ドキドキ⁉︎モテ期襲来‼︎
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「起きて。ねえ起きてってば」
「う、ん〜……?」
鳴るはずの電子音は聞こえず、代わりに別の声が耳朶を打つ。
急かさんばかりにさすさすと小刻みに揺らされるのに嫌気がさし、現状を確認しようと目を開く――。
「あ、起きた」
「やああああああああああああ‼︎⁉︎」
絹を裂くような悲鳴が部屋中に轟くのもおかまいなし。鼻と鼻が触れる距離まで顔を近づけていたのは、【六大賢主】がひとり・ラフェルト。
思わず飛び起きたエレナを避けるべく後ろに下がるが、笑みを湛えたまま一挙一動を見守る。
「び、びっくりした……どうしたんですか⁇」
「んー……ちょっと面白いことになってるなーって」
「面白いこと……?」
「今の段階で起こしてあげてもいいけど、もう暫く見ていることにするよ」
寝起きの頭では上手く言葉を飲み込めない。はぁ、と空返事をすると、壁掛け時計で時刻を確認。予定起床時間ぴったりだ。
「ラフェルトさん、私これから――……あれ?」
着替えるので退室してもらっていいですか? そう伝えようとするも、すでにラフェルトの姿はなく。
(なんだったんだろう……)
小首を傾げるエレナの耳に、今度はノック音が届く。
『エレナ。叫び声が聞こえたけど大丈夫?』
先程の悲鳴を聞きつけ駆けつけたのは、エレナの上司兼こちらも【六大賢主】がひとり・ヴィルヘルム。
突然のことに焦りながらも、エレナは扉に近づく。
「申し訳ありません、ヴィル様。こちらは大丈夫です」
内側から返事をするが、ヴィルヘルムはあろうことか疑ってきた。
『……本当に? 中に入るよ。念の為にね』
「え?」
エレナの了承なしに部屋に入ってきたヴィルヘルムに目を点にする。
そんな彼女の姿を見て、安心したかのように頬を緩ませた。
「ああ、良かった。てっきり誰かに襲われているのかと思ったよ」
「私の部屋に金目のものはありませんよ?」
「ふふ、相変わらずだね。君は」
口元に指を添えくすくすと笑みをこぼす彼に――生じる違和感。その正体に気づくことなく、エレナはまたもや「はぁ……」と空返事。
「まあいいよ。早く着替えて部室においで、待ってるから」
「はい……分かりました」
扉を閉めるヴィルヘルムを戸惑いがちに見送る。
言いしれぬ不信感を抱きつつ、エレナは制服へと着替えた。