◆Shall we dance?
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(ヴィルヘルム編)
絢爛たる衣装で着飾った人々で賑わう『スタジアム』ステージ上。
宰相兼機械技師であるマスター自ら手掛けたプログラムによって、辺りはシャンデリアの光が瞬く夜会会場に様変わり。
招待された城の役員達は皆嬉しそうに歓談する中、ドレス姿のエレナは喧騒から逃れるように『スタジアム』外へ。そこはプログラムの投影範囲外であり、見慣れた無機質な廻廊へと出る。
決して楽しくないわけでもない。踊る人がいなかったわけでもない。
ただ少しだけ、残念だと思ってしまった。
夢のようなドレス姿で、自分もあの人と踊ってみたかったから。
「!」
飛び込んで来た光景に目を丸くする。
自分と同じく着飾った人物もこちらに気づき、「エレナ」と名を呼んだ。
「どうしたのこんなところで」
この場では少しばかり浮いてしまう互いの衣服が、夜風に靡く。
自身を呼んだ人物──ヴィルヘルムの言葉にエレナは暫し言葉を詰まらせたのち、「少し場の雰囲気に当てられてしまって……」と苦笑と共に返した。それに彼も、「僕も似たようなものだよ」と眉を曲げる。
「来賓の挨拶がようやく一区切りついたから、少し休んでる」
尋ねるより前にそう告げられたエレナは、お邪魔してしまったかと思うも。引き止められる。
「でも見慣れた人の顔を見ると安心するね」
エレナは頬を緩ませ、そっと隣に並ぶ。
そこから一望出来るのは『スタジアム』のステージ。ドーム状の壁に囲まれたその中では、今もまだ舞踏会の真っ只中。
いつからここで見下ろしていたのだろうか。その双眸には、何が映っていたのだろうか。
「……エレナ」
こちらを見つめる眼差しが、真剣なものへと変貌する。
目を逸らすことも出来ない、許されない中。彼はまるで誓いの如く口にした。
「僕はもうすぐ、この国の■■になる。ファイター達や、王国で暮らす人々、そして……ここに残ると決めた君を。……僕が忌み嫌っていたあの予言通りに、導く光になりたい。きっと、ファイター達の故郷や、レイとラフェルトの故郷、君が居た故郷の世界よりも素敵だって言わせてみせるから。どうか、力を貸してほしい。これからも」
初めて耳にする情報に目が驚愕で見開かれる。
この人は、ただでさえ重い立場にいるというのに、さらなる責任を担おうとしているのか。
どうしてかは尋ねなかった。あらゆる葛藤の末に見出した答えならば自分は……。
そうして再び『スタジアム』を見つめる横顔に、彼女は瞑目しては開く。
「はい。ヴィル様」
ヴィルヘルムは──まるで年相応の少年のように──「ありがとう」とふ、と笑う。
「そういえば……まだだったね」
「何がですか?」
「よく似合ってるよ、そのドレス」
絢爛たる衣装で着飾った人々で賑わう『スタジアム』ステージ上。
宰相兼機械技師であるマスター自ら手掛けたプログラムによって、辺りはシャンデリアの光が瞬く夜会会場に様変わり。
招待された城の役員達は皆嬉しそうに歓談する中、ドレス姿のエレナは喧騒から逃れるように『スタジアム』外へ。そこはプログラムの投影範囲外であり、見慣れた無機質な廻廊へと出る。
決して楽しくないわけでもない。踊る人がいなかったわけでもない。
ただ少しだけ、残念だと思ってしまった。
夢のようなドレス姿で、自分もあの人と踊ってみたかったから。
「!」
飛び込んで来た光景に目を丸くする。
自分と同じく着飾った人物もこちらに気づき、「エレナ」と名を呼んだ。
「どうしたのこんなところで」
この場では少しばかり浮いてしまう互いの衣服が、夜風に靡く。
自身を呼んだ人物──ヴィルヘルムの言葉にエレナは暫し言葉を詰まらせたのち、「少し場の雰囲気に当てられてしまって……」と苦笑と共に返した。それに彼も、「僕も似たようなものだよ」と眉を曲げる。
「来賓の挨拶がようやく一区切りついたから、少し休んでる」
尋ねるより前にそう告げられたエレナは、お邪魔してしまったかと思うも。引き止められる。
「でも見慣れた人の顔を見ると安心するね」
エレナは頬を緩ませ、そっと隣に並ぶ。
そこから一望出来るのは『スタジアム』のステージ。ドーム状の壁に囲まれたその中では、今もまだ舞踏会の真っ只中。
いつからここで見下ろしていたのだろうか。その双眸には、何が映っていたのだろうか。
「……エレナ」
こちらを見つめる眼差しが、真剣なものへと変貌する。
目を逸らすことも出来ない、許されない中。彼はまるで誓いの如く口にした。
「僕はもうすぐ、この国の■■になる。ファイター達や、王国で暮らす人々、そして……ここに残ると決めた君を。……僕が忌み嫌っていたあの予言通りに、導く光になりたい。きっと、ファイター達の故郷や、レイとラフェルトの故郷、君が居た故郷の世界よりも素敵だって言わせてみせるから。どうか、力を貸してほしい。これからも」
初めて耳にする情報に目が驚愕で見開かれる。
この人は、ただでさえ重い立場にいるというのに、さらなる責任を担おうとしているのか。
どうしてかは尋ねなかった。あらゆる葛藤の末に見出した答えならば自分は……。
そうして再び『スタジアム』を見つめる横顔に、彼女は瞑目しては開く。
「はい。ヴィル様」
ヴィルヘルムは──まるで年相応の少年のように──「ありがとう」とふ、と笑う。
「そういえば……まだだったね」
「何がですか?」
「よく似合ってるよ、そのドレス」