◆4:事件発生
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「ったく、人使いが荒くて嫌になるぜ」
腕っぷしがいい屈強な男はそう舌を弾き、煙草に火をつけた。
王国の辺境地の地下に『元々あったものを再利用した』監獄。警備を任された一人である男は億劫げに煙草を嗜む。
「……」
(いるな。脱獄者が)
だがしかし。男は傭兵を生業とするプロだった。一見隙だらけの行動でも、身体中の神経という神経を研ぎ澄まし、自身の背後の壁に隠れる『二つ』の気配に警戒していた。
(一人は手慣れてない。注意すべきはもう一人……完全にまでとはいかないが、俺をやる気がビンビンに伝わってくる。大方、この先にある出口に行こうって魂胆だろうが……)
男の獲物は腰に帯剣している一振りのタガー。が、タガーを抜くより先に拳で殴ったほうが速い。その筋肉は見かけ倒しなんてことはないのだ。
「……いつまで隠れている。早く出てこい」
痺れを切らした男が剣呑な雰囲気を纏い鋭い目線で壁越しに脱獄者を刺す。生唾を飲み込んだ音がした直後、男から見て左側の壁を照らしていた松明が地に落ちる。
それを開戦の合図に壁から飛び出した小柄な影。男は持ち前の反射神経を駆使して自身を狙う影の頭を掴んだ。
(やっ──)
歓喜したも束の間。急速な眠気に襲われ、男はなす術もなく地に伏せた。
「っふー……危なかった〜」
「レイさん大丈夫ですか⁉︎」
男の手から逃れた小柄な影──もといレイは、手にしていたスプレー缶を手に安堵。駆け寄ったエレナが彼の身を案じるも、「大丈夫大丈夫」と笑い返される。
「これで暫くは起きないよ。おっ、
先を急ごう、と手招きするレイに力強く頷き返し後に続く。
──他方。ルフレ、メタナイト、ヴィルヘルムの三人は、奇しくもエレナが連れ去られた地下監獄がある洞穴のすぐ側まで進軍していた。
「本当にここにいるのかい?」
「断定はできませんが、恐らく」
エレナを攫ったとされるリオンの手捌きは舌を巻くほどであり、短時間ながらも痕跡はほぼゼロ。裏を返せば『短時間だったからこそ』消されなかった数少ない痕跡を辿り、この場所の特定に至ったのだ。
「周囲に出入口はない」
「なら正面突破か……」
メタナイトの言葉にルフレは苦々しく呟く。
敵の数と質が未知数な以上、少数であるこちらとしては正面突破は苦渋の決断。それに加え、戦場が自然に生まれた洞穴ということもあり、生き埋めを避けるべく大々的な攻撃──主にルフレやヴィルヘルムの魔法は使用厳禁だ。
援軍を呼ぶという案も脳裏によぎるも、大人数で動けばそれこそ中にいるエレナが被害を受ける可能性も膨れ上がる。それはまた、時間が経つことも同様に危険だ。三人は顔を見合わせ、静かに突入する。