可愛い子には恋をさせよ
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オレたちは公園のベンチに座りながら、名前が作ったお弁当を二つ広げた。色とりどりのおかずが並んでいて、オレの好きなものばかり入っている。卵焼きを一切れ頬張ると、甘じょっぱい味が口の中に広がっていった。こいつの作るメシはいつも美味しくて毎日でも食べたいと思う。
「お弁当どうかな?」
「うまいよ。ほんと料理上手だな」
「えへへ。ありがとう」
そう言うと名前も自分のお弁当を食べ始めた。桜の花が風に揺れる様子を見ながら、二人で他愛のない会話をして笑い合う。ただそれだけのことなのに心地良い。
「唐揚げもスゲーうまい」
「よかった。タカちゃんが喜んでくれて嬉しい」
名前は心底嬉しそうに笑った。その顔を見ただけで胸の奥がじんわりと熱くなる。まだハッキリと自分の気持ちが分からないけれど、こいつの笑顔を見る度に、愛おしいという感情が強くなるのは確かだった。
「タカちゃんって春休みの課題終わった?」
「終わった。お前は?」
「一応終わったけど、数学で分からないところがあったんだよね」
「そんなら今度オレ教えるわ」
「本当?ありがとう」
オレが答えると、名前は目を輝かせてオレを見つめてきた。こういう風に尊敬の眼差しで見られると少しくすぐったい。しばらくしてオレがお弁当を食べ終わると、まだ食べ終わっていない名前が慌てて食べるスピードを速めた。
「ンな急がなくてもいいって」
「だって早くタカちゃんと話したいんだもん」
そう言って名前はお弁当を口へ運んでいく。オレは名前が食べ終わるまで、その横顔をじっと見つめていた。小さな口をもぐもぐと動かしては飲み込む。その繰り返しを暫く見ていると、名前の唇の端に米粒が付いていることに気が付いた。
「ご飯ついてんぞ」
「え、どこ?」
「ここ」
名前の口元に手を伸ばして、米粒を掬い取る。それを口に含むと、名前が耳まで顏を赤くして恥ずかしそうに俯いた。その様子にオレまで恥ずかしくなってきて、なんともいえない空気が流れる。
「……桜、綺麗だね」
「だな」
名前は誤魔化すように桜の花に目を向けて呟いた。オレもそれに倣って満開の桜を見る。しばらく静かに桜を見つめていると、ご飯を食べ終えた名前がオレの手をそっと握った。かと思えば、いきなりオレにしがみつくように抱きついてきた。
「タカちゃ、は、ハチ……!」
「は?」
名前の言葉に驚きながら、彼女の視線の方向へ目を向ける。そこには一匹のミツバチが飛んでいた。
「お前、ミツバチもダメなのかよ?」
「だって、怖いんだもん……」
「ミツバチは滅多に刺してこないだろ」
「本当……?」
今にも泣き出しそうな表情の名前を見るに、本当にミツバチが苦手なんだろう。虫が嫌いなのは知っているけど、こんなに小さなミツバチまで怖がるなんて。オレは名前の背中に手を回して、少しでも安心させようと背中を優しく撫でた。
「大丈夫だって。ほら、もうどっか行ったぞ」
名前は恐る恐る顔を上げて、ハチが消えたことを確認すると、安心したように息を吐いた。それから再びオレの胸に顔を埋めた名前は、大きく息を吸い込んでへにゃりと顔を緩める。
「タカちゃん、あったかくていい匂い」
「はあ!?」
甘えるように擦り寄ってくる名前に、オレの心臓がドキドキと高鳴っていく。名前から香る甘い果実のような香りは、シャンプーなのか香水なのかは分からない。とにかく良い香りで、堪らなくなったオレは名前を抱きしめる腕に力を込めた。
「お前無防備すぎ」
「え?」
言葉の意味を理解していないのか、名前は不思議そうに首を傾げている。こいつ、自分の可愛さを自覚してないのか。こんなんで大丈夫なのか心配だ。オレは大きなため息を吐いて、名前を引きはがすように遠ざける。
「お前な、少しは男に対して警戒心持てよ」
「……タカちゃんになら、何されてもいいよ?」
「は、おま、どういう……」
なんとか気持ちを落ち着かせようとするが、心臓はバクバクとうるさくなっていくばかりだ。そんなオレの様子を見て、名前は目を細めた。
「タカちゃんのえっち」
こいつ分かってからかってやがる。それに気づいたオレは、イラッとしながら名前の頬を摘んで力を込めた。
「もーっ、痛いよ」
「オレになら何されてもいいんだろ」
「そうだけど、痛いのは嫌だもん」
そう言って名前はオレの手を掴んで自分の頬から離すと、そのままオレの指に自分の指を絡めてきた。
「ねえ、タカちゃん。また来年も一緒にお花見しようね」
そう言って微笑む名前に、オレは静かに頷く。これからも一緒に過ごしていけたらいい。そう思いながら、手のひらから伝わる温もりを握り返した。
「お弁当どうかな?」
「うまいよ。ほんと料理上手だな」
「えへへ。ありがとう」
そう言うと名前も自分のお弁当を食べ始めた。桜の花が風に揺れる様子を見ながら、二人で他愛のない会話をして笑い合う。ただそれだけのことなのに心地良い。
「唐揚げもスゲーうまい」
「よかった。タカちゃんが喜んでくれて嬉しい」
名前は心底嬉しそうに笑った。その顔を見ただけで胸の奥がじんわりと熱くなる。まだハッキリと自分の気持ちが分からないけれど、こいつの笑顔を見る度に、愛おしいという感情が強くなるのは確かだった。
「タカちゃんって春休みの課題終わった?」
「終わった。お前は?」
「一応終わったけど、数学で分からないところがあったんだよね」
「そんなら今度オレ教えるわ」
「本当?ありがとう」
オレが答えると、名前は目を輝かせてオレを見つめてきた。こういう風に尊敬の眼差しで見られると少しくすぐったい。しばらくしてオレがお弁当を食べ終わると、まだ食べ終わっていない名前が慌てて食べるスピードを速めた。
「ンな急がなくてもいいって」
「だって早くタカちゃんと話したいんだもん」
そう言って名前はお弁当を口へ運んでいく。オレは名前が食べ終わるまで、その横顔をじっと見つめていた。小さな口をもぐもぐと動かしては飲み込む。その繰り返しを暫く見ていると、名前の唇の端に米粒が付いていることに気が付いた。
「ご飯ついてんぞ」
「え、どこ?」
「ここ」
名前の口元に手を伸ばして、米粒を掬い取る。それを口に含むと、名前が耳まで顏を赤くして恥ずかしそうに俯いた。その様子にオレまで恥ずかしくなってきて、なんともいえない空気が流れる。
「……桜、綺麗だね」
「だな」
名前は誤魔化すように桜の花に目を向けて呟いた。オレもそれに倣って満開の桜を見る。しばらく静かに桜を見つめていると、ご飯を食べ終えた名前がオレの手をそっと握った。かと思えば、いきなりオレにしがみつくように抱きついてきた。
「タカちゃ、は、ハチ……!」
「は?」
名前の言葉に驚きながら、彼女の視線の方向へ目を向ける。そこには一匹のミツバチが飛んでいた。
「お前、ミツバチもダメなのかよ?」
「だって、怖いんだもん……」
「ミツバチは滅多に刺してこないだろ」
「本当……?」
今にも泣き出しそうな表情の名前を見るに、本当にミツバチが苦手なんだろう。虫が嫌いなのは知っているけど、こんなに小さなミツバチまで怖がるなんて。オレは名前の背中に手を回して、少しでも安心させようと背中を優しく撫でた。
「大丈夫だって。ほら、もうどっか行ったぞ」
名前は恐る恐る顔を上げて、ハチが消えたことを確認すると、安心したように息を吐いた。それから再びオレの胸に顔を埋めた名前は、大きく息を吸い込んでへにゃりと顔を緩める。
「タカちゃん、あったかくていい匂い」
「はあ!?」
甘えるように擦り寄ってくる名前に、オレの心臓がドキドキと高鳴っていく。名前から香る甘い果実のような香りは、シャンプーなのか香水なのかは分からない。とにかく良い香りで、堪らなくなったオレは名前を抱きしめる腕に力を込めた。
「お前無防備すぎ」
「え?」
言葉の意味を理解していないのか、名前は不思議そうに首を傾げている。こいつ、自分の可愛さを自覚してないのか。こんなんで大丈夫なのか心配だ。オレは大きなため息を吐いて、名前を引きはがすように遠ざける。
「お前な、少しは男に対して警戒心持てよ」
「……タカちゃんになら、何されてもいいよ?」
「は、おま、どういう……」
なんとか気持ちを落ち着かせようとするが、心臓はバクバクとうるさくなっていくばかりだ。そんなオレの様子を見て、名前は目を細めた。
「タカちゃんのえっち」
こいつ分かってからかってやがる。それに気づいたオレは、イラッとしながら名前の頬を摘んで力を込めた。
「もーっ、痛いよ」
「オレになら何されてもいいんだろ」
「そうだけど、痛いのは嫌だもん」
そう言って名前はオレの手を掴んで自分の頬から離すと、そのままオレの指に自分の指を絡めてきた。
「ねえ、タカちゃん。また来年も一緒にお花見しようね」
そう言って微笑む名前に、オレは静かに頷く。これからも一緒に過ごしていけたらいい。そう思いながら、手のひらから伝わる温もりを握り返した。