ひまわりを照らす太陽へ
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暫くの間二人でバッティングを楽しんでいると、お昼時になった。バッティンググローブを片付けていると、腕時計を見ていた隆也君が顔を上げてこちらを向く。
「腹減ったな」
「あ、あの、良かったら家で食べない?私がご飯作るからさ」
「それじゃあ家戻るか」
バッティングセンターを出て、肩を並べて歩き出す。一点の曇りもない空は、どこまでも青く気持ちがいい。小学生の頃によく通ったこの道は、昔から変わっていない。私と隆也君の関係も、変わっていない。今の関係がずっと続いたら良いなと思う一方で、この恋を実らせたいとも思う。
「なあ、名前の好きな奴ってどんな奴?」
突然の質問に、心臓が跳ねる。好きな人は目の前にいるけど、今ここで告白する勇気はない。
「え、っと。優しくて良い人だよ」
とりあえず当たり障りのない返事をすると、彼は苦虫を噛み潰したような表情をして、じとりと見て来た。これ以上の詮索から逃れるために、慌てて話題を変える。
「お昼ご飯、オムライスとチャーハンどっちが良いかな?」
「……オムライス」
そういう隆也君は、どこか不服そうにしていた。
***
「できたよ」
ダイニングテーブルに、オムライスとサラダとコンソメスープを並べていく。それまでテレビを見ていた隆也君は、ご飯を見ると目を輝かせた。
「うまそうっ!」
「お口に合うと嬉しいな」
全ての料理を並び終えて、向かい合って座り、いただきますの合掌をする。隆也君はスプーンを手に取ると、オムライスを一口頬張った。
「スゲーうまい!」
「えへへ。嬉しいな」
美味しいと言って食べる彼を見て、顏が綻ぶ。好きな人に自分の作ったご飯を食べて貰えるのって、こんなにも幸せなことなんだ。隆也君のためなら私、毎日お味噌汁作っちゃう。むしろ、作らせてください。なんて思いながら、オムライスを掬って食べる。
「うん。我ながら美味しい」
「こんな綺麗に作れるの、スゲーな」
「初めて作った時は、オムレツがスクランブルエッグになったよ。悔しくて必死に練習したの」
ご飯を食べながら、他愛ない話をする。学校のこと、部活のこと、友達のこと、家族のこと。話題は尽きない。
「ごちそうさまでした」
話しているうちに、隆也君はあっという間に間食した。
「うまかった」
「ありがとう。嬉しいよ」
しばらくして私も食べ終わり、ご馳走様の合掌をする。シンクで食器を水に漬けてから、ダイニングに戻ると、隆也君はソファに移動してテレビを眺めていた。その隣に腰を下ろしてテレビに視線を向けると、ひまわり畑が目に入ってくる。一面に咲くひまわりは、どれも太陽を向いていて綺麗だ。
「わぁ、凄く綺麗。行ってみたいなあ」
「お前、こういうの好きだな」
「うん。花言葉って知ってる?」
「あれだよな。花に意味を込める、みたいな」
「そう。ひまわりには、あなただけを見つめるっていう花言葉があるんだよ」
そういえば、私は昔から隆也君だけを見ているけど、彼には好きな人が居たりするんだろうか。
「ねえ、隆也君は好きな人とか居ないの?」
「居ねえな。恋とか分かんねえ」
私の質問に、彼は即答した。きっと彼は野球のことだけを考えているんだろう。そんなひたむきな所もたまらなく好きだ。
「そういう名前は、好きな奴に告白したりしねえの?」
「えっと、関係が壊れると怖いから、しないかな」
「告白してみれば意識して貰えるんじゃねえか?」
隆也君の言葉にぐっと唇を噛む。彼が私のことを、ただの幼馴染だと思っていることくらい、分かっていたはずなのに。それとも、本当に告白してしまえば、意識して貰えるんだろうか。
「そ、それならさ、私が隆也君に告白したら、意識してくれる?」
彼は一瞬目を見開いてから顔を逸らす。沈黙。テレビの音だけが聞こえてくる。その時間が妙に長く感じて、じわじわと不安に苛まれていく。
「わ、分かんねえ……」
困惑した様子で発せられた彼の言葉は、否定とも肯定ともとれないものだった。
「そっか。変なこと聞いちゃってごめんね」
私は隆也君のことが好きだ。きっとこれからもこの思いは変わらない。だから少しでも意識して貰えるように頑張ろうと心に誓った。
「腹減ったな」
「あ、あの、良かったら家で食べない?私がご飯作るからさ」
「それじゃあ家戻るか」
バッティングセンターを出て、肩を並べて歩き出す。一点の曇りもない空は、どこまでも青く気持ちがいい。小学生の頃によく通ったこの道は、昔から変わっていない。私と隆也君の関係も、変わっていない。今の関係がずっと続いたら良いなと思う一方で、この恋を実らせたいとも思う。
「なあ、名前の好きな奴ってどんな奴?」
突然の質問に、心臓が跳ねる。好きな人は目の前にいるけど、今ここで告白する勇気はない。
「え、っと。優しくて良い人だよ」
とりあえず当たり障りのない返事をすると、彼は苦虫を噛み潰したような表情をして、じとりと見て来た。これ以上の詮索から逃れるために、慌てて話題を変える。
「お昼ご飯、オムライスとチャーハンどっちが良いかな?」
「……オムライス」
そういう隆也君は、どこか不服そうにしていた。
***
「できたよ」
ダイニングテーブルに、オムライスとサラダとコンソメスープを並べていく。それまでテレビを見ていた隆也君は、ご飯を見ると目を輝かせた。
「うまそうっ!」
「お口に合うと嬉しいな」
全ての料理を並び終えて、向かい合って座り、いただきますの合掌をする。隆也君はスプーンを手に取ると、オムライスを一口頬張った。
「スゲーうまい!」
「えへへ。嬉しいな」
美味しいと言って食べる彼を見て、顏が綻ぶ。好きな人に自分の作ったご飯を食べて貰えるのって、こんなにも幸せなことなんだ。隆也君のためなら私、毎日お味噌汁作っちゃう。むしろ、作らせてください。なんて思いながら、オムライスを掬って食べる。
「うん。我ながら美味しい」
「こんな綺麗に作れるの、スゲーな」
「初めて作った時は、オムレツがスクランブルエッグになったよ。悔しくて必死に練習したの」
ご飯を食べながら、他愛ない話をする。学校のこと、部活のこと、友達のこと、家族のこと。話題は尽きない。
「ごちそうさまでした」
話しているうちに、隆也君はあっという間に間食した。
「うまかった」
「ありがとう。嬉しいよ」
しばらくして私も食べ終わり、ご馳走様の合掌をする。シンクで食器を水に漬けてから、ダイニングに戻ると、隆也君はソファに移動してテレビを眺めていた。その隣に腰を下ろしてテレビに視線を向けると、ひまわり畑が目に入ってくる。一面に咲くひまわりは、どれも太陽を向いていて綺麗だ。
「わぁ、凄く綺麗。行ってみたいなあ」
「お前、こういうの好きだな」
「うん。花言葉って知ってる?」
「あれだよな。花に意味を込める、みたいな」
「そう。ひまわりには、あなただけを見つめるっていう花言葉があるんだよ」
そういえば、私は昔から隆也君だけを見ているけど、彼には好きな人が居たりするんだろうか。
「ねえ、隆也君は好きな人とか居ないの?」
「居ねえな。恋とか分かんねえ」
私の質問に、彼は即答した。きっと彼は野球のことだけを考えているんだろう。そんなひたむきな所もたまらなく好きだ。
「そういう名前は、好きな奴に告白したりしねえの?」
「えっと、関係が壊れると怖いから、しないかな」
「告白してみれば意識して貰えるんじゃねえか?」
隆也君の言葉にぐっと唇を噛む。彼が私のことを、ただの幼馴染だと思っていることくらい、分かっていたはずなのに。それとも、本当に告白してしまえば、意識して貰えるんだろうか。
「そ、それならさ、私が隆也君に告白したら、意識してくれる?」
彼は一瞬目を見開いてから顔を逸らす。沈黙。テレビの音だけが聞こえてくる。その時間が妙に長く感じて、じわじわと不安に苛まれていく。
「わ、分かんねえ……」
困惑した様子で発せられた彼の言葉は、否定とも肯定ともとれないものだった。
「そっか。変なこと聞いちゃってごめんね」
私は隆也君のことが好きだ。きっとこれからもこの思いは変わらない。だから少しでも意識して貰えるように頑張ろうと心に誓った。