01 入部
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春──それは新たな出会いの季節
などとよく言ったものだ
実際はそんなうまい話があるわけない
そう、あるわけないのだよ!!
01 入部
──私立婆裟羅学院
超がつくほどの高い偏差値を誇る金持ち校
学院内には初等部から大学部までそろっている、ある意味とんでもない学校
そんな高校に、私は平々凡々な公立中学校からやってまいりました
ぶっちゃけなんで入れたのか不思議
入試の手応え的には落ちたと思ったんだけどな……
なのに受かった
しかも奨学特待生で受かった
恐ろしや……
ちなみに今は学級委員選出中
なかなか立候補者が出ないために、ホームルームの時間が学級委員の選出だけで終わりそうだ
──結局、それは真田幸村君と春日山かすがさんの二人が立候補して、ようやく波乱は終わった
めんどくさそうでやりたくなかっただけに、二人には感謝しよう
* * *
さて、長かったホームルームも終わり、ようやく放課後の到来
「斎藤夕歌だな?」
机の中に突っ込んでいたプリントやらをファイルに詰め込んで、スクールバッグに片付けていた時
そんな声が頭上から降ってきたので顔を上げると、なんと春日山さんから話しかけられていた
春日山かすがさんは、両サイドの髪が異様に長い金髪ショートカットのクールビューティー
加えて美人、もうまさに人生の勝ち組を具現化したような人だ
「そうだよ?
えっと……
春日山さん、だったよね?」
「ああ、そうだ」
「私に何か用?」
いや言い方もっとあっただろ私
とはいえ、訳あって人間不信に片足を突っ込んだような性格をしているので、見逃してほしい
「その……
友達になってくれないか?」
気にも留めていないらしく、春日山さんはそう言って気恥ずかしそうに目を伏せた
くっ、美人は憂いがちな表情をしても様になる……!!
とはいえ、実は内部進学率が高くて、入学式翌日で既にぼっちを食らっていたような私
「友達」という響きと、「友達ができる」という事実への嬉しさのあまり、春日山さんの手をガッシリと握ってしまった
「うん、もちろん!」
やばい、すごい食いついた人になった
友達作りに必死すぎる可哀想な人って思われたらどうしよう!
そんなチキンな私の不安を他所に、春日山さんは一瞬驚いたように目を見開いて、それからぎゅっと握り返してくれた
「ありがとう
私のことは呼び捨ててくれて構わない」
「分かった
私のことも呼び捨てで!」
「そうする
これからよろしくな、夕歌」
「こちらこそよろしく、かすが!」
その勢いで、かすがとLEINを交換した
高校の友人第一号がこんな……モデルも裸足で逃げ出す美人でいいんだろうか……
「今日から部活見学していいんだよね?
かすがは入りたい部活とか決まってるの?」
「私は美術部に入ろうと思っている」
「美術部かぁ、なんで?」
「顧問の方がお美しかったのだ!!」
面食いか
ん?美人ってことはイケメンってわけでもないのか?
分からん
「夕歌はどうするんだ?」
「私は剣道部
小学校の時からずっとやってるんだー」
「そうなのか
……もしかしてお前、中体連で全国優勝したんじゃないか?」
「え?
よく知ってるね!?」
「夕歌に負けた相手が私と同じクラスだったからな
名前だけ聞いたことがあったんだが……お前だったか」
「そうだったんだ……」
かすがのご友人と何戦目で当たったかは分からないけど……
確か、中一の新人戦で五人抜きして、校長先生から表彰されたことあったな……
「夕歌が入るなら剣道部は安泰だな
なにせ全国1位が入部するんだ」
「うーん……
そうでもないらしいんだよねー」
「夕歌の強さでもダメだというのか?」
「そうじゃなくて
ってかそうなんだけど……
この学校の剣道部って全国トップの人たちばっかりだからさ」
「そうなのか?」
「部長は中体連で全国優勝した人で、副部長も優勝経験がある人らしくて
それ以外の部員も全国に行った人ばっかりらしいよ」
「……それはそれですごいな」
「だから私はあんまり出番ないかなって
私より強い1年なんているよ、いっぱい」
「なんだと!?
夕歌以上に可愛くて強い一年がいたのなら私が抹殺する!!」
「うんそれだけはやめようね
ってか堂々と可愛いとかいう単語を使わないで……
私そんなに可愛いわけじゃないから、むしろ普通な顔してると思うから……」
「否定することない、夕歌!
お前の可愛さは宇宙一だ!!」
「おだてても何も出ませんけど!!
つか何、かすがってそういうキャラか!
そうなのか!?」
「私は正直に評価を口にしただけだ」
そう胸を張るかすがにこれ以上何も言えない
初対面でここまで口説かれたの初めてだよ私は
いやもう、なんか疲れた……
今の言動で、私の中のかすがのイメージは完全崩壊
クールビューティーって誰のことだったんだろうね
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