僕のダイヤモンド
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彼女の誕生日から数週間
あの日のディナーは杉下さんによって
微まれたがあれしきの妨害で諦めるような想いでもない
そして今日もお目当ての人を待ち
車で待機している
定時なり少し待っていると
グレーのおとなしめのスーツに身を包み出てきた。
「…っ!?」
声をかけようとしていると目に
飛び込むある男の姿。
甲斐亨
僕と同じくニーナを狙ってる男
「ねぇニーナ♪メシ食いに行こうぜ…なんなら飲みにでもいいし」
「カイト…」
「たまには…付き合ってよニーナ」
「でも…」
「はーいそこまで」
「え?あ、神戸さん?!」
「こんばんわニーナ」
驚いた顔もこれまた可愛い…って
そうじゃなかった。
「何しに来たのだよ神戸さん」
「ニーナをディナーに誘おうと思ってね。」
「か、神戸さんまで?!」
目をまんまるくして男二人から食事に誘われる意味を全く理解していないニーナ
それは彼女が持つ美徳のひとつでもある。
特命に配属されて
同じ時間を共に過ごして
素直で汚れがない彼女を好きになった
仕事にも真摯に向き合い
時折ひどく傷ついていたときもあった
それでも強くあろうとする健気な姿は
僕だけではなく杉下さんすら虜にしていた。
さすがに恋愛感情ではないが
そうこうしてる内にライバルはどんどん増えた。
遠回しに口説いても彼女は得意の
笑顔でスルリとかわす
それを計算でしていないから手強い。
だからもうストレートに気持ちを
伝えようと今日は意気込んで来たのだが…邪魔が入った
「…どうしてニーナはいつも断るの?」
「え…それは」
「(ニーナ?)」
「もしかして…好きな人…居てたりする?」
「っ?!///」
彼の言葉に途端に真っ赤になるニーナ
ちょっと待ってくれよ…
「ニーナそうなの?…好きな人が居てるのかい?」
「あ、その…///」
「居てるんだ…」
告白する前に失恋とは…
笑えないな
「ねぇ、そいつに告白したの?」
「ま、まさか…出来るわけない…たまには会えるだけでも…嬉しくて」
「ふーん…じゃぁさ、告白してフラれたら俺と付き合ってよ」
「か、カイト!?」
「おい、君…」
なにさらっと図々しい事を
「だってニーナは可愛い顔して意志は誰よりも強い、好きな奴がいてそれがちゃんと決着つくまで他の男なんて受け入れない」
まぁ…確かに
それは相手に気を使うとかではなくて
出来ないのが彼女。
「仕方ないから今日は帰るよ」
「カイト」
「でも、俺が言った事忘れないでよ」
そう言うと彼は帰って行った。
残された僕とニーナ
「あの…ニーナ?」
「は、はい」
どう声をかけたらいいのかわからず
取り敢えず名前を呼んでみた
そして…彼に触発されたのか
告白しないと…と思ってしまった
「…彼じゃないけど僕もニーナが好きなんだよね…」
「…え?…は、そんな…」
『そんな』って
迷惑だとは思うけど、言わずに
誰かに持っていかれるとか嫌だから
それに微塵も僕から好意を
向けられてると思ってなかったなんて
その顔を見れば分かる。
だから、
すぐに決定打を突きつけられるのは
耐えられなくて逃げを作った
「…心の整理がついたら返事貰える?」
そう言い残してその夜は帰った。
あの夜からさらに3ヶ月がたった
その日は杉下さんに用があり
特命に顔を出した
ニーナにも会えるかな?
と期待して。
だけど
「ニーナさんですか?
彼女ならつい先程カイト君がきて話があるとかで連れていきましたが?」
な、何だって?!
痺れを切らしてあいつ…まさか!
杉下さんから聞くや否や
特命を飛び出して彼女を探した。
「ニーナっ」
下手な事はしないだろうけど
この胸を支配する不安。
「……っや…」
え?
一瞬聞こえた彼女の声。
僕がニーナの声を間違えるはずなく、聞こえた部屋のドアを勢いよく開けた
「ニーナ!っ!?」
目に飛び込んできたのは
彼女の腰を抱き、キスする二人
「っキサマっ!」
涙目のニーナ。
明らかに同意のもとじゃない
「か、神戸さん!?」
困惑と驚きとが交ざる瞳
そして流れる一筋の涙
頭に血が上った
「だ、ダメです神戸さん暴力は!カイト行って!」
「え、でも…」
「良いから!」
彼女にそう言われ彼はこちらを気にしながも部屋を出ていった
「…っ…」
「暴力は…ダメ…大変な事になっちゃいます…」
「…それは…そうだけどっ…」
目の前であんなの見せられて
冷静でいられると思っているか?
確かに暴力なんてご法度
助かったのは事実
「…わかったから…離して…」
「…ご、ごめんなさい…」
「それは…何への謝罪?」
「え、その…」
「キスしてた事?…同意だったの?」
「ちがっ…無理やりされて…嫌いじゃなければ…お願いだから逃げないでって言われて…どうしたらいいのか分からなくて…」
優しい君の事だ
すがるような彼に強く拒絶
出来なかったって事は分かる
でも…
「嫌いじゃなければって…彼が好きなの?違うでしょ…だったら拒むのは当然で、そうしないとダメでしょ」
「は、はい…そうですね」
「それに…好きな女性が他の男から
迫られて、キスなんてされてたら…
すごい嫌でショックなんだけど」
「ごめんなさい…」
「で?…」
「で?…え?」
はぁ…溜め息しかでない
この子はちゃんと男の気持ちを
考えているのだろうか
こんなに多数の野郎から好かれて
想いを告げられてるのに
「好きな人には何か告げたの?」
「あの、いえ、…」
「どうして?…」
「どう、返事したらいいのか
分からなくて」
……返信?
「ニーナ?…もしかして甲斐くんの事が好きなの?」
「ち、違います!私が好きなのは…っ」
ん?
まさか
いや
この流れはもしかして
「ニーナ…僕は、
自惚れていいのかな?」
その言葉にし過ぎるほどの反応
真っ赤な顔。
「……続き…言って?…」
直接君の口から聞きたい
好きで仕方ない君から
「…か、神戸さんが、好き…です」
真っ赤になりながら
消えそうな声で途切れ途切れの言葉
たまらず腕を引き胸に抱き締めた
「あ、あの、神戸さんっ…」
「もっと早く言ってくれたら
良かったのに…」
華奢な彼女の体を深く抱き込んで
「もう、僕のだから…分かった?」
「は、はい…」
「上…向いて?」
僕のモノになった彼女にしなきゃ
いけないことがひとつ
「…あ。あの神戸さん?」
「キス…させて?」
「…へ?、」
「だって、消毒しないとね」
みんなが大好きな君を手に入れて
有頂天
だけど安心は出来ない。
隙あらば…と狙ってくるのは明白で
だから多分僕は構いすぎるくらい
かまちゃうだろうし
独占欲なんて凄いと思うけど
君だけをもうずっと一生想うから
許してね。
*
*
☆END☆
*2018.9.20 *