追われる元親がはっきりと見えている
どうも慶次はあっさりと捕まったらしい
「……私たちも行きましょうか」
「おー」
「そうだな」
どうしてうちの学院は一癖も二癖もあるような奴らが多いのか……
生徒会長らしく、頭を悩ませることにした
1/1ページ