SSまとめ

(アラン視点)

「……」
 時計の針が真夜中を示している頃。オレはなんとなく目が覚めてしまった。

 二度寝する気も起きず、一階で飲み物でも作って飲むかと部屋を後にした。

「?」
 部屋を出ると、一階から僅かに光が漏れているのが見えた。電気もつけないで誰がなにをしているのか、と思いながら階段を降りる。

「あ、アラン」
「ヴァニラ……?」

 一階に居たのはヴァニラ。オレに気づくと、ヴァニラは顔だけ振り返った。

「こんばんは」
「……こんばんは?」

 そう謎の挨拶を交わすと、ヴァニラは再び正面に向き直り、テレビを観ていた。ああ、二階から見えた光はテレビのだったのか。にしても、こんな時間になにを観てるんだ?

「……ヴァニラ」
「なに?」
「眠れないのか?」
「ううん。このドラマ観たら寝るつもり」

 ドラマ? 前にもドラマ観たって言ってた気がするな(※『本日はピクニック日和です』にて)。

「ドラマ好きなのか?」
「……たぶん」

 ヴァニラらしい返し方だな。集中してるみたいだし、邪魔しないでおこう。

 冷蔵庫を開けると、牛乳が残っていた。じゃあ、ホットミルクでも作るかな。

「アラン」
「うおっ」

 急に話しかけられ、危うく手に持っていた牛乳を落としそうになったが、ギリギリセーフ。

「なに作るの?」
「えっ……ホットミルクだが……」
「……ねえ、アラン。一緒にドラマ観よ? 観ながら飲も、ホットミルク」
「飲みたいんだな……」

 ポンポンと隣の床を叩くヴァニラに、わかったわかったと返すと喜ばれた。

 鍋で牛乳を温めること数分。あ、甘い方が好きかな。オレのだけ先に移そう。

「はい」

 少しだけ甘くしたものを横から差し出す。

「ありがとう。じゃあ、座って」
「いや観るのはいいんだけどさ、話が分からないんだが」
「大丈夫。このドラマの展開は誰にも読めないから」

 はたしてそれは、ドラマとして成り立っているのだろうか……?

 コマーシャルが終わり、後半戦が始まった。

「……」
「……」
「……」
「……」
「……えっ終わり?」
「終わり」

 瞬きする間にも急すぎる展開は進み、海やら空やら宇宙まで出てきた後、エンディングを迎えた。

 驚くオレとは反対に、ヴァニラは平然とした様子でホットミルクを啜っている。

 オレがおかしいのか……。

 眉間に皺を寄せていると、急に眠くなってきた。もうなにもかも忘れて寝たい、そんな気分になったのはいつぶりだろうか。

 ……それにしても、こんなハチャメチャなドラマを観ているとは……謎が深まるばかりだな。

「……変だね、このドラマ」
「えっ」
「違うの観よ。面白いのあるよ」
「ええ……?」

 困惑するオレを置いて、ヴァニラはオススメのドラマをオレに観せてきた。たしかに面白いが、さっきの影響で……すごく……眠く……。

「Zzz……」



「……寝てる。……わたしも寝よ……」



 ──朝。二人寄り添って寝ているところを、ブレイドに発見された。……その後、どうなったかは神のみぞ知る。


〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜


 主にアランがヤバそうですね(多分)。

 私設定のアランくんは甘い食べ物・匂いが苦手ですが、ホットミルク(牛乳のみ)はギリギリセーフです。ヴァニラ用に作った甘いホットミルクは味見無しで作りました。あとせんべい系はOKです。食べ物の好みが渋い系なのは仕方ないですね。
13/27ページ