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採用面接の舞台裏
数時間に渡り行われた『アルス城職員採用面接』。
希望者全員との集団面接を終えた【六大賢主】の五人は別室に移動後、誰が誰を採用するのか話し合っていた。
採用方法は至ってシンプル。
面接時に採用したい人材の名前を記録しておき、他の賢主と被っていなければ自分の部署に配置=採用という流れだ。
現在の【六大賢主】体制になってから二度目の面接。滞りなく採用者が決定していく中――問題が発生する。
「次は、え〜と……フリーのエレナさん。誰か希望者はいる?」
風の賢主・スーイの問いかけに、はいと挙手したのは火の賢主・ザクロ。
「私が貰ってもいいか?」
「あんたのところに行かせたら可哀想な気がするんだけど」
そうテーブルに頬杖をつくのは水の賢主・ソウ。隣では土の賢主・テルルが苦笑を浮かべている。
「ち、因みに理由は……?」
「ん? ああ、私の目の保養だ」
「完全に私利私欲じゃん」
「君もむさ苦しい男達を毎日見ていたら飽きるさ」
「謝れ。」
「他に希望者がいなかったら決定にするけど……」
ザクロとソウの口論が長引きそうなのを察し、速やかにスーイが話を終えようとするが。
「待った。僕も希望してる」
遅れて発言したヴィルヘルムに視線が集う。
「そもそもその子、『乱闘部署 』希望でしょ。こっちが貰う」
前回――いや、現在の体制となる前から『乱闘部署』はヴィルヘルム 以外認めない。そんなもの言わぬ圧を周囲に掛けていたヴィルヘルム。
「一体どういう風の吹き回しだ、ヴィル。私が希望したから情けで貰うつもりか?」
「別にそんなんじゃない。ただ……『ちょっと』」
気になる言い回しにザクロは眉を顰める。
「『ちょっと』、とは何の話だ?」
「……」
「黙るんじゃない」
無言を貫くヴィルヘルムとザクロの間に不穏なムードが流れ始め、あわよくば一戦交える雰囲気の中。
「呼ばれてないけど副業探偵本業記者の一般人が来たよ〜〜‼︎ ……え、何この最悪な雰囲気。かーえろっ」
「急に来て急に帰んな。責任持ってどうにかしてよ」
空気クラッシャー――もとい、自称一般人のレイが突撃してきた。
ソウは嫌な役回りを押し付け、レイはヴィルヘルムとザクロに視線をやる。
「あれ? もしかしてまだ採用作業終わってないの?」
その声に反応したヴィルヘルムは、レイを見遣っては口元を緩めた。
「レイ、いらっしゃい。どうしたの?」
「んー、今度でいいや。急ぎじゃないし。それより何に揉めてるの?」
「ヴィルがこの子を『乱闘部署』に入れたいって言うんだ」
と、ザクロから資料を渡されたレイは一読するも、すぐに首をかしげる。
「……普通の子だよね、この子。どうしてヴィルは採用したいの?」
「『ちょっと』ね」
「またその台詞か……」
聞き飽きたと肩をすくめるザクロに対し、レイは黙考。
閃いたと言わんばかりに食指を天に伸ばす。
「よし! じゃあ、先に相手の良いところを五個言った人が採用しよっ!」
「いや急に何を――」
「はいスタート!」
ザクロの台詞を遮り手の平を合わせたレイの合図に、華麗なスタートダッシュを決めたのは。
「強くて頼りになる、仕事が早い、実は面倒見がいい、部下思い、顔が良い」
「はいヴィルの勝利〜!」
「判定ガバガバ……」
「喧嘩になるよりかは良かったんじゃないかな……」
ソウは半眼を作り、テルルは密かに安堵する。
ヴィルヘルムの視線を受けたスーイは、中断していた作業を再開すべく資料に視線を落とす。
「じ、じゃあ続けるね。レイさんは離席してください」
「はーいっ。また今度来るね〜」
掌を振ったレイは――最後の最後にヴィルヘルムを一瞥し――笑みを湛えたまま部屋を後にした。
かくしてエレナは『乱闘部署』へと配属されることとなるが――それはまた別のお話。
数時間に渡り行われた『アルス城職員採用面接』。
希望者全員との集団面接を終えた【六大賢主】の五人は別室に移動後、誰が誰を採用するのか話し合っていた。
採用方法は至ってシンプル。
面接時に採用したい人材の名前を記録しておき、他の賢主と被っていなければ自分の部署に配置=採用という流れだ。
現在の【六大賢主】体制になってから二度目の面接。滞りなく採用者が決定していく中――問題が発生する。
「次は、え〜と……フリーのエレナさん。誰か希望者はいる?」
風の賢主・スーイの問いかけに、はいと挙手したのは火の賢主・ザクロ。
「私が貰ってもいいか?」
「あんたのところに行かせたら可哀想な気がするんだけど」
そうテーブルに頬杖をつくのは水の賢主・ソウ。隣では土の賢主・テルルが苦笑を浮かべている。
「ち、因みに理由は……?」
「ん? ああ、私の目の保養だ」
「完全に私利私欲じゃん」
「君もむさ苦しい男達を毎日見ていたら飽きるさ」
「謝れ。」
「他に希望者がいなかったら決定にするけど……」
ザクロとソウの口論が長引きそうなのを察し、速やかにスーイが話を終えようとするが。
「待った。僕も希望してる」
遅れて発言したヴィルヘルムに視線が集う。
「そもそもその子、『
前回――いや、現在の体制となる前から『乱闘部署』は
「一体どういう風の吹き回しだ、ヴィル。私が希望したから情けで貰うつもりか?」
「別にそんなんじゃない。ただ……『ちょっと』」
気になる言い回しにザクロは眉を顰める。
「『ちょっと』、とは何の話だ?」
「……」
「黙るんじゃない」
無言を貫くヴィルヘルムとザクロの間に不穏なムードが流れ始め、あわよくば一戦交える雰囲気の中。
「呼ばれてないけど副業探偵本業記者の一般人が来たよ〜〜‼︎ ……え、何この最悪な雰囲気。かーえろっ」
「急に来て急に帰んな。責任持ってどうにかしてよ」
空気クラッシャー――もとい、自称一般人のレイが突撃してきた。
ソウは嫌な役回りを押し付け、レイはヴィルヘルムとザクロに視線をやる。
「あれ? もしかしてまだ採用作業終わってないの?」
その声に反応したヴィルヘルムは、レイを見遣っては口元を緩めた。
「レイ、いらっしゃい。どうしたの?」
「んー、今度でいいや。急ぎじゃないし。それより何に揉めてるの?」
「ヴィルがこの子を『乱闘部署』に入れたいって言うんだ」
と、ザクロから資料を渡されたレイは一読するも、すぐに首をかしげる。
「……普通の子だよね、この子。どうしてヴィルは採用したいの?」
「『ちょっと』ね」
「またその台詞か……」
聞き飽きたと肩をすくめるザクロに対し、レイは黙考。
閃いたと言わんばかりに食指を天に伸ばす。
「よし! じゃあ、先に相手の良いところを五個言った人が採用しよっ!」
「いや急に何を――」
「はいスタート!」
ザクロの台詞を遮り手の平を合わせたレイの合図に、華麗なスタートダッシュを決めたのは。
「強くて頼りになる、仕事が早い、実は面倒見がいい、部下思い、顔が良い」
「はいヴィルの勝利〜!」
「判定ガバガバ……」
「喧嘩になるよりかは良かったんじゃないかな……」
ソウは半眼を作り、テルルは密かに安堵する。
ヴィルヘルムの視線を受けたスーイは、中断していた作業を再開すべく資料に視線を落とす。
「じ、じゃあ続けるね。レイさんは離席してください」
「はーいっ。また今度来るね〜」
掌を振ったレイは――最後の最後にヴィルヘルムを一瞥し――笑みを湛えたまま部屋を後にした。
かくしてエレナは『乱闘部署』へと配属されることとなるが――それはまた別のお話。