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本源を離れると、銃声はポップコーンが跳ねる音に似てきた。胃の腑に重くのしかかるようだった発砲音が、今はもう耳を塞げば雲散霧消する。
ぽんぽん、ぱちぱち。
遠くなる調べは、まるで油が跳ねる音にも似て聞こえる。
地獄、ペンタグラムシティ某所。
アラスターは歩きながら笑みを深める。
破裂音と一緒に聞こえてくる叫声が、菓子を強請る子供の駄々に思えてきたからだ。確かに飽きるか草臥れるまで遊ぶ彼らは子供に近い。それも、おねだり聴いてくれないと……と笑顔で銃口を突きつけてくる子供。
好奇心で血痕を辿っているアラスターもその一人だった。ただし脅しは銃より口でする方が好みな上、おねだりは聴く側に回ることが多いが。脅され脅し計略して、機を見て全て掻っ攫っていくのが常套手段なあたり、彼らより悪質かもしれない。
現に言われたことがある。
『君が天に召されなくてよかった』と。
もし君が天使に転じていたら、被害はあれどころじゃ済まなかった。自分ルールを振りかざして、適当しなければ虐殺に走って、それこそよほど地獄だった。
有名な話だから、聞いたことくらいあるんじゃないか。
『神とその御使いが人を殺した数は、悪魔たちのそれを遥かに──』
つ、と目を伏せる。
コンクリートは大量の血が染み込んでいて黒かった。
平かな地面に鈍い赤みがあり、歩を進めるたび弱く粘着する。
乾きはじめている血痕は長く、遠方から響いてくる銃声叫声とは反対側に──何十メートルも先へ、道のように続いていた。生ける人間、地獄の罪人さえ、これほどの血を流して歩けば失血死は免れない。故にこそ悪魔の所業だと見当が付く。
アラスターはふふんと鼻を鳴らした。
靴にこびりつく血も構わず、足取り軽くレッドカーペットを歩いていく。
『不毛な裁きだったんだね』と。
あの日諫言に返した言葉に、相手は意外そうな顔つきだった。
『どうりで君も、悪魔に為 るわけだ』
ぽんぽん、ぱちぱち。
遠くなる調べは、まるで油が跳ねる音にも似て聞こえる。
地獄、ペンタグラムシティ某所。
アラスターは歩きながら笑みを深める。
破裂音と一緒に聞こえてくる叫声が、菓子を強請る子供の駄々に思えてきたからだ。確かに飽きるか草臥れるまで遊ぶ彼らは子供に近い。それも、おねだり聴いてくれないと……と笑顔で銃口を突きつけてくる子供。
好奇心で血痕を辿っているアラスターもその一人だった。ただし脅しは銃より口でする方が好みな上、おねだりは聴く側に回ることが多いが。脅され脅し計略して、機を見て全て掻っ攫っていくのが常套手段なあたり、彼らより悪質かもしれない。
現に言われたことがある。
『君が天に召されなくてよかった』と。
もし君が天使に転じていたら、被害はあれどころじゃ済まなかった。自分ルールを振りかざして、適当しなければ虐殺に走って、それこそよほど地獄だった。
有名な話だから、聞いたことくらいあるんじゃないか。
『神とその御使いが人を殺した数は、悪魔たちのそれを遥かに──』
つ、と目を伏せる。
コンクリートは大量の血が染み込んでいて黒かった。
平かな地面に鈍い赤みがあり、歩を進めるたび弱く粘着する。
乾きはじめている血痕は長く、遠方から響いてくる銃声叫声とは反対側に──何十メートルも先へ、道のように続いていた。生ける人間、地獄の罪人さえ、これほどの血を流して歩けば失血死は免れない。故にこそ悪魔の所業だと見当が付く。
アラスターはふふんと鼻を鳴らした。
靴にこびりつく血も構わず、足取り軽くレッドカーペットを歩いていく。
『不毛な裁きだったんだね』と。
あの日諫言に返した言葉に、相手は意外そうな顔つきだった。
『どうりで君も、悪魔に
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