それは春のように
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
外はもう真っ暗
俺は戦闘服に着替えると
窓から外に出る
そして目的地である烏森へ家の屋根を
飛んでいく
「あ、限だ」
烏森に行くと真っ先に俺を見付けるのは
雪村家の次女のニーナだ
俺と同じ歳で…こんな俺が惚れた女
それも…一目惚れだ…
「こんばんは、限」
木の上にいてる俺の所に
身軽なニーナは容易に登ってくる
「…………大丈夫なのか?」
「え?…」
「…クラスの女子に殴られてただろ」
それは今日の昼休み…
名前は覚えてないがクラスの女子たちが
たむろってた…
邪魔だな
そう思ってたら争う声…いや…
誰かを攻める攻撃的な声…そして
「生意気よ!!」
パンッ!!
「これに懲りて志々尾くんに慣れなれしくするんじゃないわよ…分かった?雪村さん」
「っ!?」
雪村…って…まさか
「…バカみたい」
「なんですって!?」
「僻む暇あるなら…限の機嫌でも取ってなさいよ…」
「なっ…」
「大勢でしか私に文句も言えないから…無理でしょうけど」
「このっ!!」
再びニーナめがけて手を振り上げた
「やめろ」
「っ!?」
俺はその手を止めた。
「し、志々尾…くん」
「限?…」
「ニーナを傷付けるな」
そこに居た女たちは一斉に逃げた
「お前…「キーンコーンカーンコーン」」
チャイムに遮られる言葉。
「行こ…遅れるよ」
「…ああ」
結局話せたのは今になった…というわけど
「大丈夫だよ…このくらい」
俺に心配されて少しハニカミながら
言う彼女に堪らなくなる
抱き締めたい衝動を押さえ奴等に殴られた後なんだろう…少し色が付いてる頬を指で触れた。
「限?」
「綺麗な顔なのに」
「っ!?///」
「オイ…イチャついてんじゃねぇよ」
「良守…」
「…焼きもちか?」
「ちげーよ!!」
「クスクス…良守が焼きもちなんて有り得ないよ…ね~だって良守はお姉「ニーナ!///」」
「……何よ…良守…」
「お前な…余計な事言ってんじゃねぇよ…」
頭領の弟とじゃれてたニーナの目が瞬間的に変わった…そして
「結!!…滅」
「な…」
「良守…ちゃんと気配は探りなさいよね…」
「うるせぇな…でも、サンキュー。」
「どういたしまして」
ニーナは気配を探るのに長けている
結界術もトップクラスだ
「3人供ちゃんと仕事して」
ニーナの姉ちゃんが言い出す
「そうだね…なんか沢山来るみたいだよ~」
ニーナが少し遠くをみならが
言うと良守と雪村はその方向を見た
「…ヤバそうな奴が居る…」
ニーナの言葉通り
その妖かしは俺達には少し荷が重かった。
「…っ…くっ…」
「大丈夫ニーナ?!…」
「このくらい…大丈夫だよお姉ちゃん」
妖かしに手間取った俺達は
持久戦に持ち込まれ一瞬の隙をつかれ
俺は妖かしに殺られそうになった
だかそれを…
ニーナが庇った…
白い袈裟に赤い血が滲んでいる
「今日は帰りな…」
「でも…」
「後は私と良守でやるから…限くん…悪いけど家まで送ってってくれる?」
雪村の意見にニーナは不満そうだったが怪我している自分がここに居てもやる事はないと分かってるだけに素直に従った
俺も責任を感じ何も言わず
ニーナを抱え雪村家に向かった。
「…痛むか?」
「ううん…大丈夫だよ」
「…なぜ…庇った…」
妖かし混じりの俺なんか…親兄弟からさえ
疎まれた存在なのに…
「…う~ん…なぜって…言われても…」
夜行の奴等にすら俺を避けてるのに…
お前は別に特別な事でもないと言わんばかりの顔して言うのか…。
「…強いて言うなら…好き…だからかな?」
「は?」
「…好きな人に傷…ついてほしくないって思うでしょ…///」
「…………じゃ…お前も傷つくな」
「…え…」
「好きなやつには…傷ついて欲しくない…俺だってそうだ」
「…うん…」
「…お前は不思議な奴だな…俺がこんな気持ちになるなんて…想像もしてなかった。」
「限は…強くてカッコいい…それに優しい」
「…そんな事お前だけだ言うの」
烏森へ来て
俺にも人並みの感情があると知った。
人を好きになったり
愛しいと思ったり
守りたいと思ったり
妖かし混じりで荒んだ俺の心を
春の優しい陽かりのような笑顔で
あたたかく穏やかにしてくれた。
誰にも渡したくない…そんな感情まで
出てきた俺。
そして
「お前…今から俺の女な」
「…えっ…///」
「他の男としゃべるなよ」
「限ったら…」
俺は知ってるんだ
今日もお前が告白された事をな
これからは俺が目を光らせて
他の男なんか近付かせないからな
人間だけじゃなく
例え妖かしでもな
お前のその笑顔を守るために
*
☆END☆
*2017.7.25 *