44 予兆
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
──それは本当に突然だった
[今日は予定空けとけよ
You see?]
「……はい?」
どういうことですか?
44 予兆
「いきなりびっくりしました」
迎えに来てくれた先輩は、苦笑いで「だよな」と呟いた
「実はな……今日は本当は見合いの日だったんだ」
「お、お見合いですか……
で、また蹴ってきたとでも?」
「昨日の夜中にやっとな
それで、今日は部活もねえだろ?
お前と行きてえとこがあった」
「行きたいところ……?」
「まっ、着いてからのお楽しみだ」
先輩はそう言って二ッと笑った
だから造形美がそんなことすると洒落にならないんだってば……
「……先輩って、本当に美人ですよね」
「はあ!?
いきなりなんだ?」
「いや、私の前だと取り繕った感がないなと思って
学院にいるときの先輩って、どこか冷めた感じがあるので
高嶺の花っていうんですか?」
「それは女に使う言葉だろ」
「分かってますよ
でもなんか、そういう言葉が似合うっていうか
見る分にはいいんだけど、それを手に取ろうとしたらただじゃすまないっていうか……」
「……寄ってくる女がうぜぇんだよ」
多分、本心じゃないと思う
先輩と出会ったときのことを思い出すと、特に
「でも先輩、私に対しては自分から話しかけてきてくれましたよね」
「あ?
Ahー……
あんときのお前の第一印象は、そこらの女子よりかずっと変だったからな」
「変だったんですか!?」
変って言われた……
ちょっとショックだ……
「最初はな、どうせ経験者っていう肩書を利用してるだけだろって思った
けどまあ、成実に頭下げだしたり全然俺たちに興味示さなかったりでな
なんつうか、他とは違うと思ったんだよ
良い意味でな」
そういえば成実に頭下げてた記憶ある
あれ……結構プライドがズタズタになったような
「お前は?」
「私ですか?」
私は……」
うーん、そう言われるとあんまり覚えてないけど……
「最初は第三者視点だった気がします
かっこいい先輩だなーみたいな
でも別に、それだからってキャーキャー騒ぐような人なのかなとも思ったり
だって、人って見た目じゃないわけじゃないですか
顔が良くても、その人の性格が悪かったらしらけちゃうわけだし
だけど、体験入部の時にいつでも頼っていいよって言われたときは嬉しかったですね
入ったばっかりで右も左も分からない時に、先輩が手を差し伸べてくれた気がしました」
そう言って先輩を見上げると
心なしか先輩の頬は赤かった
「あ、照れてます?」
「うるせっ!」
「わー、照れてる
先輩も可愛いところあるんですねぇ!」
「だーもう!!」
いつもからかわれてる分
今のはお返し
そのうち倍になって返ってきそうだけど
* * *
駅に着くと、先輩はいつもとは逆のホームに入った
「え、こっちじゃないんですか?」
「言っただろ?
行きたいところがあるってよ」
「どこなんですか?」
「着いてからのお楽しみだ」
「えー」
先輩とホームで待つこと数分、快速の電車がホームに入ってきて
「乗るぞ」
「はーい」
先輩は電車に入ると空席をすばやく見つけ、私に手招きをした
「空いてる席見つけるの早いですね」
「この身長のおかげでな」
「先輩って身長高いですよね
何cmあるんですか?」
「186cm」
「高っ!」
「ちなみに小十郎は190cmっつってたぜ」
「片倉先生……そういえば毎回見上げるときに首の角度がすごかった気がする……
成実が確か175cmで……
綱元先輩は低そうですよね」
「あいつは168cmだからな」
「低い」
そりゃ並んだらあんなにボコッとへこんでるわけだ
「片倉先生の方が背が高いんですね」
「あいつは伊達家で一番背ぇ高ーぞ」
「原田さんは?」
「あいつは179cm」
「先輩二番目だ」
「だな」
「背も高くてスタイル抜群とか……」
「スタイルよくねえだろ」
「それ言ったら人間みんなおしまいですけど」
いつもとは違う景色が過ぎていく窓の外
「お前は何cmだ?」
「161cmです」
「伸びたのか」
「数mmの世界で」
「もうほとんど成長止まってんな」
「もうこれ以上発育しないんです」
そう……
もうこれ以上……発育しないの……
「負のオーラ出てんぞ」
「乙女の悩みは成長が止まることなんですよ?」
「あー、あれか
胸のサイ──」
「殴りますよ」
「悪かった」
一番人が気にしてることを……!!
くっそう!
Cはあるもん、馬鹿にすんなよ!?
「まあ俺は別に気にしねえがな」
「先輩はそうでも私は気にします」
「気にすんな」
「無理です」
電車がゆっくりと速度を落としていく
「まだ先なんですよね?」
「あと三、四駅くらい先だな」
「結構遠いですね」
「まあな
だが、行けば絶対、来てよかったって思えるぜ?」
「期待しちゃいますよ?
そんなこと言うと」
「もっと期待してくれても構わねえんだがな」
「海ですか?」
「だから、着いてからのお楽しみだっつったろ」
「けちー」
「へいへい」
電車がホームに入って、完全に止まった
[今日は予定空けとけよ
You see?]
「……はい?」
どういうことですか?
44 予兆
「いきなりびっくりしました」
迎えに来てくれた先輩は、苦笑いで「だよな」と呟いた
「実はな……今日は本当は見合いの日だったんだ」
「お、お見合いですか……
で、また蹴ってきたとでも?」
「昨日の夜中にやっとな
それで、今日は部活もねえだろ?
お前と行きてえとこがあった」
「行きたいところ……?」
「まっ、着いてからのお楽しみだ」
先輩はそう言って二ッと笑った
だから造形美がそんなことすると洒落にならないんだってば……
「……先輩って、本当に美人ですよね」
「はあ!?
いきなりなんだ?」
「いや、私の前だと取り繕った感がないなと思って
学院にいるときの先輩って、どこか冷めた感じがあるので
高嶺の花っていうんですか?」
「それは女に使う言葉だろ」
「分かってますよ
でもなんか、そういう言葉が似合うっていうか
見る分にはいいんだけど、それを手に取ろうとしたらただじゃすまないっていうか……」
「……寄ってくる女がうぜぇんだよ」
多分、本心じゃないと思う
先輩と出会ったときのことを思い出すと、特に
「でも先輩、私に対しては自分から話しかけてきてくれましたよね」
「あ?
Ahー……
あんときのお前の第一印象は、そこらの女子よりかずっと変だったからな」
「変だったんですか!?」
変って言われた……
ちょっとショックだ……
「最初はな、どうせ経験者っていう肩書を利用してるだけだろって思った
けどまあ、成実に頭下げだしたり全然俺たちに興味示さなかったりでな
なんつうか、他とは違うと思ったんだよ
良い意味でな」
そういえば成実に頭下げてた記憶ある
あれ……結構プライドがズタズタになったような
「お前は?」
「私ですか?」
私は……」
うーん、そう言われるとあんまり覚えてないけど……
「最初は第三者視点だった気がします
かっこいい先輩だなーみたいな
でも別に、それだからってキャーキャー騒ぐような人なのかなとも思ったり
だって、人って見た目じゃないわけじゃないですか
顔が良くても、その人の性格が悪かったらしらけちゃうわけだし
だけど、体験入部の時にいつでも頼っていいよって言われたときは嬉しかったですね
入ったばっかりで右も左も分からない時に、先輩が手を差し伸べてくれた気がしました」
そう言って先輩を見上げると
心なしか先輩の頬は赤かった
「あ、照れてます?」
「うるせっ!」
「わー、照れてる
先輩も可愛いところあるんですねぇ!」
「だーもう!!」
いつもからかわれてる分
今のはお返し
そのうち倍になって返ってきそうだけど
* * *
駅に着くと、先輩はいつもとは逆のホームに入った
「え、こっちじゃないんですか?」
「言っただろ?
行きたいところがあるってよ」
「どこなんですか?」
「着いてからのお楽しみだ」
「えー」
先輩とホームで待つこと数分、快速の電車がホームに入ってきて
「乗るぞ」
「はーい」
先輩は電車に入ると空席をすばやく見つけ、私に手招きをした
「空いてる席見つけるの早いですね」
「この身長のおかげでな」
「先輩って身長高いですよね
何cmあるんですか?」
「186cm」
「高っ!」
「ちなみに小十郎は190cmっつってたぜ」
「片倉先生……そういえば毎回見上げるときに首の角度がすごかった気がする……
成実が確か175cmで……
綱元先輩は低そうですよね」
「あいつは168cmだからな」
「低い」
そりゃ並んだらあんなにボコッとへこんでるわけだ
「片倉先生の方が背が高いんですね」
「あいつは伊達家で一番背ぇ高ーぞ」
「原田さんは?」
「あいつは179cm」
「先輩二番目だ」
「だな」
「背も高くてスタイル抜群とか……」
「スタイルよくねえだろ」
「それ言ったら人間みんなおしまいですけど」
いつもとは違う景色が過ぎていく窓の外
「お前は何cmだ?」
「161cmです」
「伸びたのか」
「数mmの世界で」
「もうほとんど成長止まってんな」
「もうこれ以上発育しないんです」
そう……
もうこれ以上……発育しないの……
「負のオーラ出てんぞ」
「乙女の悩みは成長が止まることなんですよ?」
「あー、あれか
胸のサイ──」
「殴りますよ」
「悪かった」
一番人が気にしてることを……!!
くっそう!
Cはあるもん、馬鹿にすんなよ!?
「まあ俺は別に気にしねえがな」
「先輩はそうでも私は気にします」
「気にすんな」
「無理です」
電車がゆっくりと速度を落としていく
「まだ先なんですよね?」
「あと三、四駅くらい先だな」
「結構遠いですね」
「まあな
だが、行けば絶対、来てよかったって思えるぜ?」
「期待しちゃいますよ?
そんなこと言うと」
「もっと期待してくれても構わねえんだがな」
「海ですか?」
「だから、着いてからのお楽しみだっつったろ」
「けちー」
「へいへい」
電車がホームに入って、完全に止まった
1/3ページ