◆4:事件発生
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夢を見ていた。そう自覚できるほどに、不思議と意識は達観としていた。
真っ白なシーツが引かれたベッドに、風に合わせて揺れるカーテン。
開け放たれた窓の外には、満開に咲き誇る桜の木が花びらを散らしている。
元の世界の景色。私が居た場所。
慣れているはずなのに寂しく感じるのは……なぜ?
「……ん、」
「あ、起きた」
目をぎゅっと瞑りゆっくりと瞼を開く。
聞き慣れない声の持ち主に助け起こされたエレナは、ぼうっとする意識の中、脳をフル回転させる。
「……」
「おーい、大丈夫?」
「……、⁉︎」
ようやく覚醒した途端、異様な周囲の光景に瞠目し焦燥に煽られる。
「ここは……牢屋⁉︎」
エレナと謎の少年は小さな『牢屋』の中に閉じ込められていた。常人ではびくともしない鉄格子、四方を囲う鉄壁のコンクリート。
「な、なんで私こんなところに……」
「まずはちょっと落ち着いて。僕と話をしよう」
心臓が波打つのを悟ってか、少年は灰色の瞳で優しく諭す。
背中をゆっくり摩られたエレナは、未だ困惑しながらも少年と目を合わせるほどには落ち着いた。
「あ、あなたは……?」
「よくぞ聞いてくれました!」
待ってましたと言わんばかりに少年は立ち上がり、口上を高らかに述べる。
「東に謎あらば天馬の如く駆け抜け、西に事件あらばくるりくるりとお呼びでなかろうと参上する──副業探偵本業記者! 『オータヌム探偵事務所』所長『レイ』とは僕のこと!」
寒風が吹き抜けた。
ぽかーんと口を開けるエレナに、「あ、これ名刺です」と営業する少年に空いた口が塞がらない。
再び地面に腰を下ろしたレイに、エレナはやっと膠着状態を解き放ち、はじめましてと頭を下げる──も。
「レイさん⁉︎」
「え、あ、はい。レイさんです」
今度はレイが当惑する中、ずずいっと距離を詰める。
「探しておりました! ご相談したいことがあって……」
「ええっと、相談自体はいいんだけど。まずはこの状況をどうにかしないとじゃない?」
「そ、そうでした! 私どうしてこんな場所に……」
本来目を向けるべきの問題に頭を悩ませるエレナを、レイはじっと凝視。
「『アルス王城』の制服に、『乱闘部署』のケープ……もしかして君って、最近入ったエレナちゃん?」
名を当てられたエレナは目を見開き、そんな彼女にレイは笑みで返す。
「実は僕、採用試験の合否を決める場にちょっとだけお邪魔したんだよね。その時にちょうど君について話していたんだよ」
「そうだったのですね。レイさんもお城の関係者なのですか?」
問いにレイは首を横に振る。
「僕はただヴィルの友達ってだけだよ」
「ヴィルさん……?」
「ヴィルヘルム。君の上司のあだ名ね」
さて、と軽く手を叩いたレイは目の色をすっと変える。
「そろそろ本題に移ろうか。エレナちゃん、君がここに運ばれてくる間の話を聞かせてくれるかな」
纏う雰囲気が一変したレイに戸惑いつつ。エレナはヴィルヘルムとの会話から今に至るまでの全てを話した。