第1部短編集


 本編(28話)で、アッシュがコーチに決定した後。

「……あの、アッシュさん」
「何だ」
「前に……会ったこと、ありますよね?」

 アランの問いかけに、レベッカとベルタは疑問符を浮かべた。

「何だ忘れたのか? 書庫の時に戦っただろ」
「それより前の話だ。レベッカが攫われたときの……」
「懐かしいわね」
「『懐かしいわね』で片付けていい話じゃなかった気がするが……というか、ブレイドも一緒に居ただろあのとき」

 しかしブレイドはそうだったか? と首を傾げた。

「ああ、そうだ。あの時に一度会っていたな」
「よく覚えてたね」
「ちょっと強烈だったからな……」

 と、苦笑するアラン。対してアッシュはああ、と思い出したかのように。


「ヴァニラの兄が、そこの赤娘の髪型をパイナップルと呼んでいたことか」


 ヴァニラの兄=ブレイド。
 赤娘=レベッカ。

 レベッカの表情に影が差し、ブレイドとアランの顔がみるみる青ざめていく。

「あ、アラン! お前リーダーだろどうにかしろよ!」
「なんでだよ! そもそもオマエが悪いだろ!」
「しょうがねぇだろ! 特徴が無かったら人なんて見つかんねぇんだよ!」

 ガチャン。

 ヒッと声が洩れる。レベッカの手には“バーストキャノン”が。


「焼き尽くす……!!」
「……」
「アラン! 逃げんじゃねぇよ!!」


 地獄の鬼ごっこは、夕食が届くまで続いた。
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