43 部活!
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三月末──
婆娑羅学院高等部の剣道場からは、かけ声が響いていた
「──ハアッ!!」
「一本!」
審判の声がして、一礼をして頭の武具を取り
「「ありがとうございました!」」
43 部活!
「や、やったー!
とうとう成実に勝ったー!!」
「くっそー!
お前に負ける日がくるとは……!
夕歌強ぇよ」
「はっはっは、玉竜旗優勝は伊達じゃないってことだ」
手合せをした成実にそう言う
そう、何を隠そう、先日行われた大会で堂々の個人優勝を飾ってきたのだ
「お前の強さはもう折り紙つきだもんな
お前だけだぞ、練習で男子と手合せしてる女子」
「うん」
「いや、うんって」
別の人たちが模擬戦をするため、場所を開ける
「お疲れさん」
「あっ、政宗先輩
ありがとうございます」
先輩からスポドリを受け取って口をつけた
いやぁ、それにしても、成実と対戦すると毎度毎度が接戦で疲れる
今回も二本取って二本取られて、最後に私が一本取ってって感じだったし
「これは俺たちがいなくなっても大丈夫そうだな」
「先輩どうせインターハイでも優勝するでしょ」
「まあな」
「まあ、女子の方もいけるんじゃねえの?」
「精一杯頑張ります」
「いや行ける行ける
お前なら平気で全国行く」
「成実もいけるでしょ」
「そりゃまあ、そうなんじゃねえの?」
否定しないのかよ
いや、それでこそ成実という気持ちなので、何も言わないことにした
「そういや、新人戦の時って成実何位だったの?」
「優勝でしたが何か?」
「ですよねー」
うんまあ、そういう答えが返ってくるだろうことは何となく予想できたけどもね
新人戦は一年生だけで出場するから、男子剣道部の一年生の中じゃあ、一番強いのは成実だろうし
「まあ、お前はもう誰も手が付けられねえくらい強いからな」
「手が付けられないってどういう意味?」
「特ニ意味ハ無イヨー」
「何今の棒読み」
笑ってごまかされた
何だ今の、無性に腹が立ったぞ!
「よし、じゃあ行ってくる」
「頑張ってください!」
「頑張れよ、ぼーん」
模擬戦の順番が回ってきたらしい政宗先輩が、ひらりと手を振って歩いていく
「いやー、春休みかー」
「俺たちすっげえ楽しんでるよな
他のクラスの奴らと違って」
「だねぇ……」
昼から学校に行くっていうのが、なんとも違和感を感じるところだけど
「親泰君が羨ましがってたもんねぇ……」
「あいつ2組だもんな……」
「1組は課外が無いから、次に会うのは始業式だね」と親泰君に言った時の、「え!?は、え!?」という狼狽ぶりは記憶にも新しい
裏切るようで心苦しかったけど、今となってはその心苦しさも遥か彼方だ
「あ、そういえば四月から家康が高等部に上がってくるんだってな」
「ああ、あのえーっと、ホンダムに乗ってた子?」
「まだ言ってたのかよそれ」
だってインパクトありすぎたんだもんホンダム
ともあれ、その情報は私も知っている
なにせ、その家康君が次の副会長候補なわけで
「綱元先輩、元気かなぁ」
「へ、綱元?
元気元気、もう原田が可哀想なくらい元気にしてる」
「原田さんに一体何が……」
「話すと長くなるけど、まぁ大元を辿れば原因は梵で……」
「政宗先輩かー……」
「綱元のストレスをぶつけられてるのが原田で……」
「なんて可哀想な……」
「その原田のストレスをぶつけられてんのが俺」
「なんで!?」
「お前、知ってるだろ……?
俺が伊達家で一番ヒエラルキーの底辺にいるって……」
「そうだった……」
あの時のお泊まりで知ってしまったんだった……
「じゃあ成実はどこでストレスを……?」
「寝る」
「無害すぎる」
なるほど、ストレスの行先のループは成実で終わるわけか……
「梵は料理作ってるときが一番落ち着くって話だし、こじゅ兄は言わずもがな、畑弄ってる時だし」
「あぁ、なるほど……」
政宗先輩が模擬戦を終えて、こちらへ戻ってくる
先輩が余裕で勝利したのは私たちも見ていて知っているので、ねぎらいの言葉もそこそこにしておいた
「あ、それ私のスポドリで……」
「……Sorry,もう飲んだ」
「あーあ、間接キスだ」
「あうう……そこに置いておいたのが悪かったですね、すみません」
先輩の手には、半分以上がなくなったスポドリが握られていて
間接キスだと持て囃した成実は、政宗先輩から無言でパカンと殴られていた
婆娑羅学院高等部の剣道場からは、かけ声が響いていた
「──ハアッ!!」
「一本!」
審判の声がして、一礼をして頭の武具を取り
「「ありがとうございました!」」
43 部活!
「や、やったー!
とうとう成実に勝ったー!!」
「くっそー!
お前に負ける日がくるとは……!
夕歌強ぇよ」
「はっはっは、玉竜旗優勝は伊達じゃないってことだ」
手合せをした成実にそう言う
そう、何を隠そう、先日行われた大会で堂々の個人優勝を飾ってきたのだ
「お前の強さはもう折り紙つきだもんな
お前だけだぞ、練習で男子と手合せしてる女子」
「うん」
「いや、うんって」
別の人たちが模擬戦をするため、場所を開ける
「お疲れさん」
「あっ、政宗先輩
ありがとうございます」
先輩からスポドリを受け取って口をつけた
いやぁ、それにしても、成実と対戦すると毎度毎度が接戦で疲れる
今回も二本取って二本取られて、最後に私が一本取ってって感じだったし
「これは俺たちがいなくなっても大丈夫そうだな」
「先輩どうせインターハイでも優勝するでしょ」
「まあな」
「まあ、女子の方もいけるんじゃねえの?」
「精一杯頑張ります」
「いや行ける行ける
お前なら平気で全国行く」
「成実もいけるでしょ」
「そりゃまあ、そうなんじゃねえの?」
否定しないのかよ
いや、それでこそ成実という気持ちなので、何も言わないことにした
「そういや、新人戦の時って成実何位だったの?」
「優勝でしたが何か?」
「ですよねー」
うんまあ、そういう答えが返ってくるだろうことは何となく予想できたけどもね
新人戦は一年生だけで出場するから、男子剣道部の一年生の中じゃあ、一番強いのは成実だろうし
「まあ、お前はもう誰も手が付けられねえくらい強いからな」
「手が付けられないってどういう意味?」
「特ニ意味ハ無イヨー」
「何今の棒読み」
笑ってごまかされた
何だ今の、無性に腹が立ったぞ!
「よし、じゃあ行ってくる」
「頑張ってください!」
「頑張れよ、ぼーん」
模擬戦の順番が回ってきたらしい政宗先輩が、ひらりと手を振って歩いていく
「いやー、春休みかー」
「俺たちすっげえ楽しんでるよな
他のクラスの奴らと違って」
「だねぇ……」
昼から学校に行くっていうのが、なんとも違和感を感じるところだけど
「親泰君が羨ましがってたもんねぇ……」
「あいつ2組だもんな……」
「1組は課外が無いから、次に会うのは始業式だね」と親泰君に言った時の、「え!?は、え!?」という狼狽ぶりは記憶にも新しい
裏切るようで心苦しかったけど、今となってはその心苦しさも遥か彼方だ
「あ、そういえば四月から家康が高等部に上がってくるんだってな」
「ああ、あのえーっと、ホンダムに乗ってた子?」
「まだ言ってたのかよそれ」
だってインパクトありすぎたんだもんホンダム
ともあれ、その情報は私も知っている
なにせ、その家康君が次の副会長候補なわけで
「綱元先輩、元気かなぁ」
「へ、綱元?
元気元気、もう原田が可哀想なくらい元気にしてる」
「原田さんに一体何が……」
「話すと長くなるけど、まぁ大元を辿れば原因は梵で……」
「政宗先輩かー……」
「綱元のストレスをぶつけられてるのが原田で……」
「なんて可哀想な……」
「その原田のストレスをぶつけられてんのが俺」
「なんで!?」
「お前、知ってるだろ……?
俺が伊達家で一番ヒエラルキーの底辺にいるって……」
「そうだった……」
あの時のお泊まりで知ってしまったんだった……
「じゃあ成実はどこでストレスを……?」
「寝る」
「無害すぎる」
なるほど、ストレスの行先のループは成実で終わるわけか……
「梵は料理作ってるときが一番落ち着くって話だし、こじゅ兄は言わずもがな、畑弄ってる時だし」
「あぁ、なるほど……」
政宗先輩が模擬戦を終えて、こちらへ戻ってくる
先輩が余裕で勝利したのは私たちも見ていて知っているので、ねぎらいの言葉もそこそこにしておいた
「あ、それ私のスポドリで……」
「……Sorry,もう飲んだ」
「あーあ、間接キスだ」
「あうう……そこに置いておいたのが悪かったですね、すみません」
先輩の手には、半分以上がなくなったスポドリが握られていて
間接キスだと持て囃した成実は、政宗先輩から無言でパカンと殴られていた
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