SSまとめ

─Glacier─


「もしかして……そこに居るのはベルタ?」


 暗く沈んだ街の一角。人の目から逃げるように、私は路地裏を移動していた。

 名を呼ばれ、一体誰だと振り返る。そこには、同じ部隊の女性……確かレベッカだったか。レベッカがこちらをじっと見つめていた。

「……どうしてここへ」
「アナタを探していたの。……見つけたのは偶然だけどね」

 私を……?

「前にも言った筈だ。馴れ合うつもりはないと」
「引き戻しに来たわけじゃないわ。話をしにきたの」

 結局は同じだろう。無駄な時間に付き合う気はない。

「私にはない。もう私に関わるな」
「ワタシにはある! ベルタのこと、もっと知りたいの!」
「うるさい!」

 手を振り払い、自分と彼女の間に氷の壁を作る。

「これ以上……私に関わるな!」

 兄さんが居なくなってから今まで……一人で生きてきた。これからだって、それは変わらない。彼女も、この話を聞いたら他人事だと思う筈だ。

 だから関わる必要はない。

 そう思いそこから離れる私だったが、のちに惨事を引き起こすことになろうとは思っていなかった。





 私が部隊に合流してから数日が経過した。

 光のモルス、白獅子王様からの依頼完了後。私達は木のモルス、緑狼王からの依頼を受け、“森林の地”へと移動。ブレイドの家に行くことになった。

「……」

 アランとブレイドのやり取りを静かに見つめるレベッカ。その瞳は、どこか遠くを見つめていて。

 ……思えば、英知の書庫でも同じ目をしていた。アランとなにを話したのかは判らないが、あのときも影を落としていたな。

 しきりに手の甲を気にしたり、うなされているところも何度も見た。

 ……レベッカ。貴女には何度も助けられた。だから私も──……いや、私には助けるなんて大それたことは出来ない。せいぜい気付かないフリをするだけで精一杯だ。それに、無理に話さなくとも心は休まる。互いに暴き合う必要はない。話したいと思えば話せばいい。

 それがなんであろうと、貴女の味方で居続けることを誓おう。

 ふふっ。きっとあの二人も、同じことを言うかな。


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 前々回に上げたアランとブレイドの別verです。こちらも12話のお話に繋がってます。

 今回はベルタだけ。レベッカについての話です。今のところ四人のうち、アランとレベッカの二人の過去が明らかになっていません。この二人は第一章二節で明らかになる予定です。
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