ドキドキ⁉︎モテ期襲来‼︎
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結局ルフレとメタナイトは読み合わせを終え食堂に移動するまで行動を共にした。三名の仲は終始ピリついており萎縮していたが、食堂に到着すればエレナの周りを女性陣が囲み(失礼だが)、ヴィルヘルムらから解放された。
(昨日、私が知らないところで何かあったのかな……でも昨日の今日であんなに仲が悪くなるとは思えないし……)
朝食に選んだベーコンエッグを頬張りながら思案している彼女の肩を、誰かが突然叩いた。
大きく肩を跳ね上がらせたエレナが振り返ると、こちらを見つめるレンズの瞳と目が合う。
「ロボットさんでしたか。私に何かご用ですか?」
ロボットはジー、ジーと音を響かせ、何かをエレナに差し出す。
「これを私に?」
渡されたのは一枚のメモ。首のアームを動かし肯定したロボットはその場を立ち去る。
不思議そうに折り畳まれたメモを開くと、とある人物からの呼び出し文だった。
『朝食を食べ終えたら私の部屋まで来て欲しい。誰にも見つからないように気をつけてくれ。――マスター』
(マスター様からだ。わざわざ手紙で呼び出すなんてどうしたんだろう)
幸か不幸か、本日の『大乱闘』は午後の一本だけ。午前中は時間に余裕がある。
しっかりと朝食を完食したエレナは食器類をシェフのもとまで戻し、さっそく向かおうと食堂をあとにした――そのとき。
「エレナ、どこに行くの?」
「い、……リンクさん。こんにちは」
声を掛けられたのは息吹の勇者・リンク。満面の笑みでこちらの回答を待つ彼に、どう答えようかと悩む。マスターの手紙では『誰にも見つからないように』と指示されているからだ。
リンクは口ごもるエレナの返答を待たずして、彼女の手首を掴む。
「特にないなら俺に付き合ってよ。退屈させないからさ」
「えっ、ちょっ、リンクさんっ」
有無を言わさず連れ出された先で、「待った」と遮る影ひとつ。
「どこに連れて行くつもり?」
「げ、時さん……」
腰に手を当て仁王立ちする
エレナの腕を掴む後輩の手を叩き飛ばしたリンクは、一瞥もくれずに今度は自分がエレナを連れ出そうとした。
「あんな奴より、僕と一緒のほうが楽しいよ」
「後から来たくせに図々しいですよ」
「後輩のくせに図々しいな。先輩を敬いな」
「あ、あの私……」
睨み合う両者に居た堪れず口を挟む。
「何? 子供だからって甘くみてるの?」
「いや、そういうことではなくて……」
「側から見たら保護者とその子供にしか見えませんよー」
「はぁ?」
後輩に煽られこめかみに青筋を浮かべる。
またもや白熱しそうな彼らを前に、エレナは一歩二歩と後退。
「私……用がありますので……失礼しますっ」
「あ、エレナ!」
逃げるように早足で廊下を駆け抜けていくエレナだったが、曲がり角で衝突事故。
「あいたっ!」
「きゃっ! ご、ごめんなさい!」
衝撃で尻餅をついたエレナに「大丈夫?」と差し伸べられる手。
真っ白な羽をその背に携えた天使・ピットは、不安げにこちらを見ている。
「痛くなかった?」
「はい。軽く打っただけなので……すみません」
「ううん! ボクのほうこそごめんね」
ピットの手を借りて立ち上がったエレナだったが、何故か手が離れない。
「……あの、ピットさん、手……」
「んー?」
「離していただかないと……」
「いいじゃんいいじゃん! もうちょっと繋いでいようよ!」
ぐっと握る手に力が入る。反射的に身構えたエレナを不思議そうに見つめてくる。
「わ、私、用があるので……ごめんなさい!」
「わっ!」
申し訳ないと思いながらも無理やりピットの手を振り解く。
そのまま走り去ったエレナは、行く先々でいろんな男性ファイターに声を掛けられる。
「エレナ。」
「エレナ!」
「……エレナ」
「エレナさん」
「エレナちゃんっ」
怖い。
逃げるように城内を走り続けたエレナは体力の限界を迎え、ついに歩みを止める。
壁に手をつき呼吸を整えていたエレナに――かつん、と響く靴音。
「エレナ」
「ひっ」
身を強張らせながら振り返れば、優しい笑顔のマスターが佇んでいた。
「ま、マスター様……」
「随分と時間がかかっているようだから様子を見に来たのだが……大丈夫か?」
激しく息を切らすエレナに眉尻を落とす。
普段通りのマスターに、エレナは安堵する。
「皆さんの様子が――」
「私との約束を守るために逃げ続けてくれたのだな。……可愛いことをするじゃないか」
トンっと背中に当たる硬い感触。視界いっぱいに映るマスターの姿。
俗に言う『壁ドン』――現状を理解したエレナは顔を
「まままままマスター様⁉︎」
「大丈夫。私に身を委ねてごらん。気持ちよくしてあげるから」
これは絶対に駄目なやつッッ‼︎‼︎
やはり様子がおかしいマスターの包囲網から抜け出し、逃走。