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姫氏原雪白は地球を滅ぼす

「あれ…ここはどこだろうか?」

ふと目が覚めた雪白はそう呟きながら、あたりを見渡すと。

そこは遺跡のような神殿ではなく、自分の家の近くにある。小さな公園のベンチの上だったので…。

「えっ…どうして、こんな所に? テスカトルさんは…?」

と驚きの声をあげて、ベンチから立ち上がれば。

「おーい雪白!! 何処にいるんだ?」

「雪白!! 何処? 嗚呼…心配だ、心配で心配で仕方がないよ」

焦ったように叫ぶ、聴き慣れた声が耳に入ってきたので…。雪白はそれに返事をするように、大きく。

「三さんどうされたんですか? そんなに息を切らして、あと兄さんも」

「どうしたって、何だよ!? 馬鹿雪白!! 兄さんはな、お前が居なくなったから心配で、晩御飯も食べずに探してたんだぞ!!」

「えっ…あっ…ごめんなさい。その…ちょっと変質者の方に追いかけまわされてたら、こんな時間に…」

雪白は自分が山道を逃げていた原因を、言い訳をするかのようにそう答えれば。

「変質者に追いかけられた…だと、姫雪白になんて事をするんだ!! 犯人、見つけ次第成敗してくれる!!」

「あわわわ、三さん落ち着いて…。変質者さんたちは多分きっと、もう成敗されてると思うので…」

「そうなのか!? なら、良いや。でもほんと、姫雪白が無事でよかった」

茶色のぱっつんヘアーの三は、無事に帰ってきた雪白を祝うように言いながら。友達がするような抱擁を雪白にしようとして、手を差し出すので…。

雪白は隣にいる兄の紫士の顔色を、伺いつつ。

「あはは、ありがとうございます。でも遠慮します…。だって紫士兄さんに悪いから…。ねぇそうだよね兄さん」

「そう言うな、雪白。私のことなど気にするな。あと無事で、よかったよ…本当に良かった」

「はい、兄さん…。御心配をおかけしました」

ペコリと綺麗なおじきをして、雪白は感謝の思いを二人に告げれば。

「そうだよ…姫雪白、まあでもさ…ほんと無事で良かったぜ」

「はい、本当に。何事もなくてよかったです」

雪白は夜から朝に移り行く空を唯々眺めて、ここには居ない。
自分の命の恩人に向けて、こう言いながら。


最後に、

「また逢いましょう、一晩限りの愛しい人よ…」
 

そうテスカトルが、別れ際に告げた言葉を。同じような声音で優しく呟いた。


               
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