05 初等部のアイドル
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勧誘期間を終え、成実と二人で部長のもとへ本入部届を提出したのが先週
そして週が明けて月曜日の今日、部活に行こうと中庭を通った時
「そこの姉ちゃん!!」
「へ?私?」
声を掛けられたので背後を振り返ると、そこには初等部の制服を着た女の子がいた
「おら、いつき!
これ……蒼い兄ちゃんに渡してほしいだ!」
「蒼いお兄ちゃん……?」
誰……?
受け取ってしまってから聞こうとしたけれど、初等部の子はすでに走り去っていた
私はこれを誰に渡せばいいんだ……?
05 初等部のアイドル
とりあえず、どこかに置いておくわけにもいかないので、頼まれた荷物を持ったまま剣道場へ
「こんにちはー」
一礼して挨拶をしてから道場へ入ると、そこには伊達先輩がいた
「夕歌、いつきから何か頼まれてねえか?」
伊達先輩にそう言われて、「あの子のことかな」とさっきの初等部の女の子が浮ぶ
「何で先輩が知ってるのか分かんないんですけど、蒼いお兄ちゃんにこれを渡してくれって言われました」
「あー、そういう言い方されたら分かるもんも分かんねえよな……
その蒼いなんとかってのは俺のことだ」
「ああ、これ先輩宛だったんですか」
青要素がどこにあるのかはさておき、いつきちゃんから受け取っていた紙袋を先輩に渡す
先輩は中身を確認してから満足そうに頷いた
「Thanks,夕歌」
「いいですけど……
先輩、いつの間にか私のこと下の名前で呼んでくれてるんですね」
「あ?
Ah……まあな」
「じゃあ、私も下の名前で呼ぶことにしますね」
「初めて会ったとき名前でいいっつったけどな」
「あれ、そうでしたっけ?
それより、そのいつきちゃんって子、お知り合いなんですか?」
「近所に住んでるんだよ」
そっか……
そりゃお兄ちゃんみたいに思うよなぁ……
政宗先輩って結構面倒見いいし
「なんか俺の顔についてるのか?」
「……へ?
ああ、眼帯ならついてますけど」
「眼帯が顔の一部みてえな言い方やめろよお前」
「いやそんなつもりで言ったわけじゃないんですけど」
「ちゃーっす!!
ってなんだ、梵と夕歌しかいないのか」
「今日3年は来ねえぞ
ってなわけで今日は部長から直々に俺が部活仕切るように言われてっから」
「部長人選ミス」
「お前一回死んどくか」
成実がダッシュで更衣室に逃げる
逃げ足の速さには流石の政宗先輩も呆れていた
「お前も着替えてこい」
「あ、はい」
そうだった、まずは道着に着替えなければ
* * *
道着に着替えてから道場に戻ると、まだ他の部員は来ていなかった
そう言えば成実の道着姿は初めて見るけど、なんというか……
イケメンが道着着てるんだから、似合わないわけないんだよなぁ……
「やっほー竜の旦那
と、夕歌ちゃん」
「佐助先輩!」
「何の用だ、猿」
久しぶりに見る佐助先輩
思わず声が跳ねる私と対照的に、声音からも嫌そうな雰囲気が伝わってくる政宗先輩に、佐助先輩は肩をすくめた
「初等部のいつきちゃんだっけ?
渡しそびれたモンがあるから初等部まで取りに来てくれだってよ」
「渡しそびれ?」
「俺様はことづてを受けただけだから
行ってあげたら?」
ハア……と政宗先輩がため息をつく
歩く造形美なので、ため息をつく姿すら様になるのはもはや罪だ
「せめて誰か2年がいてくれりゃあ良かったんだがな……
つうか、お前3年だろ?」
「何でここにいるのかって?
俺様のクラスはここの大学部に進む奴らのクラスだから放課後補習はないよ」
「てことは、部長は別の大学に進学するつもりなんですね」
「みたいだね
ま、俺様は関係ないからどうでもいいけど
それじゃ、またね」
佐助先輩がひらりと手を振って剣道場を出て行く
残された政宗先輩と成実、そして私は、そんな佐助先輩を見送って
それから成実と同時に政宗先輩を見上げた
「で、どうすんだ?」
「……まだ二年は来てねぇしな
ちょっと行ってくる」
「ってらー」
「お前らも来い」
「えっ」
何故に私まで──!?
そして週が明けて月曜日の今日、部活に行こうと中庭を通った時
「そこの姉ちゃん!!」
「へ?私?」
声を掛けられたので背後を振り返ると、そこには初等部の制服を着た女の子がいた
「おら、いつき!
これ……蒼い兄ちゃんに渡してほしいだ!」
「蒼いお兄ちゃん……?」
誰……?
受け取ってしまってから聞こうとしたけれど、初等部の子はすでに走り去っていた
私はこれを誰に渡せばいいんだ……?
05 初等部のアイドル
とりあえず、どこかに置いておくわけにもいかないので、頼まれた荷物を持ったまま剣道場へ
「こんにちはー」
一礼して挨拶をしてから道場へ入ると、そこには伊達先輩がいた
「夕歌、いつきから何か頼まれてねえか?」
伊達先輩にそう言われて、「あの子のことかな」とさっきの初等部の女の子が浮ぶ
「何で先輩が知ってるのか分かんないんですけど、蒼いお兄ちゃんにこれを渡してくれって言われました」
「あー、そういう言い方されたら分かるもんも分かんねえよな……
その蒼いなんとかってのは俺のことだ」
「ああ、これ先輩宛だったんですか」
青要素がどこにあるのかはさておき、いつきちゃんから受け取っていた紙袋を先輩に渡す
先輩は中身を確認してから満足そうに頷いた
「Thanks,夕歌」
「いいですけど……
先輩、いつの間にか私のこと下の名前で呼んでくれてるんですね」
「あ?
Ah……まあな」
「じゃあ、私も下の名前で呼ぶことにしますね」
「初めて会ったとき名前でいいっつったけどな」
「あれ、そうでしたっけ?
それより、そのいつきちゃんって子、お知り合いなんですか?」
「近所に住んでるんだよ」
そっか……
そりゃお兄ちゃんみたいに思うよなぁ……
政宗先輩って結構面倒見いいし
「なんか俺の顔についてるのか?」
「……へ?
ああ、眼帯ならついてますけど」
「眼帯が顔の一部みてえな言い方やめろよお前」
「いやそんなつもりで言ったわけじゃないんですけど」
「ちゃーっす!!
ってなんだ、梵と夕歌しかいないのか」
「今日3年は来ねえぞ
ってなわけで今日は部長から直々に俺が部活仕切るように言われてっから」
「部長人選ミス」
「お前一回死んどくか」
成実がダッシュで更衣室に逃げる
逃げ足の速さには流石の政宗先輩も呆れていた
「お前も着替えてこい」
「あ、はい」
そうだった、まずは道着に着替えなければ
* * *
道着に着替えてから道場に戻ると、まだ他の部員は来ていなかった
そう言えば成実の道着姿は初めて見るけど、なんというか……
イケメンが道着着てるんだから、似合わないわけないんだよなぁ……
「やっほー竜の旦那
と、夕歌ちゃん」
「佐助先輩!」
「何の用だ、猿」
久しぶりに見る佐助先輩
思わず声が跳ねる私と対照的に、声音からも嫌そうな雰囲気が伝わってくる政宗先輩に、佐助先輩は肩をすくめた
「初等部のいつきちゃんだっけ?
渡しそびれたモンがあるから初等部まで取りに来てくれだってよ」
「渡しそびれ?」
「俺様はことづてを受けただけだから
行ってあげたら?」
ハア……と政宗先輩がため息をつく
歩く造形美なので、ため息をつく姿すら様になるのはもはや罪だ
「せめて誰か2年がいてくれりゃあ良かったんだがな……
つうか、お前3年だろ?」
「何でここにいるのかって?
俺様のクラスはここの大学部に進む奴らのクラスだから放課後補習はないよ」
「てことは、部長は別の大学に進学するつもりなんですね」
「みたいだね
ま、俺様は関係ないからどうでもいいけど
それじゃ、またね」
佐助先輩がひらりと手を振って剣道場を出て行く
残された政宗先輩と成実、そして私は、そんな佐助先輩を見送って
それから成実と同時に政宗先輩を見上げた
「で、どうすんだ?」
「……まだ二年は来てねぇしな
ちょっと行ってくる」
「ってらー」
「お前らも来い」
「えっ」
何故に私まで──!?
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