Phosphorescence
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いつどこにでも彼女は現れた。
それはつまり、いつどこにでも彼女は現れない、ということと同義だ。
名字ナマエは自分──志摩廉造の幼馴染だ。よって、三輪子猫丸や勝呂竜士とも幼馴染であると言える。彼女と自分たちの距離感は男同士のそれに近い。自分は齢十つを超えたときにようやっと彼女を異性だと認識したが、お互い既に家族のような間柄であったから、扱いは以前と変わらなかった。
しかし中学生最後の冬、彼女が「来年の今頃は女子寮か……」などと隣で宣ったとき、まるでそのとき初めて知ったかのように、彼女が幼馴染であり異性であることを実感した。子猫丸や竜士が、同じように実感したかは分からない。というのも、その冬、自分は彼女と二人きりで下校していた。
なぜ、彼らと別々になって下校したのかは忘れたが、きっとひとりでさくさく帰ろうとした彼女を見るに見兼ねた竜士が「ちょお廉造、ナマエのこと虎屋まで頼むわ」とか何とか言って自分を付き添わせたのだろう。
ナマエは昔から、気を許すとどこかへ行ってしまったから。
0・彼女について
それはつまり、いつどこにでも彼女は現れない、ということと同義だ。
名字ナマエは自分──志摩廉造の幼馴染だ。よって、三輪子猫丸や勝呂竜士とも幼馴染であると言える。彼女と自分たちの距離感は男同士のそれに近い。自分は齢十つを超えたときにようやっと彼女を異性だと認識したが、お互い既に家族のような間柄であったから、扱いは以前と変わらなかった。
しかし中学生最後の冬、彼女が「来年の今頃は女子寮か……」などと隣で宣ったとき、まるでそのとき初めて知ったかのように、彼女が幼馴染であり異性であることを実感した。子猫丸や竜士が、同じように実感したかは分からない。というのも、その冬、自分は彼女と二人きりで下校していた。
なぜ、彼らと別々になって下校したのかは忘れたが、きっとひとりでさくさく帰ろうとした彼女を見るに見兼ねた竜士が「ちょお廉造、ナマエのこと虎屋まで頼むわ」とか何とか言って自分を付き添わせたのだろう。
ナマエは昔から、気を許すとどこかへ行ってしまったから。
0・彼女について
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