21 夏の鎮魂歌-5-
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終わった
何もかも
恨みと、憎しみと、欲望と、少しだけの羨ましさ
小さくて大きな出来事は、幕を下ろした
戻ってきたのは、いつもの平穏な日常
21 夏の鎮魂歌-5-
八月も中旬を過ぎた今日この頃
外は当然のごとく夏の晴天
雨降れよいい加減
うっとおしいんだよ蝉がさ
ため息をついたとき
「ほーら、ため息つくと幸せが逃げるよ?」
「うわぁぁぁ!!
佐助先輩!?」
いつの間に、どこから!!
「あはは、驚かせちゃった?
こーみえて気配消すの得意なんだよね、俺様」
「消す必要性が全く感じられませんけども!!」
心臓に悪いよ先輩
ちゃんと気配つけて入ってきてください
「相変わらず寂しいねー、この部屋」
「そうですねー
誰もいないと暇で死にそうです」
「実際今は夏休みだからね
誰もいない時ってないでしょ」
「まあそうですね
さっきまで長曾我部兄弟と元就先輩いましたけど」
「知ってる
さっき廊下ですれ違ったから
何だかんだ、毛利の旦那も夕歌ちゃんには甘々でさぁ~?
あの冷酷無比、どうやって絆しちゃったのさぁ!」
「絆すってなんですか!
普通に仲良く……なったんですかね……?」
「俺様が知るわけなくない!?」
そうですよね、と思ったところであることに気付いた
「幸村君はどうしたんですか?」
「旦那?
旦那なら家だよ?」
「あれ、一緒じゃないんですね」
「そりゃあ夏休み終わろうとしてんのに課題が終わってないんじゃねえ」
「え……終わってないんですか……?
私だってお盆前で全部終わるくらいの量だったんですけど……?」
「あー旦那はねぇ、宿題を最終日に片付けるタイプなの
だからごめん、もう俺様帰らなきゃ」
もう帰っちゃうのか……
ちょっとさみしいなあ……
「気を付けて帰ってくだいね」
「うん、ありがと
あとこれお見舞いの品
お菓子詰め合わせ」
「ありがとうございます!」
それじゃあね、と佐助先輩は帰っていった
それに手を振り返して
「……うん、静か!」
暇じゃんか……
だーれかー!
いやほんと誰か来てください、暇すぎて昇天しそう
「……寝ようかな……」
お菓子の詰め合わせを近くの台において横になる
ここ最近、寝るかスマホ触るか誰かと話すかしかしてない
テレビもね、笑うと痛いんだよ、肋骨折ってるからね
そういや最近、小太郎先輩と信幸先輩見てないなあ……
やっぱ忙しいのかな
* * *
……うとうととしていた時、傍に人の気配がしたような気がした
「ん……?」
目を覚ますと
「こ、小太郎先輩!」
[久しぶり
具合はどう?]
「大分よくなりました
ありがとうございます」
小太郎先輩の表情が和らいだ気がした
相変わらずお顔の半分は髪の毛で隠れちゃってるけど
[退院までどのくらいかかる?]
「何とか夏休み中には……
でも骨折とかもあって部活は出来そうにないです」
[大丈夫?]
「新人戦に出れたらいいんですけど……
それも無理そうで」
小太郎先輩が頭を撫でてくれた
気を使わせちゃった気がする
気がすると言うより絶対使わせた
[今はゆっくり休んで]
「あはは……
ありがとうございます」
小太郎先輩は何かを書こうとして、一瞬手を止めた
[眠い?]
そういや、うとうとしてたところに小太郎先輩来たんだっけ
「ちょっと……
眠いです」
[寝ていいよ
傍にいる]
小太郎先輩がどこぞの天使様に見えて仕方ない
思わず感動してしまった、伊達家の皆さんがあんな感じなばっかりに
「じゃあ……
お言葉に甘えて」
そう言うと、先輩は私の手を握ってくれた
何だこの可愛い人は……
目を閉じると、遠くのセミの声が静寂を際立たせていく
あ……なんか眠れそうかも……
「……好きだよ」
ん……?
誰の声だろ……?
穏やかで、優しい声だったなぁ……
──気がつけば、私は眠っていた
政宗先輩……
会いたいなぁ……
何もかも
恨みと、憎しみと、欲望と、少しだけの羨ましさ
小さくて大きな出来事は、幕を下ろした
戻ってきたのは、いつもの平穏な日常
21 夏の鎮魂歌-5-
八月も中旬を過ぎた今日この頃
外は当然のごとく夏の晴天
雨降れよいい加減
うっとおしいんだよ蝉がさ
ため息をついたとき
「ほーら、ため息つくと幸せが逃げるよ?」
「うわぁぁぁ!!
佐助先輩!?」
いつの間に、どこから!!
「あはは、驚かせちゃった?
こーみえて気配消すの得意なんだよね、俺様」
「消す必要性が全く感じられませんけども!!」
心臓に悪いよ先輩
ちゃんと気配つけて入ってきてください
「相変わらず寂しいねー、この部屋」
「そうですねー
誰もいないと暇で死にそうです」
「実際今は夏休みだからね
誰もいない時ってないでしょ」
「まあそうですね
さっきまで長曾我部兄弟と元就先輩いましたけど」
「知ってる
さっき廊下ですれ違ったから
何だかんだ、毛利の旦那も夕歌ちゃんには甘々でさぁ~?
あの冷酷無比、どうやって絆しちゃったのさぁ!」
「絆すってなんですか!
普通に仲良く……なったんですかね……?」
「俺様が知るわけなくない!?」
そうですよね、と思ったところであることに気付いた
「幸村君はどうしたんですか?」
「旦那?
旦那なら家だよ?」
「あれ、一緒じゃないんですね」
「そりゃあ夏休み終わろうとしてんのに課題が終わってないんじゃねえ」
「え……終わってないんですか……?
私だってお盆前で全部終わるくらいの量だったんですけど……?」
「あー旦那はねぇ、宿題を最終日に片付けるタイプなの
だからごめん、もう俺様帰らなきゃ」
もう帰っちゃうのか……
ちょっとさみしいなあ……
「気を付けて帰ってくだいね」
「うん、ありがと
あとこれお見舞いの品
お菓子詰め合わせ」
「ありがとうございます!」
それじゃあね、と佐助先輩は帰っていった
それに手を振り返して
「……うん、静か!」
暇じゃんか……
だーれかー!
いやほんと誰か来てください、暇すぎて昇天しそう
「……寝ようかな……」
お菓子の詰め合わせを近くの台において横になる
ここ最近、寝るかスマホ触るか誰かと話すかしかしてない
テレビもね、笑うと痛いんだよ、肋骨折ってるからね
そういや最近、小太郎先輩と信幸先輩見てないなあ……
やっぱ忙しいのかな
* * *
……うとうととしていた時、傍に人の気配がしたような気がした
「ん……?」
目を覚ますと
「こ、小太郎先輩!」
[久しぶり
具合はどう?]
「大分よくなりました
ありがとうございます」
小太郎先輩の表情が和らいだ気がした
相変わらずお顔の半分は髪の毛で隠れちゃってるけど
[退院までどのくらいかかる?]
「何とか夏休み中には……
でも骨折とかもあって部活は出来そうにないです」
[大丈夫?]
「新人戦に出れたらいいんですけど……
それも無理そうで」
小太郎先輩が頭を撫でてくれた
気を使わせちゃった気がする
気がすると言うより絶対使わせた
[今はゆっくり休んで]
「あはは……
ありがとうございます」
小太郎先輩は何かを書こうとして、一瞬手を止めた
[眠い?]
そういや、うとうとしてたところに小太郎先輩来たんだっけ
「ちょっと……
眠いです」
[寝ていいよ
傍にいる]
小太郎先輩がどこぞの天使様に見えて仕方ない
思わず感動してしまった、伊達家の皆さんがあんな感じなばっかりに
「じゃあ……
お言葉に甘えて」
そう言うと、先輩は私の手を握ってくれた
何だこの可愛い人は……
目を閉じると、遠くのセミの声が静寂を際立たせていく
あ……なんか眠れそうかも……
「……好きだよ」
ん……?
誰の声だろ……?
穏やかで、優しい声だったなぁ……
──気がつけば、私は眠っていた
政宗先輩……
会いたいなぁ……
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