2:お仕事開始
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コングが打ち鳴らされると同時に、四人は一斉に臨戦態勢を取る。
マリオとリンクは互いにステージの端でファイアボールと炎の弓矢を放ち、カービィとピーチは彼らの頭上で互いに攻撃を繰り出す。
狭く、揺れる足場をもろともせず、攻防戦を繰り広げるファイター達に、観客の声援が轟く。
マリオはファイアボールで相手の体勢を崩しつつ、宙返りで距離を詰めてからのジャンプ攻撃を。
リンクは豊富な飛び道具を駆使し、攻撃範囲外から遠距離から攻撃を。
カービィは足蹴りを中心に、右へ左へとステップを踏み込み攻撃を。
ピーチは得意の浮遊で下段からの攻撃を躱し、一気に攻め込み連続攻撃を。
ランダムで登場するアイテムが戦局をひっくり返しながら、一進一退の接戦が続く。まさに、手に汗握る戦い。
一際観客の熱気が湧き上がったのは、残り2分を切った頃。
――スマッシュボール!
最後の切り札を発動出来る七色の球体が、上空からストンと落下。今回は重力に従うパターンのようだ。
スマッシュボールに現地点で近いのは、ピーチとリンク。僅かにリンクのほうが近い。
「リンク!」
「分かってる‼︎」
「取らせないんだから!」
「頼んだぞピーチ!」
浮遊足場からリンクが降りるより先に――ピーチはスマッシュボールにカブを投げつけ、距離を稼ぐ。
転がったボールを攻撃し損ねたリンクごと足場外へと叩き飛ばすも、復帰ついでにリンクがボールに連続攻撃。
これは割れるか――と思われたが、惜しくも届かず。
合流したマリオとピーチによる共同作業により、手に入れたのはピーチ。
即座に最後の切り札【ピーチブラッサム】が発動。ピーチはカービィを、マリオはリンクをそれぞれ場外へと吹き飛ばし、蓄積ダメージが百を超えていた彼らは呆気なく撃墜。
その後もマリオ・ピーチチームの優勢は変わらず――。
TIME UP!
『勝利したのは――マリオ&ピーチの赤チーム!』
リザルトルームへ移行後、勝利を勝ち取った二人は互いに勝利を喜び合い、リンク・カービィと握手を交わす。
観客席も大いに湧き、拍手喝采の嵐。
たった5分、されど5分。
彼らの戦いに魅了された幸せな時間だった。
「興奮冷め止まないところ申し訳ないが、私達も制御室に戻るとしよう」
と、マスターに言われたエレナは仕事中であったことを思い出す。
熱気に包まれた観客席を背に、彼らはヴィルヘルムが待つ制御室へと戻る。
「お帰りなさいませ」
「ただいま。異常はなかったかな?」
「はい。問題なく作動しておりました」
ヴィルヘルムと言葉を交わすマスターの背を見つめていると、不意に視界の端が青白く光る。
そちらには円濤――『ポータル』が設置されており、青白い光にシルエットが映し出される。
「皆様、お疲れ様でした」
「お疲れ様」
出迎えたヴィルヘルムとマスターに、『ポータル』から現れたマリオは歯を見せて笑う。
「どうだったよヴィル」
「いつもながらに凄かったよ、マリオ。流石だね」
「当たり前だろ」
「ねーねー、ヴィル〜。リンクのお顔青い」
頭の上に降り立ったカービィの言葉通り、リンクの顔が蒼白となっている。
「やっぱり無理してたのね。言ってくれれば良かったのに」
「ちょっと休めば治るってこんなの」
ピーチの気遣いにフンッとそっぽを向くリンク。
全く、と呆れた顔でマリオはヴィルヘルムを呼ぶ。
「頼んでいいか?」
「うん」
一歩前へ進み出たヴィルヘルムは、片手をリンクへ翳す。放たれた小さくも力強い光はリンクの体を一周。彼の硬い表情が緩和される。
「あ、……りがと」
「どういたしまして」
一連のやり取りを側から見ていたエレナは、生で見た『魔法』というものに静かに驚く。
(そうだよね……『魔法』が当たり前にあるのだって不思議じゃない。驚くものにも気をつけなきゃ、バレちゃうかも……)
胸中で嘆息するエレナを、今度はマリオが声を掛ける。
「そうだエレナ。ボク達の試合どうだった?」
全員の視線が自身に集まる。
「凄かったです……! 本当に、その、上手く言葉に出来ないのですが……!」
「分かった分かった。……マネージャーになるなら、もっと語彙力を身につけてほしいけどね」
本当にその通りだと、エレナはリンクの言葉を素直に受け止めた。仮に身につけたところで上手く伝えられないかもしれないが。
その場にいた全員――マリオだけは若干固く――が笑顔を浮かべる。
「さて、それでは仕事に戻るとしよう。エレナ、この後の流れはまたヴィルに教えてもらうといい」
「はい。ありがとうございました」
微笑みで返したマスターは彼らから離れ、一行は制御室を後にする。
途中でファイター達とは別れ、ヴィルヘルムとエレナは待合室へ。
「切り抜き作業は城の執務室で教えるから、ひとまず軽く掃除しよう」
「はいっ」