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はじめましての部屋
マリオとピーチに買い出しを手伝ってもらったあの日から数日後――注文していた家電製品が無事、城へと届いた。
「ここまでで大丈夫です! あとは自分で運びますので」
城の力自慢である兵士らに手伝ってもらい、自室がある階まで重い家電製品を引き上げることは出来た。しかし今は勤務中。これ以上彼らの仕事の邪魔をしてはいけないと考えたエレナは、荷車に乗せてもらった上で、彼らと別れる。
自室の扉との距離は目と鼻の先。幾ら重いとは言え一人で運べない距離では――。
(う、動かない……⁉︎)
まさしく象を人の手で動かそうとしているような感覚。うんともすんとも言わない荷車と、うーうー唸りながら格闘しているエレナの視界にひとつの人影。
「大丈夫?」
「あ、……」
金色に輝く髪を後ろで束ね、見慣れた緑の衣――ではなく『ロイヤルブルー』の衣を着用する少年。
又の名を“息吹の勇者”。【乱闘部隊】に所属する『リンク』の名を冠するひとりであり、仲間内からは『後輩くん』や『英傑くん』などと呼ばれている。
「運ぶの手伝うよ。ほら貸して」
マネージャーとして話には聞いていたし、彼が登場するゲームも『記憶を消してもう一度プレイしたい』と言われるほどの名作であるのも知っているが。こうして話すのは初めてである。
「どこに運べばいい? 部署室?」
「実は私の部屋なんです……」
「ああ、これ君の荷物なんだ」
「はい。なので自分で運びます」
「……動かせないのに?」
わあ、見られてた。
思わず赤面するエレナに、リンクは小さな笑みを浮かべた。
「ごめんごめん。そういうことだから俺が運ぶよ。君の部屋は?」
「……すぐそばです。よろしくお願いします」
「任されたっ」
よっ、と掛け声ひとつでびくともしなかった荷車が動き出す。
難なくエレナの部屋の前まで運んだリンクは、次に扉を指で示して。
「部屋に入っていい? せっかくだから設置してあげるよ」
「えっ⁉︎」
「あ、やっぱり男に入られるのは嫌?」
エレナは首を横に振り、自身が驚いた理由を話す。
「いえ、違います。冷蔵庫とか重たいものをお一人で運べるのかと思って……」
「なんだそんなことか。それなら大丈夫。『これ』を使えば」
と、リンクは腰に提げていた薄い板――《スマパッド》と酷似している――《シーカーストーン》と呼ばれるアイテムを手にした。
「金属だったら《シーカーストーン》の『マグネキャッチ』で運べるからさ。冷蔵庫も楽々よ」
「なるほど、その手がありましたね。画期的なアイテムですね!」
「そうだよな〜。……制限かかってるけど」
エレナが注文した家電製品は全て金属製。冷蔵庫やレンジなど重たい家具はリンクが、ポットなど軽めのものは自分で自室へと運び――もの寂しい部屋が、一気に生活感溢れるものとなった。
「よしっ! これで全部だな」
「はいっ。ありがとうございました。とても助かりました!」
「いいっていいって。俺もほとんど《シーカーストーン》頼りだったし」
手を振っていたリンクは「あ、そうだ」と《シーカーストーン》の画面を操作。
「記念に一枚『ウツシエ』撮っていい?」
「もちろんです!」
笑顔で承諾したエレナにリンクは――僅かにその瞳を哀愁に染めながら――自撮りモードで二人並び撮影。
リンクのおかげで生活環境も無事整ったものの。
(私はいつまでこの世界にいるんだろう……)
マリオとピーチに買い出しを手伝ってもらったあの日から数日後――注文していた家電製品が無事、城へと届いた。
「ここまでで大丈夫です! あとは自分で運びますので」
城の力自慢である兵士らに手伝ってもらい、自室がある階まで重い家電製品を引き上げることは出来た。しかし今は勤務中。これ以上彼らの仕事の邪魔をしてはいけないと考えたエレナは、荷車に乗せてもらった上で、彼らと別れる。
自室の扉との距離は目と鼻の先。幾ら重いとは言え一人で運べない距離では――。
(う、動かない……⁉︎)
まさしく象を人の手で動かそうとしているような感覚。うんともすんとも言わない荷車と、うーうー唸りながら格闘しているエレナの視界にひとつの人影。
「大丈夫?」
「あ、……」
金色に輝く髪を後ろで束ね、見慣れた緑の衣――ではなく『ロイヤルブルー』の衣を着用する少年。
又の名を“息吹の勇者”。【乱闘部隊】に所属する『リンク』の名を冠するひとりであり、仲間内からは『後輩くん』や『英傑くん』などと呼ばれている。
「運ぶの手伝うよ。ほら貸して」
マネージャーとして話には聞いていたし、彼が登場するゲームも『記憶を消してもう一度プレイしたい』と言われるほどの名作であるのも知っているが。こうして話すのは初めてである。
「どこに運べばいい? 部署室?」
「実は私の部屋なんです……」
「ああ、これ君の荷物なんだ」
「はい。なので自分で運びます」
「……動かせないのに?」
わあ、見られてた。
思わず赤面するエレナに、リンクは小さな笑みを浮かべた。
「ごめんごめん。そういうことだから俺が運ぶよ。君の部屋は?」
「……すぐそばです。よろしくお願いします」
「任されたっ」
よっ、と掛け声ひとつでびくともしなかった荷車が動き出す。
難なくエレナの部屋の前まで運んだリンクは、次に扉を指で示して。
「部屋に入っていい? せっかくだから設置してあげるよ」
「えっ⁉︎」
「あ、やっぱり男に入られるのは嫌?」
エレナは首を横に振り、自身が驚いた理由を話す。
「いえ、違います。冷蔵庫とか重たいものをお一人で運べるのかと思って……」
「なんだそんなことか。それなら大丈夫。『これ』を使えば」
と、リンクは腰に提げていた薄い板――《スマパッド》と酷似している――《シーカーストーン》と呼ばれるアイテムを手にした。
「金属だったら《シーカーストーン》の『マグネキャッチ』で運べるからさ。冷蔵庫も楽々よ」
「なるほど、その手がありましたね。画期的なアイテムですね!」
「そうだよな〜。……制限かかってるけど」
エレナが注文した家電製品は全て金属製。冷蔵庫やレンジなど重たい家具はリンクが、ポットなど軽めのものは自分で自室へと運び――もの寂しい部屋が、一気に生活感溢れるものとなった。
「よしっ! これで全部だな」
「はいっ。ありがとうございました。とても助かりました!」
「いいっていいって。俺もほとんど《シーカーストーン》頼りだったし」
手を振っていたリンクは「あ、そうだ」と《シーカーストーン》の画面を操作。
「記念に一枚『ウツシエ』撮っていい?」
「もちろんです!」
笑顔で承諾したエレナにリンクは――僅かにその瞳を哀愁に染めながら――自撮りモードで二人並び撮影。
リンクのおかげで生活環境も無事整ったものの。
(私はいつまでこの世界にいるんだろう……)