君とダイヤモンド
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「…では、僕は出掛けて来ますのでお留守番お願いしますね」
「はい、行ってらっしゃい右京さん」
上司の杉下右京は定時の1時間前に
用があるとかで出掛けた…多分今日はそのまま家に帰るだろう。
特命係は基本暇な部署…窓際…と言うやつだ
この部署になぜ彼女が居るのか謎だが
けっこう長くここにいてるニーナちゃん
とびきりの美人とかではない
どちらかといえば可愛い天使のような子…
という感じだ
それに極めつけはあの笑顔
そして人に好かれるあの性格…。
ライバルは数知れない…把握してるだけでも元特命係の、神戸 、甲斐 、陣川、後はあの伊丹さんまで…あ、それとあいつもか…青木…芹沢さんは彼女持ちだし問題外
恋愛対象ではないだろうが…
大河内さんや甲斐さん…米澤さんとかにも
可愛いがられてる。
「のんびりは…してられないなぁ」
「え?…冠城さん何か言いました?」
誕生日も出遅れたし…そろそろ動きますか
「ニーナちゃん今日ヒマ?」
「え?…まぁ…予定はありませんよ」
「たまには二人で食事行かない?」
「………遠慮します」
少し間を置いての返事
「あ~…どうして?…予定はないって言わなかった?」
「予定はありませんけど…冠城さんとは…行きたくないです…ごめんなさい…。」
「そっ…か…わかった」
フラれる事は珍しくない…。
女性には声を頻繁にかけるタイプ
だからフラれる事も多い
でも…本気の相手にフラれるのは…さすがに堪える。
それから定時になるまで会話はなく
帰り支度して名札を裏返す彼女が一言
「お疲れ様でした」
といつもより少し控えめに言って特命を出たのであった。
「―――ニーナ」
警視庁を出たところでお目当ての女性に
声をかけた。
「神戸さん…どうしたんですか?」
相変わらず僕がわざわざここに来ることを
まったく分かっていないニーナ。
「……何か…あったの?」
「え…」
いつもは僕の大好きな笑顔を向けてくれるのに今日は笑顔どころかニコリともしない
明らかに何かあったのだとわかる
「…杉下さんにおこられた?」
下を向く彼女の顔を覗き込むと
思いの外悩んでるような顔
「…ニーナ?…本当に…何があったんだい?」
「…神戸さん…」
「ん?」
「…私…どうして可愛い女になれないんでしょ…」
「……へ?」
突然の彼女からの言葉に間抜けな声が出てしまった。
「可愛くないって…誰かに言われたの?もしそうなら…その人は見る目が絶望的にないと思うけど」
僕の言葉に反応するように
カツっと…彼女は一歩僕に近付く
そして見上げるようにして少し潤ませた大きな瞳ジッと見つめた
その彼女の行為で僕の心臓は今まで感じた事がないくらいにドクリと跳ねた。
「…ニーナ…」
本気で好きになった相手に
そんな風に見つめられたら…いつものようにニーナに合わせた口説き方が出来なくなる…。
「…神戸さん…私…」
潤んだ瞳からはとうとうポロリと涙が
一筋ホホを伝った。
「…ニーナ…何があったかは知らないけど君は可愛いよ…僕が本気で欲しいと思うくらい」
「神戸さん…でも私…素直に出来なくて
冷たい態度を取っちゃったんです…」
……ん?冷たい態度?
其なりに恋愛をしてきた僕にとってニーナが言いたい事や心がわかってしまった…。
「…今日…冠城くんに…誘われた?」
その言葉にコクリと頷く。
…成る程…それを冷たくあしらった…って
事か…
「ニーナ…「ちょっと…神戸さん!!何彼女なかせてるんですか!?」」
「か、冠城さん…」
「大丈夫?ニーナちゃん…」
彼女の肩に乗っていた僕の手を払うと
彼は自分の方に彼女を向けた。
「僕は別に泣かせてないけど」
「そ、そうです…神戸さんは泣かせてなんて…」
「じゃ…どうして…涙が…」
「好きな人からのお誘いを無下に断った事を後悔したみたいだよ」
「か、神戸さんっ!?///」
真っ赤になる彼女を見て
確信する…彼女はもう…僕のモノには
ならないって…。
「僕は帰るから…君…ニーナを送ってあげて」
少しずるく…巧みに事を運べばニーナを手に入れられたかもしれない…だけど…
あんな涙見せられたら…とうてい出来ない。
「あ、あの神戸さん…」
「じゃ…またね」
神戸は自分の車に乗り込み颯爽と
去っていったのであった。
――――今…俺は助手席にニーナちゃんを乗せて車にのっている
神戸さんの台詞を思い返すと…あれは
俺の…事だよな…。
「ニーナちゃん…あの…」
「やめてください」
「え?」
俺の言葉は受け入れない と言わんばかりに
言葉を重ねる彼女。
「…私は…恋愛の駆け引きとか…出来ないんです…遊びとかその場限りとか」
今までの俺の遍歴を見透かされた言い方。
「だから…私に…そんな女の人にしてきたようなことはしないで下さい…」
「ちょっと待って…俺は」
「好きになっても泣くだけの恋はしたくないんですっ…」
「ニーナっ…」
「え…ンっ…」
俺は彼女の言葉を止めるように
その口を塞いだ…
「…っ…は…ン…」
何度も角度を変え舌を絡め深く深く
その口を舌を犯した。
「…はぁ…っ…どうして…」
「ニーナが…好きだから」
「…冠城さん…っ…やめて…」
「止めない…好きなんだ…ニーナが」
彼女の目が信じられないと言っている
それは俺が今までしてきた事への代償なんだろう…。
遊んで捨てた事はない…だが
割り切った関係の女は今まで何人かいたのは確かだ。
特命に来てニーナに本気になる前は
彼女の前でも口説いた事も何度もあった
そんな俺の姿が…君を頑なにし悩ませた。
「…本気なんだ…」
真摯な言葉を重ねても俺への不信感は
取り除けない…でも…この心は偽りじゃない
「聞いてニーナ…君が俺を信じられないのは最もだ…自分でもそう思う。でも今の俺の心は君にしか向いていない」
「…冠城さん…」
「ニーナが受け入れてくれるなら
もう…他には何も要らないから…」
「…私は…つまらない女ですよ…冠城さんには釣り合わないですよ」
「そのままの君がいいんだ…それに釣り合わないのは俺だから…」
「冠城さん…」
「付き合って…くれる?」
「……」
うん、とは言ってくれず下を向いてしまう
このまま諦めるなんて…冗談じゃないっ
「じゃ…携帯ニーナが持っていて」
「へ?…あの…」
上着の内ポケットからスマホを彼女の手に握らせた
「その携帯は君が捨てるなり持っておくなり好きにして…新しいのは仕事関係とニーナの番号しか登録しないから」
「そ、そんな事までしなくても」
「信じてもらいたいし、本気なのをわかって欲しい」
「冠城さん…」
「…好きなんだ…」
「私…ヤキモチ焼きですよ」
「え…」
少し小さく耳にギリギリ届く声
「わ、私…独占欲強いですよ…だからヤキモチすぐ妬いちゃいます…」
「それはお互い様…俺も多分ニーナに負けないくらい独占欲強くてヤキモチ焼くと思う」
「すごく…ワガママですよ」
「好きな人からのワガママは男は嬉しいもんだよ」
「…お料理とか…あまり得意じゃないですし…すぐ泣いちゃうし、」
「ニーナが作ったモノなら喜んで食べるし、泣くときは俺の前だかならいくらでも」
「…それに…それにあの…」
「それだけ?」
可愛い彼女の必死さがより愛しさに感じて
たまらなくなる。
「俺の恋人になって…大切にする」
「……///」
真っ赤になって、コクリと頷く
「ニーナっ!」
俺は彼女の体を思いっきり抱き締めた
やっと捕まえた…俺だけのニーナ
*
☆END☆
*2017.8.3 *
→オマケ