◆Shall we dance?
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「……なるほど」
時は進み翌日。
単独で宰相マスターの執務室を訪れたエレナは、昨晩のうちに作成したパーティー計画の立案書を提出した。
一読したマスターは計画書から顔を上げ、
「いかがでしょうか……?」
「私は賛成だな。なかなか愉快な企画じゃないか」
ヴィルヘルムの手助けなしで計画書を作成するのが初めてかつ主催側なゆえに、緊張が折に折り重なっていたエレナはマスターの笑みに息を吐いた。
「ファイターらとともに計画を練り、逆提案をしてくるとは……成長したな。エレナ」
「ありがとうございます」
「『スタジアム』の使用許可を出そう。ついでに、私も一肌脱ぐとしようか」
小首を傾げるエレナに「当日のお楽しみだ」と一笑する。
「では一通り計画が進み次第、順次報告をあげてくれ」
「分かりました」
「ああ、それと。……ヴィルには秘密という認識でいいのだな?」
ピーチの言葉をそのまま伝えただけのエレナは、少々遠慮がちに頷き返す。
「承知した。私からもヴィルの耳に入らぬように配慮しよう。エレナも気をつけてくれたまえ」
「はい……」
生返事で返したエレナの頭には終始疑問符が浮かんでいた。
知ってか知らずか、マスターはにこりと笑みを讃えるとやんわり言いくるめて、エレナを執務室から退室させた。
(……なんだったんだろう)
暫しじっと見ていたエレナの耳朶に、「お〜い!」と透き通った明るい声が届く。
「居た居た、探したよ!」
オレンジ色の髪を咲かせた少女、アリアドネだ。
「こんにち――」
「挨拶はあとあとっ! さ、こっち来て」
会釈しようとしたエレナの手首を掴むが早いか、アリアドネは強引に体を引き寄せる。
そのまま城内を走り出したアリアドネに釣られ、エレナは目を見開いたまま追従することに。
「あ、アリアドネさん⁉︎ どちらに……⁉︎」
「いいからいいから。――っと、ここにしよう」
急停止したアリアドネは素早くドアノブを開き、中へとエレナを押し込む。
誰も周囲にいないことを確認したアリアドネは扉を閉め、「ふっふっふっ……」と怪しげに。
連れて来られた場所が仄暗い倉庫だったというのもあり、放たれる不気味さを前にエレナは生唾を飲み込む。
「アリアドネさん一体何を……」
「何をってそれはもちろん――『採寸』だよ」
メジャー手に片目を瞑るアリアドネに、拍子抜けする。
同時に疑問も生じた。
「採寸? どうしてですか?」
「パーティー用のドレスを作るために決まってるじゃないか! ほら、さっさと肌着一枚になって」
「ええっ⁉︎ こ、ここではちょっと……」
「大丈夫だって。ほらほら早く早く。あたしが脱がせるよ」
「自分で脱ぎますっ!」
手を鳴らして煽られつつも、エレナは急ぎケープから脱ぎ始めた。