3:補佐ファイター
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制服をしっかりと着こなし、髪を櫛で梳き通した少女は「よし」と気合いを入れる。
先日配布されたマニュアルはある程度(全てに目を通す前に眠気に襲われた)読み込んだ。購入したメモ帳やペンと共に、マニュアルブックも肩掛け鞄に収納。自室を出発したエレナが仕事場へ向かうと――執務室の中から話し声が。
「そろそろエレナも……あ、来たね。おはよう」
開け放たれた扉の奥、微笑むヴィルヘルムに会釈。
「おはようございます。……」
返したのはいいが、エレナはそのまま硬直。理由は、ヴィルヘルムの隣に並ぶファイターの姿にあった。
「こうして話すのは初めてだね。新しいマネージャーさん」
ローブの裾を翻し片笑む白銀の青年に、窓辺の額縁を足場にする仮面の一頭身。
ルフレ、そしてメタナイト――彼らの視線を一様に受け肩身を窄めながら、エレナはぎこちなく挨拶をする。
「はじめまして、……エレナです」
「僕はルフレ。こちらの彼はメタナイト」
「メタナイトだ。勤務中に失礼する」
いつまでも部屋の外で話すわけにはいかない、とヴィルヘルムに招かれたエレナはようやく入室し、内側から扉を閉めた。
「ヴィル、僕から説明しても?」
「はい」
「ありがとう。エレナ、聞いてくれるかい?」
話の邪魔になるのではないかというのは、どうやら杞憂なようだ。名を呼ばれたエレナが肩を跳ね上がらせたのを目に、「そんなに緊張しないでくれ」とルフレは目を細めた。
「端的に話すと、今日から暫くの間。僕とメタナイトさんが君の補佐につくことになったんだ」
「……、⁉︎」
ワンテンポ遅れて瞠目する部下に、そうだよねとヴィルヘルムは微苦笑。
「僕も昨晩初めて聞いたんだ」
「マスター殿が貴殿らを思い、我らに協力してほしいとお願いしたのだ」
事の発端は上司ではなく、マスターにあったらしい。今度こそ苦笑を禁じ得ないヴィルヘルムは、嘆息する。
「マスター様……お気遣い頂かなくともどうにかしますのに……」
「ヴィルならその言葉も妄言にならないだろうけど、忙しいのは事実だろう?」
「安心めされよ、エレナ殿。私もルフレ殿も、四六時中お供するわけではない。ヴィル殿に任せられることは任せるつもりだ」
尚も緊張が解れないエレナは、差し出された手を恐る恐る握り返す。蛇に睨まれた蛙、とはこの事か……などと見当違いも甚だしい思考回路の中。ルフレとメタナイトは一時的に離脱した。
「突然の話で驚いたよね。でも、僕が君の面倒を付きっきりで見れないのも事実なんだ」
そうヴィルヘルムは眉を曲げ、エレナは「とんでもないです」と返しつつ思う。
(心が休まる気がしない……)