SSまとめ
──前略。ゲームの世界に飛ばされました。
「いやおかしいだろう」
如何にも物語が始まりそうな雰囲気の草原にて、腕を組みながらベルタは突っ込んだ(誰に?)。今、この場にいるのはベルタ、レベッカ、ヴァニラの三人だけのようだ。
「こういうのって、スワイプしたらステータスが出てくるわよね」
「そうなんだ」
「あっ、ホラ。出てきた」
「順応力高すぎ……」
レベッカが空中を手で撫でると、パッと電子的な画面が現れた。
「みんなレベル1ね」
「ワタシのジョブがバーサーカーってどういうこと?」
「私の魔法使い(物理)もおかしいだろ。なんだ(物理)って、余計なお世話だ」
【ステータス一覧】
ーーーヴァニラーーー
ジョブ:勇者
レベル:1
HP:1258
ATK:896
E 瞬影刃
ーーーレベッカーーー
ジョブ:バーサーカー
レベル:1
HP:1278
ATK:885
E バーストキャノン
ーーーベルターーー
ジョブ:魔法使い(物理)
レベル:1
HP:1268
ATK:881
E アブソリュートグレイシス
「……これって強いのか?」
「さあ……。でも、スキルは普通に使えそうね」
「これからどうすればいいの?」
ヴァニラに訊かれ、二人はうーんと悩み。
「とりあえず、街に行けばいいのではないか? 私達はどこに行けば分からないわけだし……」
「目的ならここに書いてあるわよ。あと地図もある」
「……」
「ならやることは一つね。今から魔王城に行って、魔王を倒す!」
「いや待て、早すぎるだろ!」
「わかった」
「ヴァニラー!」
ベルタの叫びも虚しく。魔王城に向けて、勇者パーティが意気揚々と旅立った。
──場面は変わり、魔王が待ち構える魔王城。
城の地下牢に押し込められた一人の王子が、何やら考え込んでいた。
「……」
ーーーアランーーー
ジョブ:囚われの王子
レベル:1
HP:1346
ATK:907
E 閃光剣
「おかしいだろ!」
囚われの姫ならぬ囚われの王子アランは、冷たく硬い牢の床を、叫びながら叩く。
「なんだよ囚われの王子って! 王子弱すぎか!」
女装されられなかっただけ、良かったとは思うが。
「普通王子じゃなくて姫だろ……」
溜め息を洩らしながら立ち上がり、鉄格子に触れる。ここから見える限りでは、見張りなどは特にいないようだ。舐められたものだな。
「閃光剣かスキルさえ使えれば出れるんだが……」
ぽつりと洩らした直後。自身の傍に転送された“閃光剣”。
「……マジか」
閃光剣の柄を握りしめ、軽く振るい、一閃。
剣で破壊した箇所から脱獄に成功。牢の外で、アランはニヤリと笑みを浮かべて。
「待ってろよ、魔王。勇者じゃなくてオレが倒してやる!」
どこか勇者の風格を纏いながら、囚われの王子、魔王の元へ移動開始。
──魔王城、最上階。
魔王たる者の間にて、勇者の到着を待ち侘びながら、魔王は着々と戦いの準備を進めていた。
「アーハッハッハッ! よく来たな勇者共! ……。」
ーーーブレイドーーー
ジョブ:魔王
レベル:99
HP:error
ATK:error
E 影切丸
「もう少し別の台詞の方がいいか……?」
顎に指を添え、悩む魔王様。来る勇者戦に備え、決め台詞を考えていたようだ。
「何かこう……インパクトが強い台詞を……」
因みに彼は勇者が誰なのか、城に捕らえている者は誰なのか、全く知らない。
「たのもーう」
気の抜けた声とは裏腹に、粉々に吹き飛ぶ扉。
ブレイドは魔王特有のオーラを纏い、ようやくお出ましかと勇者達に振り返って。
「よく来たな勇者どっ……」
「「「……」」」
ノリノリじゃん……、と白けた視線を送られ、魔王沈黙。
「魔王ってブレイドだったのね」
「お前らこそ勇者誰だよ」
「わたし」
魔王に???のダメージを与えた!
「い、妹でも手加減はしないぜ……」
魔王のATKが激減した!
「戦うの?」
「うっ……!」
「わたしと?」
「ぐぅッ……!」
魔王に???のダメージ!
「今よベルタ!」
「ああ! 【グレイトアイスバーグ】!」
「【ファイナルバースト】!」
「セコすぎる攻略法だろお前らあああああ!!」
魔王に???の特大ダメージを与えた!
魔王を倒した!
「呆気なかったわね」
「まあ、ブレイドだしな」
「いつの間に勝ったの?」
──かくして、世界に光をもたらした勇者達であった……。──
「ねぇ、囚われの王子ってどこにいるの?」
物語はまだ終わらない。
レベッカの問いに、ブレイドは体を起こすと答える。
「牢に居るはずだぞ」
「居なかったのよ。牢屋って他にもあるの?」
「他っつうか、一箇所しか無いはずだが……」
「……そういえば、アランはどこだ。」
囚われの王子……アラン……
囚われの王子=アラン
「……」
あっ……これアランが王子だ……。
(※なお、既に脱獄済み)
「アランって王子だったの?」
「王子“役”な。王子じゃない」
待っていれば来るだろうと待機すること数分。
「おっ、やっと会えたな」
「ブフォ」
大破した入り口からヒョイッとアラン登場。普段のイメージとは真逆の煌びやかな王子の衣装に、ブレイドは思わず吹いた。
「悪かったな、似合わなくて」
自覚しているのか、アランはそう言いながらも苦笑。
「遅かったな、アラン。ブレイ……魔王ならもう倒したぞ」
「今ブレイドって言いかけたな。魔王はブレイドだったのか」
「……ブレイドって魔王だったの?」
「話がややこしくなるからやめようね」
しかし、アランは「アレ……?」と小首を傾げて。
「じゃあ……さっき倒したヤツはなんだったんだ?」
「さっき倒したって?」
「ラスボスみたいな敵と鉢合わせたんだ。もう倒したけど」
魔王だった(過去形)ブレイドすら、分からないと目を丸くしており、謎は深まるばかり……。
その中でレベッカは、もしかして……、と呟き。
「その敵、裏ボスだったんじゃ……」
「……あっ」
GAME CLEAR!
──かくして、真の強敵を倒した勇者達により、世界に平和が訪れたのだった……。──
CAST
・勇者 ヴァニラ
・バーサーカー レベッカ
・魔法使い(物理) ベルタ
・囚われの王子 アラン
・魔王 ブレイド
・裏魔王 ???
・AND YOU……
「この話に“AND YOU”なんて要らないだろ!」
FIN.
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ヤマもなければオチもないね。
おふざけです。その経緯は分かる人には分かりますね。