SSまとめ


 月が昇る頃。はじまりの地にある古びた宿舎にて。

「あれ?」

 住人の一人であるレベッカは目を丸くした。

「ブレイドだけ? アランは?」

 同じく住人の一人、ブレイドはレベッカを一瞥、再び雑誌に視線を戻すと知らないと答える。

「すっげー嫌そうな顔して出て行ったぞ。行先までは知らない」
「そう……ならいいけど……」
「いやいいんかい」



 ──同時刻。とある酒場にて。

「んっだあのクソ上司ッ‼︎ 人のことなんだと思ってんだ!」

 ダンッ、とテーブルに打ち付けられるジョッキ。中で揺らめくビールは既に半分を切っていた。

 男はジョッキを高く持ち上げ、一気に飲み干しては、もう一杯と近くを通り過ぎた店員にジョッキを突きつけた。

「……はぁ」

 その様子を横目に、アランは溜め息を吐き出す。

「いいのかよ、明日も仕事あるんだろ」
「フンッ。知ったことか。テメェも飲めよ」
「バカなのか?」

 隣に座るアイザックは、堅いやつめ、と運ばれて来たビールに早速口付ける。

「まだ年齢的にダメだし、仮に飲めたとしてもオマエとは飲みたくないな」

 と、アランはアイザックが注文した枝豆を一つ。

「オイ、泥棒」
「うるさい。愚痴聞き料だ。これでも足りないぐらいだけどな」
「いいじゃねーか。愚痴聞いたとしても流すだろ」
「そりゃあ、オレには関係ない話ばっかりだしな。あ、すいません」

 店員にメニューを指しながらコレをと注文。まだ食うのか、とビールを一口。

「この会計はオマエ持ちだろ?」
「自分で飲み食いしたもんぐらい自分で払いやがれ」

 その言葉にアランは何も返さなかった。

「はん、どうせあの手この手で俺に払わせようとしているんだろうが、そうはいかねーよ」



 半刻後。

「Zzz……」

 テーブルに伏せって眠るアイザック。早い話が酔い潰れたのである。

 隣で連れが眠ってしまったというのにアランは何食わぬ顔で注文した料理を食していく。やがてすっからかんとなった皿を前にご馳走さまと手を合わせ、アイザックのポケットから財布を取り出す。

 言っておくが、決してアランは盗みを働いているわけではない。

 財布の中身を確認し、レジへ。会計をアイザックのお金で済ませると、後処理を任せ、店を後にした。


 また、同じセリフを言われるんだろうな……。


 冷たい風が吹き抜ける道を歩き、宿舎へと帰る。


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 ここでのアランとアイザックは……

 アラン→アイザック
 師匠に対する態度が気に入らない、人のことを見下してくる態度が気に入らない、その他もろもろ気に入らない。が、実力は確かだし、話しやすい相手ではあるので誘われたら行く。
 アイザック→アラン
 真面目な優等生な部分が気に入らない、年上を敬う気持ちがないのが気に入らない、その他もろもろ気に入らない。が、実力があるのは認めるし、何かと溜めやすい性格なのは知っているので、愚痴に付き合わせるという名目で話を聞いてやらんこともない。

 という感じで書いている。仲が悪い兄と弟のような関係。余談として、この二人が一番連絡を取り合っている。
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