夏椿な貴女
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「………あの…すみません」
そう声をかけられたのは
捜査一課の刑事伊丹
そして声をかけたのは 栗色のキレイなストレートの髪の可愛らしい女性。
「…あ、はっはい…」
声をかけられた伊丹はその女性に一瞬に魅せられてしまう。…一目惚れ…というやつ
「可愛らしい人ッスね…先輩」
こそっと耳打ちするのは後輩刑事の芹沢。
「うるせっ!!…」
「あの…」
「すみません…で…ご用件は…ストーカー被害ですか?…」
「は?」
「貴女のような人はストーカーにあってるに違いないです…大丈夫ですこの伊丹が捕まえてみせますよ」
「…クスクス…確かに…ストーカーのような人には会った事ありますね…」
「やっぱり…」
「誰がストーカーだって?」
後ろから声がして振り向く伊丹、芹沢…そして女性。
「神戸…と」
「おはようございます伊丹刑事」
「警部殿…おはようございます」
あからさまに顔にだす伊丹。
「ところでニーナ…誰がストーカーなのかな?」
「っ!?…神戸…今…」
「あ…申し遅れました。わたくし…神戸ニーナと申します」
伊丹と芹沢に深くお辞儀をするニーナ。
「…え…神戸?…え?…奥さんなの?
神戸さんの?」
驚き呆けてる伊丹を他所に芹沢が言う。
「いつも主人がお世話になっております」
「あ、いえ…そんな…ねぇ…先輩。」
「じゃ…伊丹さん、芹沢さん…行くよニーナ。」
神戸はニーナの手をとり
オフィスへと向かった。
「………奥さんって…結婚してたの?あの人…………先輩?」
「…奥…さん…神戸の……。」
「あちゃ…予想外の落ち込みよう…」
その様子を横目にみがら
ため息をはく神戸。
「…尊?どうかしたの?」
「……やれやれ」
全く何も気付いていない妻をしょうしょう
恨めしそうに見下ろす。
「―――で?どうして来たの?」
ニーナをイスに座らせ
機嫌悪そうに言った。
「朝…お財布と警察手帳忘れて行ったから…無いと困ると思って…。」
「そうだけど…電話してくれたら取りに帰るのに」
「私が来た方が…早いと…」
「神戸君…そんな責めなくてもいいではありませんか…君の為にこうして持ってきてくれたんですよ?…お礼が先だと思いますけどね…さっニーナさん紅茶をどうぞ」
「わぁ…ありがとうございます。右京さんいただきますね」
「杉下さん!!見たでしょ…伊丹刑事の顔」
「見ましたよ…珍しい顔」
神戸と杉下が言い合ってるところに
「おはようございます。朝から騒がしいですね…どうし…ニーナ?!」
「あっ大河内さんおはようございます…お久しぶりですね」
紅茶を飲みながらにこやかに言った。
「こんな所でなにして…」
「主人の忘れ物を届けにです」
「そうか…それは大変だったね」
大河内さんがわざわざ特命まで来ると言う事は杉下さんに用なのだろう。
今のうちに…。
「杉下さん…妻を送って来るので出ますね」
「どうぞ」
「ただいま」
「おかえりなさい尊」
あの後、ニーナを送って署に帰ると
伊丹刑事たちに会った。
声は掛けられなかったが
ジッとみられた…彼女の事を聞きたくて
仕方がない…と云うような目。
聞かれても言うつもりはないけど
彼女を見られたのは面白くない。
「……職場には来ないで欲しいって
言ったよね」
「…ごめんなさい…」
夕食の用意をしていた手がピタリと止まる。
「あ…怒ってるんじゃなくて…」
「ううん…ごめんなさい…そんなに来て欲しくないなんて…思ってなくて…」
「違うんだ…来て欲しくない…と云うか…見られたくないと云うか…」
「見られたく…ない?…私…そんなに恥ずかしい女なの?」
言い方が悪かったのかポロポロと涙を流して泣き出した。
「ニーナ違うんだ…この僕が結婚したいと思うほど君に惚れたんだ…杉下さんはともかく、他の連中は十中八九ニーナに好意を持つに決まってる。」
「へ?…」
言ってる事に理解出来ないと言わんばかりの顔。
だから…職場には来てほしくなかった。
自分を過小評価している彼女は全く分かっていない…どんなに男を虜にしているのか。
「…僕が軽いストーカーになるくらい君を好きになったんだ…もう少し周りに気をつけて欲しい」
「軽いストーカーって…朝の事…怒ってるの?」
「…いや…思い返せば…そうだったかもと……。」
「尊ったら…クスクス。困ってる市民を助けるのがお巡りさんの仕事でしょ?」
「そうだけど…」
「あの時…私を助けてくれて…凄く感謝してるんだから」
あの時…か
それはニーナとの出逢い
その日はたまたま車が故障して電車に乗っていた。
満員で降りる駅だというのに動けなかった。そんな時ふと隣を見ると泣きそうな彼女に目が止まった。
『痴漢』
そう思った…捕まえようと動いたら相手に気づかれドアが開いた瞬間人をかき分け逃げた。
「大丈夫ですか?…」
彼女に声をかけると
「はい…助かりました…」
その控えめな笑顔に一瞬で落ちた。
それから痴漢に頻繁に合うと言う彼女に
偶然を装ったりして電車にのってニーナとの距離を縮めた。
そして3ヶ月ほどたったある日
「いつもすみません神戸さん
いくら刑事さんだからって…頼りっぱなしで」
「あ~いや…別にそれはいいんだけどさ…もう満員電車…やめない?」
「は?…あ、でもこの電車に乗らないと…」
「車で…迎えに行くよ…」
「え…」
「君の家まで…」
こうして付き合うようになり
数年前に結婚した。
そして辞令をうけ特命係に配属になり
上司である杉下さんには結婚していると
一応の報告はしていた。
だが…元々男が多い職場
僕の大切な奥さんをあんなやつらの
目の保養などにされたくなく…
彼女には来るなと言っていた。
じゃないと何故だか杉下さんと華の里で
顔合わせした時彼女と杉下さんは意気投合して思いの外仲良くなったのだ
それで暇な部署だけに
『いつでも要らしてください美味しい紅茶をご馳走しますよ』なんて言うもんだから
紅茶好きのニーナは大喜び。
クッキーやマカロンと得意なお菓子を作り
来ようとした。
「ニーナ…今度杉下さんを家に呼ぶから…署には出来るだけ…来ないでくれる?」
「はぁ~い…あ、大河内さんもね」
「ん?…いいよ…分かった。」
あの二人なら別に変なヤキモチや心配
しなくてすむから…よしとするか。
*
☆END☆
*2017.8.19 *