閑話1 伊達政宗の休日
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──休日に限らず、俺は目覚ましが鳴る前に起きる
だが、今日は違った
「ぼーん!!!
起っきろー!!!」
「Shut up!!!」
ガツン!!という音ともに、目覚まし(成実)が止まった
閑話1 伊達政宗の休日
朝のリビング
目の前にはすねた顔で朝飯を食べる成実と、何事もないように朝食を食べ続ける小十郎と綱元がいる
成実がデカい声を出して俺に殴られるのは日常茶飯事だからか、二人は動じない
綱元に至っては関わらないようにしている気がする
「毎回言うけどよ……
梵、本気で殴んな!!
お前の本気はマジで人殺すんだからな!!」
「Ha!
学習しねぇお前が悪いんだろ」
「だからって殴るか普通!!」
「そんなに嫌なら誰かと変わるこったな」
「嫌に決まってんだろ!!
つーか、こじゅ兄が起こしに行けばいいじゃねーか!!」
「俺が起こしに行ったら行ったで、朝飯が遅いだの何だの言うやつがいるんでな」
そう濁して言いつつも、小十郎の視線は綱元に向かっている
まぁ、概ね予想通りではあるが
「綱元……
お前ってやつは!」
「文句を言われる筋合いはないと思うがな
俺が言わなくとも、成実が遅いと言い出すに決まってる」
「んなわけ……っ!
いや言うかもしれねーけどさ……」
「だろう?
だったらお前は文句など言えんだろう」
「……ハイ……」
「そう考えると、オメェが政宗様を起こしてくれるほうが効率いいだろうが」
「俺は被害を被ってるけどな」
「すまんすまん」
「謝る気ねーだろこじゅ兄!
ってか綱元が行きゃいーじゃねーか!」
「「断る」」
俺の声に綱元の声が重なった──気がする
思わず綱元を凝視すると、「何か?」と微笑まれた
「断るなよ!
一応こんなんでも主だろうが!」
「お前が一番失礼だぞ、成実」
「メシ食ったら家の周り十周くらいするか?」
「無理無理無理無理!!
死ぬって俺死ぬ!!」
「あんだけ威勢よく啖呵切ってそれかよ」
「お前が十周しろよバカ宗」
「No thanks.」
「ふざけろこのぉー!!」
「ふざけてねぇっつの
ンなことしてっと飯もらうぞ」
「はぁぁぁ!?
マジでふざけんなよテメー!!」
ギャーギャーと騒がしい従弟は、耳を塞いでやり過ごすに限る
ったく、落ち着いてメシも食えやしねぇな
「……話が逸れていませんか?」
「いいんだ、ほっとけ」
義兄弟の2人は、そう言って我関せずを貫いた
* * *
午後から1人で街に出た
小十郎もついて行くだの何だのとうるさかったが、セールがあるとかで結局置いてきたので、今は自由だ
特にすることもないんだが……とカフェに立ち寄る
──息が詰まるという程ではないが、誰もいない一人の時間が欲しい時も……ある
のんびりと喫茶店でコーヒーを飲んでいた時
「あれ?
政宗先輩?」
そんな声が聞こえてきて視線を上げると、後輩の夕歌がいた
手には鞄がひとつ、どうやら出かけている最中らしい
「こんにちは
お一人なんですか?」
「ああ、まあな
そういうお前も一人か?」
「冷蔵庫の中身がすっからかんだったんで買出しに来てたんです
で、なんとなく家にいるのも嫌で、ちょっと遊びに」
そういや夕歌は一人暮らしだったな……
大変だろうに、自炊までこなしているらしい
「そうだったのか」
「でも、この辺はあんまり詳しくなくて……
遊びに行こうにもどこに行けばいいかもよく分からないし、とりあえずコーヒーが飲みたいなって思ったら先輩がいてって感じですけど」
「元からこっちに住んでたわけじゃねぇのか?」
「あ、はい
高校に入学する少し前に引っ越してきたので」
なるほど、と合点がいく
それなら一人でいてもつまらないだろう
せっかくひとり同士で会ったのも縁だしな……
「All right.
だったらいい場所に連れてってやるよ」
「ああ、いいですよ、別に!」
「遠慮すんなよ
ここから結構近ぇしな
まあでも、bestは夕方なんだが」
「へぇ……
行ってみたいです!」
「じゃ、行くか」
「はいっ……あ、じゃあ急いでコーヒー飲みますね……!」
「急がなくていい
言ったろ、bestは夕方だ」
「す、すみません……」
夕歌がコーヒーを飲み終えるのを待って、店を出る
この商業エリアを抜けると、裏は小高い山になる
そこまで歩くと、山の中腹に展望台が見えてきた
「ちょっと登るが、大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですよ」
二人で展望台までの階段を登る
登り終わる頃には
夕日が街をオレンジ色に染めていた
「Nice timing.」
「わあ……!
きれいですね……」
「ここは夜景もきれいなんだぜ?
ま、さすがにそこまで遅い時間に出歩くわけにはいかねぇから、来ねぇけどな」
ちなみに、ここで一緒に夕日を見た男女は結ばれるという噂があることは黙っておいた
俺自身が信じていないからというのもあるが……
相手が俺で落胆されたら、流石の俺も立ち直れないような気がする
……いや、別に俺もこいつとそうなりてぇなんざ思ってるはずが──
「あ、そういえば、ここで一緒に夕日を見た二人は結ばれるって話なんでしたっけ」
コイツ知ってやがった
「信じるか?」
「さぁ……
結局結ばれるかそうでないかは、その人たちが何か行動を起こさないと無理なわけじゃないですか
でも、私はそういうジンクスは嫌いじゃないですよ
仮に先輩と結ばれても、まぁ……嫌な気はしないでもないですし
そりゃあ、本音は好きな人とですけど」
「…そうか」
ポン、と夕歌の頭を軽くなでる
この胸に広がる温かな気持ちが何なのか……
それに答えを見出せないまま、夕日が沈んでいく街を二人で眺めていた
だが、今日は違った
「ぼーん!!!
起っきろー!!!」
「Shut up!!!」
ガツン!!という音ともに、目覚まし(成実)が止まった
閑話1 伊達政宗の休日
朝のリビング
目の前にはすねた顔で朝飯を食べる成実と、何事もないように朝食を食べ続ける小十郎と綱元がいる
成実がデカい声を出して俺に殴られるのは日常茶飯事だからか、二人は動じない
綱元に至っては関わらないようにしている気がする
「毎回言うけどよ……
梵、本気で殴んな!!
お前の本気はマジで人殺すんだからな!!」
「Ha!
学習しねぇお前が悪いんだろ」
「だからって殴るか普通!!」
「そんなに嫌なら誰かと変わるこったな」
「嫌に決まってんだろ!!
つーか、こじゅ兄が起こしに行けばいいじゃねーか!!」
「俺が起こしに行ったら行ったで、朝飯が遅いだの何だの言うやつがいるんでな」
そう濁して言いつつも、小十郎の視線は綱元に向かっている
まぁ、概ね予想通りではあるが
「綱元……
お前ってやつは!」
「文句を言われる筋合いはないと思うがな
俺が言わなくとも、成実が遅いと言い出すに決まってる」
「んなわけ……っ!
いや言うかもしれねーけどさ……」
「だろう?
だったらお前は文句など言えんだろう」
「……ハイ……」
「そう考えると、オメェが政宗様を起こしてくれるほうが効率いいだろうが」
「俺は被害を被ってるけどな」
「すまんすまん」
「謝る気ねーだろこじゅ兄!
ってか綱元が行きゃいーじゃねーか!」
「「断る」」
俺の声に綱元の声が重なった──気がする
思わず綱元を凝視すると、「何か?」と微笑まれた
「断るなよ!
一応こんなんでも主だろうが!」
「お前が一番失礼だぞ、成実」
「メシ食ったら家の周り十周くらいするか?」
「無理無理無理無理!!
死ぬって俺死ぬ!!」
「あんだけ威勢よく啖呵切ってそれかよ」
「お前が十周しろよバカ宗」
「No thanks.」
「ふざけろこのぉー!!」
「ふざけてねぇっつの
ンなことしてっと飯もらうぞ」
「はぁぁぁ!?
マジでふざけんなよテメー!!」
ギャーギャーと騒がしい従弟は、耳を塞いでやり過ごすに限る
ったく、落ち着いてメシも食えやしねぇな
「……話が逸れていませんか?」
「いいんだ、ほっとけ」
義兄弟の2人は、そう言って我関せずを貫いた
* * *
午後から1人で街に出た
小十郎もついて行くだの何だのとうるさかったが、セールがあるとかで結局置いてきたので、今は自由だ
特にすることもないんだが……とカフェに立ち寄る
──息が詰まるという程ではないが、誰もいない一人の時間が欲しい時も……ある
のんびりと喫茶店でコーヒーを飲んでいた時
「あれ?
政宗先輩?」
そんな声が聞こえてきて視線を上げると、後輩の夕歌がいた
手には鞄がひとつ、どうやら出かけている最中らしい
「こんにちは
お一人なんですか?」
「ああ、まあな
そういうお前も一人か?」
「冷蔵庫の中身がすっからかんだったんで買出しに来てたんです
で、なんとなく家にいるのも嫌で、ちょっと遊びに」
そういや夕歌は一人暮らしだったな……
大変だろうに、自炊までこなしているらしい
「そうだったのか」
「でも、この辺はあんまり詳しくなくて……
遊びに行こうにもどこに行けばいいかもよく分からないし、とりあえずコーヒーが飲みたいなって思ったら先輩がいてって感じですけど」
「元からこっちに住んでたわけじゃねぇのか?」
「あ、はい
高校に入学する少し前に引っ越してきたので」
なるほど、と合点がいく
それなら一人でいてもつまらないだろう
せっかくひとり同士で会ったのも縁だしな……
「All right.
だったらいい場所に連れてってやるよ」
「ああ、いいですよ、別に!」
「遠慮すんなよ
ここから結構近ぇしな
まあでも、bestは夕方なんだが」
「へぇ……
行ってみたいです!」
「じゃ、行くか」
「はいっ……あ、じゃあ急いでコーヒー飲みますね……!」
「急がなくていい
言ったろ、bestは夕方だ」
「す、すみません……」
夕歌がコーヒーを飲み終えるのを待って、店を出る
この商業エリアを抜けると、裏は小高い山になる
そこまで歩くと、山の中腹に展望台が見えてきた
「ちょっと登るが、大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですよ」
二人で展望台までの階段を登る
登り終わる頃には
夕日が街をオレンジ色に染めていた
「Nice timing.」
「わあ……!
きれいですね……」
「ここは夜景もきれいなんだぜ?
ま、さすがにそこまで遅い時間に出歩くわけにはいかねぇから、来ねぇけどな」
ちなみに、ここで一緒に夕日を見た男女は結ばれるという噂があることは黙っておいた
俺自身が信じていないからというのもあるが……
相手が俺で落胆されたら、流石の俺も立ち直れないような気がする
……いや、別に俺もこいつとそうなりてぇなんざ思ってるはずが──
「あ、そういえば、ここで一緒に夕日を見た二人は結ばれるって話なんでしたっけ」
コイツ知ってやがった
「信じるか?」
「さぁ……
結局結ばれるかそうでないかは、その人たちが何か行動を起こさないと無理なわけじゃないですか
でも、私はそういうジンクスは嫌いじゃないですよ
仮に先輩と結ばれても、まぁ……嫌な気はしないでもないですし
そりゃあ、本音は好きな人とですけど」
「…そうか」
ポン、と夕歌の頭を軽くなでる
この胸に広がる温かな気持ちが何なのか……
それに答えを見出せないまま、夕日が沈んでいく街を二人で眺めていた
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