◆Shall we dance?
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Shall we dance?
蒼く澄み渡る空模様が気持ちいい平日のお昼過ぎ。
上司のヴィルヘルムが外部関係者との商談に城を留守にするとのことで、部下のエレナは仕事を特に頼まれることなく――ファイター関連の問題に即対応出来るよう配慮された結果だが――何か出来ることはないかと光明指す回廊を歩いていたとき。
「エレナちゃ〜ん!」
ハッキリと呼び声を耳にしたエレナがそちらを見遣ると、庭園のガゼボからこちらに手を振る女性の姿が。何やら複数人で集まっているらしい。
花びらの通りを駆け足で抜ければ、エレナを呼んだピーチ姫が「いらっしゃい」と出迎えた。
「ちょうどいいところに来てくれたわね」
「ちょうどいいところに……?」
参加メンバーを見渡したエレナはとある共通点に気づく。
それは皆、王族クラスの身分を持つ者なのだと。
お茶会、にしてはお茶も菓子もない。
「実はとある企画を計画しているの。エレナちゃんにも聞いてほしいわ」
「もちろんです。それで企画とは……?」
「説明するま、え、に。紹介したい子がいるの」
石造の椅子から立ち上がったのは、ひまわりを彷彿とさせる活発な印象の女性。アメンシトリーの服が特徴的なその人と、エレナは初対面だった。
「はじめまして! あたしは『アリアドネ』。よろしくね!」
「『乱闘部署』所属第二マネージャーのエレナです。よろしくお願いいたします」
そう会釈するとアリアドネと名乗った女性は「知ってる知ってる!」と快活に笑う。
「ヴィルくんが初めて雇ったっていう部下でしょ? 本人からもちょこっと聞いてるよ!」
ヴィルヘルム の名前が出て来るとは思っていなかったエレナは目を見開く。
「アリアドネさんは『アルス城』に関わる制服の製作に関わっている仕立て人さんなのです」
参加メンバーのひとり、カムイの紹介にならと自身の体を見下ろす。
「ではこの制服もアリアドネさんが?」
「うちの作品だね。機能性、手触り、ほつれにくくて汚れにくい素材と、何より見た目にはこだわってるよ〜。色がたくさんあるのは、あたしが勝手に追加したからなんだよね!」
「ええっ凄いです!」
でしょでしょ〜と胸を張るアリアドネを横目に。クロムは半眼。
「……そのせいで予算をかなりオーバーしたと聞いたが?」
「細かいことはいいの! 結果的にヴィルくん全額負担してくれたしね。あたしの紹介はここまで。本題をどうぞ!」
バトンを受け取ったピーチは軽く頷き、食指を天に向ける。
「ずはり! パーティーを開催したいと思っているの!」
「パーティー……ですか?」
「それも『スタジアム』を貸し切っての大きなパーティーよ」
「『スタジアム』を? わ、楽しそうですっ」
エレナの反応にマルスは笑みを湛え、計画に至った経緯を話し始めた。
「ぼく達は普段、城のみんなにとてもお世話になっているからね。何か恩返しができないかと常々考えていたんだ」
「それで私達を中心としたメンバーが集まり、城の皆さん全員をパーティーにご招待して楽しんでもらおうと考えていたところなのです」
マルスに続きルキナが答え、他のメンバーらも頷く。
「とっても素敵な考えだと思います! 私で良ければお手伝いさせてください」
「ありがとうございます、エレナ」
胸に手を添えながらゼルダが謝辞を述べ、空席に手のひらを差し向ける。
「どうぞこちらへ」
「失礼します」
席につくと、隣に座る小さな生物に意識が向いた。青いバンダナが特徴的なデデデの側近ワドルディだ。
確かにデデデは身分(?)的にここにいてもおかしくはないが、当の本人はどうしたのだろう。
「今回デデデさんの代わりに、バンダナワドルディさんに参加していただいているんです」
「大王様は秘密にするのがあまりお得意な方ではないので……」
口止めしても言いふらしてしまう様子が目に浮かぶ。
なるほど、とエレナが頷いたところで、会議は再開された。
「ここまで話した内容をもう一度整理しましょう」
立案者のピーチが今一度、各々の役割を復唱する。
当日は各国の使用人達を『スタジアム』に派遣し、パーティーのお手伝いをしてもらうそうだ。
「まず、デイジーとワド君は当日の立食メニュー担当。キノピオ達とワドルディ隊と一緒にレシピを考える」
「みんなが感動するようなとびきりの料理考えようね!」
「美味しく再現できるよう頑張ります!」
デイジーとバンダナワドルディが元気よく返事し、互いにハイタッチ。
「ゼルダとクロム、ルキナの三人は当日の警備体制について考えてちょうだい」
「お父様、ゼルダさん。頑張りましょうね」
「ああ」
「はい。よろしくお願いしますね」
ルキナ、クロム、ゼルダはお互いに視線を交わし合う。
「マルスとロイは当日のホール分担をお願い」
「うん、わかったよ」
「お任せください」
長年の付き合いであるマルスとロイは互いに信頼を滲ませる。
「それで……カムイはわたしと、アリアドネの補佐につくわ。採寸や材料集めのお手伝いね」
「お〜それは有難い」
「みんなで協力して最高のパーティーにしましょうね」
アリアドネは深々と頷き、カムイが手のひらを合わせる。
……さて。これで名前を呼ばれていないのはエレナだけとなった。
何を任せられるのかとわくわくしていると。
「エレナちゃんは経理と会場の確保をお願いね」
「……え、」
経理はともかく。会場――つまり『スタジアム』使用許可は取っていないらしい。
「ま、まだマスター様にご相談は……」
「してないわね」
「一番大事なことでは……」
「すまん、エレナ。……頼んだ」
申し訳なさげなクロムの表情に苦笑する。
「分かりました。マスター様にご相談します」
「あ、ヴィルには話さないでちょうだいね! 内緒よ内緒!」
「? はい」
経過報告を逐一ピーチに報告するというのを共有し、暫くして一同はその場を解散した。
蒼く澄み渡る空模様が気持ちいい平日のお昼過ぎ。
上司のヴィルヘルムが外部関係者との商談に城を留守にするとのことで、部下のエレナは仕事を特に頼まれることなく――ファイター関連の問題に即対応出来るよう配慮された結果だが――何か出来ることはないかと光明指す回廊を歩いていたとき。
「エレナちゃ〜ん!」
ハッキリと呼び声を耳にしたエレナがそちらを見遣ると、庭園のガゼボからこちらに手を振る女性の姿が。何やら複数人で集まっているらしい。
花びらの通りを駆け足で抜ければ、エレナを呼んだピーチ姫が「いらっしゃい」と出迎えた。
「ちょうどいいところに来てくれたわね」
「ちょうどいいところに……?」
参加メンバーを見渡したエレナはとある共通点に気づく。
それは皆、王族クラスの身分を持つ者なのだと。
お茶会、にしてはお茶も菓子もない。
「実はとある企画を計画しているの。エレナちゃんにも聞いてほしいわ」
「もちろんです。それで企画とは……?」
「説明するま、え、に。紹介したい子がいるの」
石造の椅子から立ち上がったのは、ひまわりを彷彿とさせる活発な印象の女性。アメンシトリーの服が特徴的なその人と、エレナは初対面だった。
「はじめまして! あたしは『アリアドネ』。よろしくね!」
「『乱闘部署』所属第二マネージャーのエレナです。よろしくお願いいたします」
そう会釈するとアリアドネと名乗った女性は「知ってる知ってる!」と快活に笑う。
「ヴィルくんが初めて雇ったっていう部下でしょ? 本人からもちょこっと聞いてるよ!」
「アリアドネさんは『アルス城』に関わる制服の製作に関わっている仕立て人さんなのです」
参加メンバーのひとり、カムイの紹介にならと自身の体を見下ろす。
「ではこの制服もアリアドネさんが?」
「うちの作品だね。機能性、手触り、ほつれにくくて汚れにくい素材と、何より見た目にはこだわってるよ〜。色がたくさんあるのは、あたしが勝手に追加したからなんだよね!」
「ええっ凄いです!」
でしょでしょ〜と胸を張るアリアドネを横目に。クロムは半眼。
「……そのせいで予算をかなりオーバーしたと聞いたが?」
「細かいことはいいの! 結果的にヴィルくん全額負担してくれたしね。あたしの紹介はここまで。本題をどうぞ!」
バトンを受け取ったピーチは軽く頷き、食指を天に向ける。
「ずはり! パーティーを開催したいと思っているの!」
「パーティー……ですか?」
「それも『スタジアム』を貸し切っての大きなパーティーよ」
「『スタジアム』を? わ、楽しそうですっ」
エレナの反応にマルスは笑みを湛え、計画に至った経緯を話し始めた。
「ぼく達は普段、城のみんなにとてもお世話になっているからね。何か恩返しができないかと常々考えていたんだ」
「それで私達を中心としたメンバーが集まり、城の皆さん全員をパーティーにご招待して楽しんでもらおうと考えていたところなのです」
マルスに続きルキナが答え、他のメンバーらも頷く。
「とっても素敵な考えだと思います! 私で良ければお手伝いさせてください」
「ありがとうございます、エレナ」
胸に手を添えながらゼルダが謝辞を述べ、空席に手のひらを差し向ける。
「どうぞこちらへ」
「失礼します」
席につくと、隣に座る小さな生物に意識が向いた。青いバンダナが特徴的なデデデの側近ワドルディだ。
確かにデデデは身分(?)的にここにいてもおかしくはないが、当の本人はどうしたのだろう。
「今回デデデさんの代わりに、バンダナワドルディさんに参加していただいているんです」
「大王様は秘密にするのがあまりお得意な方ではないので……」
口止めしても言いふらしてしまう様子が目に浮かぶ。
なるほど、とエレナが頷いたところで、会議は再開された。
「ここまで話した内容をもう一度整理しましょう」
立案者のピーチが今一度、各々の役割を復唱する。
当日は各国の使用人達を『スタジアム』に派遣し、パーティーのお手伝いをしてもらうそうだ。
「まず、デイジーとワド君は当日の立食メニュー担当。キノピオ達とワドルディ隊と一緒にレシピを考える」
「みんなが感動するようなとびきりの料理考えようね!」
「美味しく再現できるよう頑張ります!」
デイジーとバンダナワドルディが元気よく返事し、互いにハイタッチ。
「ゼルダとクロム、ルキナの三人は当日の警備体制について考えてちょうだい」
「お父様、ゼルダさん。頑張りましょうね」
「ああ」
「はい。よろしくお願いしますね」
ルキナ、クロム、ゼルダはお互いに視線を交わし合う。
「マルスとロイは当日のホール分担をお願い」
「うん、わかったよ」
「お任せください」
長年の付き合いであるマルスとロイは互いに信頼を滲ませる。
「それで……カムイはわたしと、アリアドネの補佐につくわ。採寸や材料集めのお手伝いね」
「お〜それは有難い」
「みんなで協力して最高のパーティーにしましょうね」
アリアドネは深々と頷き、カムイが手のひらを合わせる。
……さて。これで名前を呼ばれていないのはエレナだけとなった。
何を任せられるのかとわくわくしていると。
「エレナちゃんは経理と会場の確保をお願いね」
「……え、」
経理はともかく。会場――つまり『スタジアム』使用許可は取っていないらしい。
「ま、まだマスター様にご相談は……」
「してないわね」
「一番大事なことでは……」
「すまん、エレナ。……頼んだ」
申し訳なさげなクロムの表情に苦笑する。
「分かりました。マスター様にご相談します」
「あ、ヴィルには話さないでちょうだいね! 内緒よ内緒!」
「? はい」
経過報告を逐一ピーチに報告するというのを共有し、暫くして一同はその場を解散した。