【一部】第七班の巻
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はじめは綺麗に整えられた家だと思った。しかし、よく観察してみれば家具は極必要最低限で、部屋を彩る植物や絵画もなく、その行き過ぎた簡素さからは年頃の女の子が住んでいるとは考えられない。極めつけ、部屋全てのゴミ箱に被せたビニールが括って閉じられている様子は、まるでいつでも出ていけるよう準備されている風でもある。
──綺麗、と言うよりは。
「殺風景と言った方が正しいかもしれませんね。この場合」
家には忍が二人いた。額あてで左目を隠した男と、火の国の長である火影・猿飛ヒルゼン。とある下忍たちの教鞭を持つことになった男は、彼らの人柄を知るべくそれぞれの家にお忍びで来ていた。ここはその下忍の少女の家。火影ともあるヒルゼンがお供に来るあたり、男の仕事は重要な案件らしい。
「そうじゃな」
絞り出すようなヒルゼンの返答に、男が振り向く。
「火影様は、赤ん坊の頃からあの子の面倒を見ていたとか。彼女はどんな子ですか?」
ヒルゼンは伏し目がちに何もない机の上を見ていた。男の問いかけは優しい声音に包まれていたが、ヒルゼンの心の影を癒すほど柔らかくはなかった。
「……優しくて、小難しい子じゃ。我が身を勘定に入れぬから、しばしば傷を作ってくる」
閉め切った窓の外はまだ明るく、空にわたがしを千切ったような雲が浮かんでいる。ヒルゼンは窓をちらりと見やったのを機に、顔を上げて厳かに言った。「しかし、あやつも下忍じゃ」
「頼んだぞカカシ」
「ええ」
男はにこやかに返答した。
第七班の巻・三話
──綺麗、と言うよりは。
「殺風景と言った方が正しいかもしれませんね。この場合」
家には忍が二人いた。額あてで左目を隠した男と、火の国の長である火影・猿飛ヒルゼン。とある下忍たちの教鞭を持つことになった男は、彼らの人柄を知るべくそれぞれの家にお忍びで来ていた。ここはその下忍の少女の家。火影ともあるヒルゼンがお供に来るあたり、男の仕事は重要な案件らしい。
「そうじゃな」
絞り出すようなヒルゼンの返答に、男が振り向く。
「火影様は、赤ん坊の頃からあの子の面倒を見ていたとか。彼女はどんな子ですか?」
ヒルゼンは伏し目がちに何もない机の上を見ていた。男の問いかけは優しい声音に包まれていたが、ヒルゼンの心の影を癒すほど柔らかくはなかった。
「……優しくて、小難しい子じゃ。我が身を勘定に入れぬから、しばしば傷を作ってくる」
閉め切った窓の外はまだ明るく、空にわたがしを千切ったような雲が浮かんでいる。ヒルゼンは窓をちらりと見やったのを機に、顔を上げて厳かに言った。「しかし、あやつも下忍じゃ」
「頼んだぞカカシ」
「ええ」
男はにこやかに返答した。
第七班の巻・三話