◆4:事件発生
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「昨日は散々な目に遭わせてごめん。警備も強化して調査中だけど、一応警戒しといて」
「はい……」
ゾンビ襲来事件から翌日の朝。
『乱闘部署』室にてヴィルヘルムはエレナに真剣な面持ちで警告する。一晩ぶっ通しで調査に励んでいたのか、ヴィルヘルムのデスク周りには大量の資料が散乱していた。
「ところで、エレナ。ひとつ聞いていいかな」
目つきを変えたヴィルヘルムに思わずびくりと肩を震わせる。
上擦った声で「な、なんでしょうか?」と返せば、デスクに肘を立てるヴィルヘルムは目をすぼめて。
「クレイジーが君に言った『気をつけないと自分の体奪われる』という発言に心当たりは?」
てっきり異世界からトリップしたことがバレたのかとヒヤヒヤしたが、聞かれた質問は心当たりがない内容。
「心当たりはありません」
と、素直に答えれば。暫く凝視していたヴィルヘルムは「そう」とだけ返して警戒心を緩める。
「僕もなるべく君のそばにいるようにするけど、ルフレ様とメタナイト様にお願いするのが一番かなぁ」
「すみません、ご迷惑をおかけして……」
「君のせいじゃないよ。ああでも、こんな時に『レイ』と連絡が取れないなんてツイてないな……」
「『レイ』さん⁉︎」
ダンッ! と机を叩き割る勢いでデスクを叩き顔を突き出したエレナに目をひん剥かせる。
振動で何枚かの紙が床にヒラヒラと落ちる中、硬直していたヴィルヘルムはようやく首を立てに振る。
「そう……だけど、知り合いなの?」
ハッと平静を取り戻したエレナはデスクからばっと飛び退き、首を横に。
「いっいえ! お名前を知っているだけです」
「そ、そう……今度会ったら紹介するよ。今は連絡取れなくてさ」
床に散らばった資料を片付けるヴィルヘルムの言葉に首をかしげる。
「それは……大丈夫なのですか?」
「ああ、連絡が取れないのはたまにあるんだ。事件に熱中してたりね」
苦笑を浮かべつつもその表情に信頼を滲ませていることを、エレナは理解していた。
「こういった事件はやっぱりレイのほうが慣れてるから。早く連絡が取れれば良いんだけど」
「そうなんですか……」
ちょっぴり残念だと思うエレナに、ヴィルヘルムは頬をかく。
「もうすぐ朝食の時間だけど、先に向かっててくれないかな。僕はもう少しだけ調べたくてね」
「分かりました」
『乱闘部署』室を後にしたエレナは、そっと胸を撫で下ろす。
ゾンビ襲来事件も気になるところだが、ヴィルヘルムとマスターにいつ自分の正体が知られたものか分かりやしない。心臓が激しく波打つのも仕方ないことだ。
食堂に向かうエレナだったが、途中、誰かに肩を叩かれ「ひゃっ⁉︎」と声を上げた。
「だっ誰……あっ!」
「よう! 面接以来だな!」
快活とした笑みを浮かべた男に、エレナもまた破顔する。
「『リオン』さん! 貴方も合格していたのですねっ」
リオン──エレナがトリップした初日。右も左もわからず面接会場に迷い込んだ彼女を助けてくれた青年だ。肩当てに帯剣をしていることから、希望していると言っていた『城兵部署』に合格したことが伺える。
「おう。おかげさまでな」
「あの時はありがとうございました」
「いや俺も緊張がほぐれたから良かったよ。お互い様だ」
くすくすと笑みをこぼすエレナに──リオンは周囲を見渡すと、「ちょっといいか」と声を顰める。
「はい、なんでしょう?」
「実は相談したいことがあって……人気がないところで少し話さないか?」
神妙な面持ちの彼に大事な相談なのだろうと思ったエレナは、「もちろんです」と了承。
「さんきゅー。じゃ、こっちに来てくれ」
「はいっ」
エレナはリオンに連れられ、食堂とは全く別の方面へと歩き始めた。