第1.5部短編集
【秘話〜夢のお告げ〜】
ここは……?
どこまでも続く洞窟のような場所。足元の岩からは、色とりどりの光が上に向かって溢れている。
すぐに僕は夢だと判った。ベタだけど、頬をつねっても痛くなかったしね。
でもここはどこなんだろう? 夢にしてはリアルだし、知っているとは思うんだけど……。
「驚いたかしら?」
えっ! 僕以外に人がいたの!? 僕の夢なのに!?
突然聞こえた声に振り返るも、姿は見えず。この辺には隠れられそうな場所はなさそうだけど……。
「探しても無駄よ。私の姿は見えないから」
と、謎の声がクスクスと笑う。見えないなら仕方ないけど……誰だっけ?
「覚えてないのも無理ないわ。でも、今は改めて名乗る気はないわね」
会ったこと……ある? そう言われたら余計気になるんだけど……。
「言ったでしょう? 今は名乗る気はないと。現実で会えたら、教えてあげるわ」
うーん、分かった。……それで?
「知りたいと思わないかしら。貴方が“生まれた”理由を」
……僕のこと、知ってるの。
「ええ。全てを知ってるわ。生まれた理由、生み出した意味。その全てを」
生み出した理由……!?
「全てを知りたければ、“エレメンタル大陸”に来るといいわ。私は貴方を待っている」
エレメンタル大陸に行けば分かるの!? 君はどうして僕のことを!
「答えてあげたいけどお別れの時間。これ以上は“気づかれて”しまうわ。また会いましょう」
待って──!
「っ……!」
バチッと瞼を開き、目を覚ます。
「今のは……」
乱れた呼吸を整えると、夢のお告げを脳内で整理。様々な資料が積み重なる机に近づき、漁る。
「エレメンタル大陸……」
手に取ったのは『エレメンタル大陸』についての資料。
「ここに行けば、全てが……」
私のところまで来て。
私が生み出した……“人形”よ。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
【秘話〜親の心子知らず〜】
──オラトリオ大陸『彗星の運び屋 』本拠地。
記者達が常に慌てふためく作業室。その一角にある総司令官の作業部屋に、レイはとある決意を胸に中へ。
「……今なんつった」
この部屋の主であり、『彗星の運び屋 』の総司令官“コメィト”は、愛らしい名前に反し、いかつい顔でギロリとレイを睨みつける。
「この仕事を、降りさせていただきます」
レイの決意、それは“記者を辞める”こと。エレメンタル大陸に行くのに、長期に渡る休みが必要となる。しかし、そう長く休むことは許されない。……レイは、やっと叶った夢を捨てることにしたのだ。
コメィトは吹かしていた煙草を灰皿に押し付け、火を消す。
「理由は」
「えっ」
「理由を訊いてんだよ。てめぇが餓鬼の頃からやりたかった記者を辞める理由を話せ」
コメィトとは長い付き合いだ。勢力に所属する以前から面倒を見てもらっている。レイはコメィトを勝手ながら師と呼び尊敬していた。
そんなコメィトにすら、レイは自分の正体を話していなかったのだ。それは……と口籠る。
「言えねーならこっから帰す気はねぇぞ」
彼ならやりかねない。レイは恐る恐る口にした。どうせ辞めるんだ、どう思われようと仕方ない、と。
「……ふーん」
全てを聞いても、コメィトは驚くことはなかった。
「自分が一番のスクープだったつう話か」
「あ、あの」
「言わねーよドアホ。そんなん尻拭いさせられるのはこっちだ」
「すいません……」
コメィトは暫しの間口を閉ざし、やがて溜め息を洩らす。
「行ってこいよ、エレメンタル大陸」
「……あ」
「ただし。」
一際大きな声に、レイの肩はビクッと跳ねて。
「は、はい……」
「仕事として行け。手は回してやる」
「え……」
コメィトは椅子の背に凭れ、腕と脚を組みながら、にやり。
「てめぇの夢を、そう簡単に手放してはやらねーよ。……絶対取ってこい。いいな?」
言葉に詰まり、涙を浮かべるレイ。
コメィトはすぐにいかつい目付きになり。
「返事!!」
「イエッサー!」
「くっちゃべってねぇで、さっさと働きに行きやがれ!」
「はいっ!」
バタバタと足音を立てて部屋を後にする。
その背を見送った後、コメィトは優しく微笑んで。
「俺に子供が居たらこんな感じになるのか……」
ここは……?
どこまでも続く洞窟のような場所。足元の岩からは、色とりどりの光が上に向かって溢れている。
すぐに僕は夢だと判った。ベタだけど、頬をつねっても痛くなかったしね。
でもここはどこなんだろう? 夢にしてはリアルだし、知っているとは思うんだけど……。
「驚いたかしら?」
えっ! 僕以外に人がいたの!? 僕の夢なのに!?
突然聞こえた声に振り返るも、姿は見えず。この辺には隠れられそうな場所はなさそうだけど……。
「探しても無駄よ。私の姿は見えないから」
と、謎の声がクスクスと笑う。見えないなら仕方ないけど……誰だっけ?
「覚えてないのも無理ないわ。でも、今は改めて名乗る気はないわね」
会ったこと……ある? そう言われたら余計気になるんだけど……。
「言ったでしょう? 今は名乗る気はないと。現実で会えたら、教えてあげるわ」
うーん、分かった。……それで?
「知りたいと思わないかしら。貴方が“生まれた”理由を」
……僕のこと、知ってるの。
「ええ。全てを知ってるわ。生まれた理由、生み出した意味。その全てを」
生み出した理由……!?
「全てを知りたければ、“エレメンタル大陸”に来るといいわ。私は貴方を待っている」
エレメンタル大陸に行けば分かるの!? 君はどうして僕のことを!
「答えてあげたいけどお別れの時間。これ以上は“気づかれて”しまうわ。また会いましょう」
待って──!
「っ……!」
バチッと瞼を開き、目を覚ます。
「今のは……」
乱れた呼吸を整えると、夢のお告げを脳内で整理。様々な資料が積み重なる机に近づき、漁る。
「エレメンタル大陸……」
手に取ったのは『エレメンタル大陸』についての資料。
「ここに行けば、全てが……」
私のところまで来て。
私が生み出した……“人形”よ。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
【秘話〜親の心子知らず〜】
──オラトリオ大陸『
記者達が常に慌てふためく作業室。その一角にある総司令官の作業部屋に、レイはとある決意を胸に中へ。
「……今なんつった」
この部屋の主であり、『
「この仕事を、降りさせていただきます」
レイの決意、それは“記者を辞める”こと。エレメンタル大陸に行くのに、長期に渡る休みが必要となる。しかし、そう長く休むことは許されない。……レイは、やっと叶った夢を捨てることにしたのだ。
コメィトは吹かしていた煙草を灰皿に押し付け、火を消す。
「理由は」
「えっ」
「理由を訊いてんだよ。てめぇが餓鬼の頃からやりたかった記者を辞める理由を話せ」
コメィトとは長い付き合いだ。勢力に所属する以前から面倒を見てもらっている。レイはコメィトを勝手ながら師と呼び尊敬していた。
そんなコメィトにすら、レイは自分の正体を話していなかったのだ。それは……と口籠る。
「言えねーならこっから帰す気はねぇぞ」
彼ならやりかねない。レイは恐る恐る口にした。どうせ辞めるんだ、どう思われようと仕方ない、と。
「……ふーん」
全てを聞いても、コメィトは驚くことはなかった。
「自分が一番のスクープだったつう話か」
「あ、あの」
「言わねーよドアホ。そんなん尻拭いさせられるのはこっちだ」
「すいません……」
コメィトは暫しの間口を閉ざし、やがて溜め息を洩らす。
「行ってこいよ、エレメンタル大陸」
「……あ」
「ただし。」
一際大きな声に、レイの肩はビクッと跳ねて。
「は、はい……」
「仕事として行け。手は回してやる」
「え……」
コメィトは椅子の背に凭れ、腕と脚を組みながら、にやり。
「てめぇの夢を、そう簡単に手放してはやらねーよ。……絶対取ってこい。いいな?」
言葉に詰まり、涙を浮かべるレイ。
コメィトはすぐにいかつい目付きになり。
「返事!!」
「イエッサー!」
「くっちゃべってねぇで、さっさと働きに行きやがれ!」
「はいっ!」
バタバタと足音を立てて部屋を後にする。
その背を見送った後、コメィトは優しく微笑んで。
「俺に子供が居たらこんな感じになるのか……」