事案が発生
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「ん゛っ!」
むせた。噴き出しそうになった焼きそばを、ナマエは両手で口に押しこめる。
「ん、ん。脳筋のわりに頭が回らないんですね~! 数学の公式ばかりに目を取られて柔軟性が削ぎ落とされとんとちゃいますの~?」
「おちょくるな。で、何やねん」
二人しかいない教室にはやたら強力な冷房がかけられている。きっと向かいの彼女がつけたのだろう。半袖だった勝呂は少し寒くなってきたので、脇に丸めていた上着を着た。ナマエはと言うと、ブレザーのボタンを閉め切った完全防寒の態勢だ。果たして冷房をつけた意味とは。
「というか。心外です。私が勉学に勤しみたくないばかりに逃亡しているとお思いで」
「日頃の行いが悪すぎるからやろが。お前がまともに授業受けとんのなんか魔印と実技しか見たことないわ」
「たしかに」
「納得すんなや」
呆れはて頬杖をついた勝呂の焼きそばは、とっくのとうに終了していた。喋ってばかりいるナマエの焼きそばも同じく片付いている。食べる暇がいつあったのか疑問に思うが、どうせ些末な問題だ。自分が意識していなかっただけなのだと勝呂は思考を切り捨てた。
ふと時計に目を向けると、昼休みも終わりに近い。ナマエが空になった発泡トレーを教壇近くにあるゴミ箱に二人分投げ捨てた。
「ナイスショット」
割り箸が黒板の粉受けに引っかかっているので全くナイスではない。それに、ここに焼きそばの空を捨てれば二人が教室で昼食を摂ったことが早々明るみに出てしまうだろう。しかし予鈴までの時間もわずか、勝呂は仕方なく引っかかっている割り箸をゴミ箱に入れた。
「おや……」
勝呂の気遣いも知ったことかと、さっさと荷物を肩にかけていたナマエは不自然に数回まばたきをした。わざわざ相手をするのも面倒になってきていたので、持ってきていたノート一式を手に取り、勝呂も入口へ足を運ぶ。
ナマエは既に入口の前だ。くるり振り向いた彼女は、無表情でウィンクをしてみせた。
「何だか理事長の気配がするのでお先に失礼しますね。さらばじゃ勝呂クン」
人差し指と中指を束ね、またも頭の上でちらつかせた彼女に「勉強気張れよ」と声をかける。しかしナマエが扉を開けた瞬間、扉を開けたすぐ前に白とピンクの大男が「ずっと居ました」と言いたげな表情で仁王立ちしていた。さながら抜き打ち候補生昇格試験時の志摩廉造のような状況に、ナマエは抑揚なく呟いて。
「おおっと理事長ご無沙汰失礼さようなら」
スタートダッシュを決め込んだ。
むせた。噴き出しそうになった焼きそばを、ナマエは両手で口に押しこめる。
「ん、ん。脳筋のわりに頭が回らないんですね~! 数学の公式ばかりに目を取られて柔軟性が削ぎ落とされとんとちゃいますの~?」
「おちょくるな。で、何やねん」
二人しかいない教室にはやたら強力な冷房がかけられている。きっと向かいの彼女がつけたのだろう。半袖だった勝呂は少し寒くなってきたので、脇に丸めていた上着を着た。ナマエはと言うと、ブレザーのボタンを閉め切った完全防寒の態勢だ。果たして冷房をつけた意味とは。
「というか。心外です。私が勉学に勤しみたくないばかりに逃亡しているとお思いで」
「日頃の行いが悪すぎるからやろが。お前がまともに授業受けとんのなんか魔印と実技しか見たことないわ」
「たしかに」
「納得すんなや」
呆れはて頬杖をついた勝呂の焼きそばは、とっくのとうに終了していた。喋ってばかりいるナマエの焼きそばも同じく片付いている。食べる暇がいつあったのか疑問に思うが、どうせ些末な問題だ。自分が意識していなかっただけなのだと勝呂は思考を切り捨てた。
ふと時計に目を向けると、昼休みも終わりに近い。ナマエが空になった発泡トレーを教壇近くにあるゴミ箱に二人分投げ捨てた。
「ナイスショット」
割り箸が黒板の粉受けに引っかかっているので全くナイスではない。それに、ここに焼きそばの空を捨てれば二人が教室で昼食を摂ったことが早々明るみに出てしまうだろう。しかし予鈴までの時間もわずか、勝呂は仕方なく引っかかっている割り箸をゴミ箱に入れた。
「おや……」
勝呂の気遣いも知ったことかと、さっさと荷物を肩にかけていたナマエは不自然に数回まばたきをした。わざわざ相手をするのも面倒になってきていたので、持ってきていたノート一式を手に取り、勝呂も入口へ足を運ぶ。
ナマエは既に入口の前だ。くるり振り向いた彼女は、無表情でウィンクをしてみせた。
「何だか理事長の気配がするのでお先に失礼しますね。さらばじゃ勝呂クン」
人差し指と中指を束ね、またも頭の上でちらつかせた彼女に「勉強気張れよ」と声をかける。しかしナマエが扉を開けた瞬間、扉を開けたすぐ前に白とピンクの大男が「ずっと居ました」と言いたげな表情で仁王立ちしていた。さながら抜き打ち候補生昇格試験時の志摩廉造のような状況に、ナマエは抑揚なく呟いて。
「おおっと理事長ご無沙汰失礼さようなら」
スタートダッシュを決め込んだ。