29 走ろう!
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11月も中旬
吹き付ける風も冷たい
「うー、寒っ……!!」
ジャージからはみ出ている手をこすり合わせていると
「おいお前ら、集合!」
体育教師の声で全員がグラウンドの中央へ
「今日から12月中旬までの約一か月間!
持久走……略してスーパーJタイムが始まる!」
「お前の頭が大丈夫か」
そして略すどころかさらに長くなってるじゃねえか
29 走ろう!
そんなこんなで持久走、いや……
ネーミングセンスがないのもいいところだって程の最悪なネーミング……
スーパーJタイム
が始まった
「大体、何でこんなくそ寒いときに持久走なんかすんだよ……
考えた奴誰だ……」
「成実殿、持久走ではござらぬ!
すーぱーJたいむでござるぞ!!」
「何感化されてんだよお前は」
「発音がなってないな
Super J timeだ」
「誰もアメリカンな発音求めてねえよ」
「イギリス人かもしれないだろう」
「知りません
アメリカ人もイギリス人も変わんねえよ」
「イギリス人とアメリカ人に謝れ」
「何で!?」
「かすが殿
女子はもうらんにんぐが始まっておりまするが……」
「何っ!?」
「かすがー!
何してんのー!」
あいつアホだ……
伝わっていたようで、滅茶苦茶睨まれた
全然迫力なかったけど
女子の倍の距離をランニングする男子がスタートについて、持久走がスタート
走って割とすぐに、並走している夕歌とかすがに追いついた
「夕歌、アメリカ人とイギリス人の違いは?」
「いきなりどうした」
いやほんとそれは後ろで聞いてた俺も思った
教師といいかすがといい頭大丈夫かよ本当
なんかもう怖くなってきた
明日人類滅亡とか言わねえよな
「アメリカ人とイギリス人の違い?
紳士かヒーローか」
「なるほど!」
納得したの
ぶっちゃけ適当な答えだったと思うんだけど
これ納得しちゃっていいの?
「ていうか、知ってどうするの?」
「成実に教えてやろうと思ってな」
「あんた明らかに成実のこと馬鹿にしてるよね?」
馬鹿にされてるな
これは完全に馬鹿にされてるな
このやり場のない怒りをどうしたらいいんだろう
「そんなこと言って後ろ向いたら成実が居たりするかもよ?
どうすんの?」
「いるぞ?」
「うぇえ!?」
「いや驚きたいのは俺だけどォ!?
かすが気付いてて俺のこと馬鹿にしてたんだな!?
成実さんさすがに泣きそうですけど!?」
「いや……今さっき気付いて……」
むっすーと唇を尖らせる
揃いも揃って俺のこと馬鹿にしやがって
……いや、多分、原因は十中八九この性格のせいだよな……
勉強は、まぁ出来るほうだけど……難しいこと考えるのは苦手だしな、俺
その分、勘ってやつはよく当たるんだけど
「ったくよー……
まぁいいや、お先」
「ファイトー」
二人を追い抜いてグラウンドを走る
……俺ってそんなに馬鹿面してる?
もうちょっとこう、凛々しい感じの顔にならねぇかな……?
「はい、あと5周ー」
教師に残りのノルマを言い渡されて萎える
あと5周かー……
いや、余裕だけど、つまらないというか……
割とすぐに幸村には置いてかれてるしな、あいつ足速すぎるだろ
さすがサッカー部期待のルーキー
俺も体力とかには自信あったけど……
まだまだだな
やっぱ、昔みたいにはいかねぇか?
「真田、大丈夫か!?
ペース気を付けろよ!?」
「へ?」
ふと後ろを振り返ると、そこには猛烈な勢いでこちらに向かってきている──幸村
え、待って、1周の差をつけられてるってこと?
「おおっ、成実殿!」
「お前あと何周……?」
「某は残り3周でござる!」
「2周の差!?」
「では、失礼いたしまする!
うおぉぉぉぉ!!!
みぃぃなぁぁぎぃぃるぁぁぁ!!!」
あいつこそ本物のアホだ──!!!
* * *
「ぜぇ……はぁ……
の、乗せられてしまった……」
ムキになってペースをすっ飛ばしてしまった
お陰で幸村との差は1周まで縮まったけど、こっちは全力疾走で残り5周を走り終えたのに、幸村はケロッとしている
こいつただの体力バカだ……
「お前はどうしてそう乗せられやすいんだ?」
「じ……自分でも……思ってる……」
「成実殿、ゆっくりと呼吸を落ち着けてくだされ!」
「アホみたいに飛ばしてたもんねぇ……」
アホって言うな……アホみたいなことしたけど……
あーくそ、全然呼吸が整わない
「お前らすごいなぁ
陸上部のほうが向いてるんじゃないのか?」
呆れたように体育教師がそう言う
そういやこの先生、陸上部の顧問だったっけ
監督はまた別にいるらしいけど
「む、しかし某はサッカー部でござる」
「そうかぁ
お前らなら陸上の大会で優勝できると思ったんだが」
「は、はは……
俺はまぁ……梵、じゃないや、2年の伊達のことがあるんで……」
忘れ去られてそうだけど、本来俺がこの学院にいる理由は、梵の護衛だからな
三傑が梵の周囲を固めてるせいで、最近は梵が狙われたりもなくなったけど
それでも、油断はできない
吹き付ける風も冷たい
「うー、寒っ……!!」
ジャージからはみ出ている手をこすり合わせていると
「おいお前ら、集合!」
体育教師の声で全員がグラウンドの中央へ
「今日から12月中旬までの約一か月間!
持久走……略してスーパーJタイムが始まる!」
「お前の頭が大丈夫か」
そして略すどころかさらに長くなってるじゃねえか
29 走ろう!
そんなこんなで持久走、いや……
ネーミングセンスがないのもいいところだって程の最悪なネーミング……
スーパーJタイム
が始まった
「大体、何でこんなくそ寒いときに持久走なんかすんだよ……
考えた奴誰だ……」
「成実殿、持久走ではござらぬ!
すーぱーJたいむでござるぞ!!」
「何感化されてんだよお前は」
「発音がなってないな
Super J timeだ」
「誰もアメリカンな発音求めてねえよ」
「イギリス人かもしれないだろう」
「知りません
アメリカ人もイギリス人も変わんねえよ」
「イギリス人とアメリカ人に謝れ」
「何で!?」
「かすが殿
女子はもうらんにんぐが始まっておりまするが……」
「何っ!?」
「かすがー!
何してんのー!」
あいつアホだ……
伝わっていたようで、滅茶苦茶睨まれた
全然迫力なかったけど
女子の倍の距離をランニングする男子がスタートについて、持久走がスタート
走って割とすぐに、並走している夕歌とかすがに追いついた
「夕歌、アメリカ人とイギリス人の違いは?」
「いきなりどうした」
いやほんとそれは後ろで聞いてた俺も思った
教師といいかすがといい頭大丈夫かよ本当
なんかもう怖くなってきた
明日人類滅亡とか言わねえよな
「アメリカ人とイギリス人の違い?
紳士かヒーローか」
「なるほど!」
納得したの
ぶっちゃけ適当な答えだったと思うんだけど
これ納得しちゃっていいの?
「ていうか、知ってどうするの?」
「成実に教えてやろうと思ってな」
「あんた明らかに成実のこと馬鹿にしてるよね?」
馬鹿にされてるな
これは完全に馬鹿にされてるな
このやり場のない怒りをどうしたらいいんだろう
「そんなこと言って後ろ向いたら成実が居たりするかもよ?
どうすんの?」
「いるぞ?」
「うぇえ!?」
「いや驚きたいのは俺だけどォ!?
かすが気付いてて俺のこと馬鹿にしてたんだな!?
成実さんさすがに泣きそうですけど!?」
「いや……今さっき気付いて……」
むっすーと唇を尖らせる
揃いも揃って俺のこと馬鹿にしやがって
……いや、多分、原因は十中八九この性格のせいだよな……
勉強は、まぁ出来るほうだけど……難しいこと考えるのは苦手だしな、俺
その分、勘ってやつはよく当たるんだけど
「ったくよー……
まぁいいや、お先」
「ファイトー」
二人を追い抜いてグラウンドを走る
……俺ってそんなに馬鹿面してる?
もうちょっとこう、凛々しい感じの顔にならねぇかな……?
「はい、あと5周ー」
教師に残りのノルマを言い渡されて萎える
あと5周かー……
いや、余裕だけど、つまらないというか……
割とすぐに幸村には置いてかれてるしな、あいつ足速すぎるだろ
さすがサッカー部期待のルーキー
俺も体力とかには自信あったけど……
まだまだだな
やっぱ、昔みたいにはいかねぇか?
「真田、大丈夫か!?
ペース気を付けろよ!?」
「へ?」
ふと後ろを振り返ると、そこには猛烈な勢いでこちらに向かってきている──幸村
え、待って、1周の差をつけられてるってこと?
「おおっ、成実殿!」
「お前あと何周……?」
「某は残り3周でござる!」
「2周の差!?」
「では、失礼いたしまする!
うおぉぉぉぉ!!!
みぃぃなぁぁぎぃぃるぁぁぁ!!!」
あいつこそ本物のアホだ──!!!
* * *
「ぜぇ……はぁ……
の、乗せられてしまった……」
ムキになってペースをすっ飛ばしてしまった
お陰で幸村との差は1周まで縮まったけど、こっちは全力疾走で残り5周を走り終えたのに、幸村はケロッとしている
こいつただの体力バカだ……
「お前はどうしてそう乗せられやすいんだ?」
「じ……自分でも……思ってる……」
「成実殿、ゆっくりと呼吸を落ち着けてくだされ!」
「アホみたいに飛ばしてたもんねぇ……」
アホって言うな……アホみたいなことしたけど……
あーくそ、全然呼吸が整わない
「お前らすごいなぁ
陸上部のほうが向いてるんじゃないのか?」
呆れたように体育教師がそう言う
そういやこの先生、陸上部の顧問だったっけ
監督はまた別にいるらしいけど
「む、しかし某はサッカー部でござる」
「そうかぁ
お前らなら陸上の大会で優勝できると思ったんだが」
「は、はは……
俺はまぁ……梵、じゃないや、2年の伊達のことがあるんで……」
忘れ去られてそうだけど、本来俺がこの学院にいる理由は、梵の護衛だからな
三傑が梵の周囲を固めてるせいで、最近は梵が狙われたりもなくなったけど
それでも、油断はできない
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