恋模様の花冠
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あの日初めて彼を見たときから、わたしの人生は変わりました。
「妙技、綱渡り」
四天宝寺の学生であるわたしは、2年になってからテニス部のマネージャーになった。その年の全国大会の決勝戦。わたしはそこで初めて彼を見た。派手すぎるほどの赤い髪をしていて、これから試合だというのにガムなんか噛んでいて。その上自分を天才的、だなんて称してわたしたちの学校を挑発していた。こんな不良、うちのチームにずたぼろにやられちゃえばいいのになんて思ってたけど、試合が始まるとわたしは知らない間に彼にくぎづけになっていた。絶好の機会が来るまであまりボールには触れない彼だけど、チャンスボールは絶対に逃がさない。繊細かつ高度なその技は、わたしを魅了させるには十分なものだった。ううん、技だけじゃない。点を入れるたびに無邪気に笑う顔だとか、やっぱりさっきと変わらない自信満々な顔だとか。この胸のどきどきが恋心だってことは、わたしにもはっきり分かった。
「お、お前に好きなヤツ出来たやて…!?」
「うん」
「少女漫画ばっか見て、わたしこんな彼氏じゃないとやだ~とか言うとる妄想癖のあるお前が!?」
「えへっ」
「やめろキモい!」
試合が終わって、東京にいる最後の日。わたしはこの逸 る気持ちを抑えられずに、ホテルの一室に集まっていたレギュラーたちに、さっそく自分の気持ちを明かしていた。だって女の子はわたししかいないし、彼らならあの赤髪くんのこと詳しく知ってるかもって思ったから。なのに伝えた瞬間、謙也がわたしを馬鹿にするように食いついてきた。だけどわたしはちっともへこたれない。答えは簡単。目の前にいる謙也よりもさっきの彼しか頭に浮かんでこないから。
「めでたいやんか。漫画から脱出出来んねんから、なあ?」
「ありがとう、蔵!」
「で、どいつなんや?」
「立海のね、D1に出てた赤い髪の人!」
わたしがそう言うと、蔵はうーんと声を漏らした。わたしはというと早く名前を知りたくてわくわくどきどき。
「赤い髪…、丸井しかおらんな」
「丸井くんって言うんだ!」
「てか対戦表に書いとったやろ」
「あ、そっか。そこまで見てなかったや…」
「ほら」
わたしたち四天宝寺と立海の対戦表には、ちゃんと丸井ブン太と記されていた。すごい、変わった名前だけれど、あの人にぴったりな名前だなあ。根拠はないけど。今日はまだこの辺で泊まってるらしいけど、もう明日帰っちゃうんだよね。立海って神奈川、だっけ。神奈川と大阪じゃ、当たり前だけど、ばったりこんにちは、なんてことまずありえないよね。ていうかそもそも丸井くんに彼女いるかもしれないってところから問題だし。簡単に好きだなんて口にしなければ良かったかも。
「明日、タイミング見計らって挨拶しにいくか?」
「え、いいの?」
「おん。今日試合したわけやし、おつかれさん言うても怪しくも何ともあらへんやろ」
「ありがとう!蔵だいすき!」
「どういたしまして」
「はなに…好きなヤツ…」
蔵が頭を撫でてくれたところで、興奮がおさまりきらないままにわたしたちは眠りに就いたのだった。「お疲れさまでした」。明日のわたしは、ちゃんと言えるのかな?
「妙技、綱渡り」
四天宝寺の学生であるわたしは、2年になってからテニス部のマネージャーになった。その年の全国大会の決勝戦。わたしはそこで初めて彼を見た。派手すぎるほどの赤い髪をしていて、これから試合だというのにガムなんか噛んでいて。その上自分を天才的、だなんて称してわたしたちの学校を挑発していた。こんな不良、うちのチームにずたぼろにやられちゃえばいいのになんて思ってたけど、試合が始まるとわたしは知らない間に彼にくぎづけになっていた。絶好の機会が来るまであまりボールには触れない彼だけど、チャンスボールは絶対に逃がさない。繊細かつ高度なその技は、わたしを魅了させるには十分なものだった。ううん、技だけじゃない。点を入れるたびに無邪気に笑う顔だとか、やっぱりさっきと変わらない自信満々な顔だとか。この胸のどきどきが恋心だってことは、わたしにもはっきり分かった。
「お、お前に好きなヤツ出来たやて…!?」
「うん」
「少女漫画ばっか見て、わたしこんな彼氏じゃないとやだ~とか言うとる妄想癖のあるお前が!?」
「えへっ」
「やめろキモい!」
試合が終わって、東京にいる最後の日。わたしはこの
「めでたいやんか。漫画から脱出出来んねんから、なあ?」
「ありがとう、蔵!」
「で、どいつなんや?」
「立海のね、D1に出てた赤い髪の人!」
わたしがそう言うと、蔵はうーんと声を漏らした。わたしはというと早く名前を知りたくてわくわくどきどき。
「赤い髪…、丸井しかおらんな」
「丸井くんって言うんだ!」
「てか対戦表に書いとったやろ」
「あ、そっか。そこまで見てなかったや…」
「ほら」
わたしたち四天宝寺と立海の対戦表には、ちゃんと丸井ブン太と記されていた。すごい、変わった名前だけれど、あの人にぴったりな名前だなあ。根拠はないけど。今日はまだこの辺で泊まってるらしいけど、もう明日帰っちゃうんだよね。立海って神奈川、だっけ。神奈川と大阪じゃ、当たり前だけど、ばったりこんにちは、なんてことまずありえないよね。ていうかそもそも丸井くんに彼女いるかもしれないってところから問題だし。簡単に好きだなんて口にしなければ良かったかも。
「明日、タイミング見計らって挨拶しにいくか?」
「え、いいの?」
「おん。今日試合したわけやし、おつかれさん言うても怪しくも何ともあらへんやろ」
「ありがとう!蔵だいすき!」
「どういたしまして」
「はなに…好きなヤツ…」
蔵が頭を撫でてくれたところで、興奮がおさまりきらないままにわたしたちは眠りに就いたのだった。「お疲れさまでした」。明日のわたしは、ちゃんと言えるのかな?
